- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163901640
作品紹介・あらすじ
赤ちゃんは母親の胎内で、魚類から両生類、爬虫類、哺乳類へと進化を辿る、とする「反復説」。一九世紀ドイツの医学者エルンスト・ヘッケルが唱えたこの仮説は、当時のキリスト教勢力などから強い批判を受け、捏造として葬り去られました。しかし、遺伝子の解析による新知見で、ヘッケルを見直す機運は高まりつつあります。著者は、脳の活動を実測する光トポグラフィの開発に携わった、脳科学の第一人者。赤ちゃんは母親の胎内だけでなく、誕生後も、類人猿からヒトへの進化をなぞるように、約一年かけて発育する、と考えています。注目すべきは、指の発達です。二〇一三年、専門誌に掲載されたある論文が話題を呼びました。アインシュタインの脳の左手指の領野に、オメガ(Ω)を逆にした形の特徴的な発達が見られるとわかったのです。アインシュタインは幼いころからヴァイオリンに親しんだため、この領野が発達しました。類人猿からヒトへ進化する際にカギとなった手指の発達と、ヒトの知的創造性の間には、密接な関係があると著者は考えます。脳の進化から乳幼児期にふさわしい教育を考える、野心的試みです。
感想・レビュー・書評
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前半は生物の教科書のよう。後半に脳のアインシュタインの逆オメガの説明がある。5才くらいまでに弦楽の演奏を始めると脳の発達によいが、情熱もつことや本物の体験をすることも大切。
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著者が最後のまとめにも書いている「進化教育学」の考え方を説明した本。
私は小泉先生の講演も聞いたことがあり、書店でペラペラめくって、内容についてだいたいの見当をつけた上で読んでいたのだが、タイトルはミスリード気味かもしれない。別に偉人の特殊な脳からミステリアスな(科学の)謎解きがなされる、といった内容では全くない。
ヘッケルの反復説から脳の進化についての第一、二章は「進化教育学」を理解するのに必要なだけでなく、生物学や生命科学のトピックスとしても興味深い。それに続く第三章「脳の進化と教育」は、生命科学から見た教育でもある。
一方で、現役の子育て世代、乳幼児に関わる人々に向けて示唆に富む内容が含まれているのも第三章である。生命科学のテイストの強い前半を見て、最後まで読まれない場合があったとすると大変もったいないことだ。
図版も多く使われた縦書きの一般書ではあり、はじめから読み進める方が著者の意図するところはよく伝わるだろう。「教育」のキーワードには興味をひかれるが、「生命科学」は避けたい、という場合には、専門書のように巻末の「まとめ」をまず一読されることをおすすめしたい。 -
育児
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【脳の発達には、進化の足跡が残っている】アインシュタインの右脳には、左手指の領野に特徴があることが最近分かった。進化と脳の発達を、幼児教育の観点から説く入門書。