山中伸弥・iPS細胞革命 生命の未来を変えた男

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163741703

作品紹介・あらすじ

もはや生命科学を知らなくて済む時代ではない。iPS細胞は人類の未来を"変える"可能性があるのだ。NHKスペシャル緊急出版。ノーベル賞に最も近い男が発見した万能細胞の秘密。

感想・レビュー・書評

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  • 推薦理由:
    「もはや生命科学を知らなくて済むという時代ではありません。iPS細胞は人類の未来を変える可能性があるのです」と山中伸弥教授は語る。iPS細胞がなぜ未来を変えるのか、その特性、将来性、問題点などについての論点が分かり易くまとめられている。

    内容の紹介、感想など:
    本書は、iPS細胞を様々な視点から考察する第1部「生命の未来を変えたiPS細胞」と、ジャーナリストの立花隆とキャスターの国谷裕子がiPS細胞の将来性や問題点などを山中伸弥教授にインタビューする第2部「iPS細胞と生命の神秘」から構成されている。
    第1部では、第1章「iPS細胞 発見までの道のり」で山中教授が臨床医から研究者に転向してiPS細胞作成に成功するまでの道のり、その背景や、iPS細胞にかける情熱などが紹介されている。山中教授の先入観にとらわれない考え方は、様々なことに挑戦する人の手本となるだろう。第2章「夢の再生医療の扉が開かれた」では、iPS細胞がなぜ人類の未来を変えるとまで言われるのかを、「再生医療」「創薬」「病態再現」の観点から解説する。第3章「万能細胞が開くパンドラの箱」では、iPS細胞を使った研究の倫理面の議論を検証する。自分の体細胞から研究のためにiPS細胞が作られた場合、どこまでが自分のものと言えるのか、異種の生物を結合させるキメラ動物の利用はどのように制御していくべきかなど、iPS細胞の研究にはこれから社会全体の問題として議論していくべき多くの問題がある。第4章「iPS細胞で深まる生命の謎」では、iPS細胞のなかでは何が起きているのかを解説し、iPS細胞のメカニズムの解明に世界中の研究者が日夜研鑽を積んでいることを述べ、第5章の「激しさを増すiPS細胞WARS」では、その熾烈な競争の中で日本が主導権を握り続けることの大切さと難しさが語られている。
    第2部「iPS細胞と生命の神秘」では、iPS細胞についての様々な疑問やこれからの研究の方向などについて、インタビュー形式で語られている。「民間企業にとって知財は独占するためのものだが、私達にとっての知財は独占させないためのもの」と言う山中教授が目指すのは、「一刻も早く医療への応用を可能にして難病に苦しむ多くの人を救うこと」であり、それが山中教授の医師としての信念なのだ。
    iPS細胞の研究には、難病の治療への大きな期待が寄せられるが、同時に生じてくる従来の社会常識や倫理観だけでは対応できない多くの問題について、生命倫理の議論をしっかり進める必要があることがわかる。それは、これからの社会でひとりひとりが考えていくべき事なのである。
    同タイトルのDVDも図書館にあるので鑑賞して欲しい。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/58531

  • 山中伸弥教授は2012年にノーベル賞を受賞したが、本書は受賞前の2011年の発刊である。
    しかし、すでに重要な賞を数々受賞しており、社会的に大きなインパクトを与えている中で本書が発刊された。
    すでに10年以上前の時点での内容であるが、iPS細胞の基本をおさえるには良い本であった。生物に疎くてもその重要性と課題がよく分かる内容であった。
    驚きであったのはiPS細胞には4つの遺伝子が必要だが、その4つの遺伝子で細胞が初期化されるメカニズムが解明されていないということだ。研究が進めば進むほど生命の謎が深まるような現状と言う。
    「細胞というのは完璧なシステムである」と養老孟司先生は言ったが、まさに細胞というシステムは超複雑系で細胞同士の情報のやり取りによって、全てが有効に機能するという一つの完全なシステムであった。
    研究には運が必要だ。山中伸弥教授の真摯なお人柄がその運を引き寄せたのか。それもあるだろうが、やはり努力が大きいのだろう。人の3倍働くと決め、実際に同時に3つの実験を行なっていた程の努力が運を引き寄せたのだ。

  • NHKスペシャルの内容を本にしたもの。わかりやすいだけでなく、生命科学の進歩が肌で感じられるようでとてもおもしろい。iPS細胞や再生医療について勉強するには最適だろう。

  • 資料ID:98110724
    請求記号:491.11||N
    配置場所:工枚普通図書

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB06643955

  • 山中「今の技術の進歩は、知らなくても良いことまで知ってしまう時代に突入しつつあるんですね。その時代を前にして、知らないままでもいようという考えもありますが、結局それは避けられなくて・・・」  このips細胞もひょっとして「知らないままで」いたほうが良かった発見かもしれない。地球に生きる生命の未来を握るのはもはや神ではなく、私たち人間の英知でしかない。 しかし、それにしても! 山中教授の語り口は真摯で誠実で希望に溢れている! そんな人たちにこそ、私たちの未来を託したい・・・!そう思わせてくれた一冊だ。

  • 490

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00182373

  • ノーベル賞を受賞された山中伸弥教授のもたらした、iPS細胞革命について取材したNHKスペシャルがベース。番組ならば、イメージがわきそうな内容でも、文字で読むと難解に感じる部分はありました。再生医療や創薬に繋がる画期的な発見だったことは理解できました。未来を明るくできる技術として、発展してもらうことに期待したくなりました。

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著者プロフィール

戦時中、旧満州で密かに細菌兵器を開発し、実戦で使用した731部隊。731部隊はどのようにして生まれ、そして医学者たちはどう関与していったのか。新たに発掘された旧ソ連で行われたハバロフスク裁判の20時間を超える音声記録、元隊員の資料や当時の学術界の膨大な記録から、731部隊設立の謎に迫ったNHKスペシャル『731部隊の真実』(2017年8月13日放送)、BS1スペシャル『731部隊 人体実験はこうして拡大した/隊員たちの素顔』(2018年1月21日放送)は大きな反響を呼んだ。

「2023年 『NHKスペシャル 戦争の真実シリーズ3  731部隊の真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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