- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163740805
感想・レビュー・書評
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東日本大震災後の考察。TPP関連もあり。
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あえて「国際」にカテゴリ分けします。
帯の宣伝だけ読むと、あたかも震災でダメージを受けた農業がどうすれば復活できるかについて、その処方箋が書かれているように思えてしまいますが、放射能で汚染された野菜や耕作地に関する記述は、実は冒頭の数章のみです。
それ以外は、著者が過去の著作でもたびたび触れている、農水省の役人の数字のトリックによる食糧自給率のウソや規格外の野菜を売買することの是非、マスコミがこぞって取り上げるフードマイレージ理論の考えの浅はかさや日本だけ世界の常識とまったく違う土俵で話がされている食糧安全保障のこと、あるいは旬の話題であるTPPに関する実際的な理論などで占められています。
こうした点から、「震災から立ち直る農業の姿」をミクロの視点で、この本から満足いくまで読み取るのは難しいです。一方、騙されずに日本の農業の真の姿を捉えるという、マクロの視座から「農」について学ぶには好適。現時点の農業を考えるにあたって、とりあえず知っておくべき情報と真相は、かなり幅広く網羅されていると思われます。
刊行が民主党政権が存在していた頃の話なので、今の政策にはそぐわないかもしれませんが、そこはそれ、本というメディアの限界なので仕方ないでしょう。 -
日本の農業の現状を知るとともにその打開策を丁寧に述べている、
今後の日本の農業を考えるのにはもってこいの一冊。
若干、
”日本の農業が必ず復活する理由”なのか?これは…
という節もあったが、
それを考えなければすべての章が、そうだったのかと新しい見解を得られるものである。
特に今の補助金制度に対する見方が変わった。
いかに今の制度が意味のなさないものなのか思い知らされた。 -
稲の直播
湛水直播
乾田直播 -
若い農家や学生の方々は、ぜひ読んでみてください。
希望が出てくるはずです。
農業も、科学技術、マネジメント、マーケティング、ブランディング語学、国際交流を学ぶ時代なのですね。 -
浅川さんの本を読むのはこれで2回目になります。
やはり政府が出しているデータがいかに国民を騙しているかがよくわかります。
ただ日本の農業が必ず復活する45の理由というタイトルだけど、そもそも私は日本の農業が衰退しているとは考えていない。
震災を経て新たな1ページを切り拓いていることに変わりはないからである。
今度は浅川さん以外の農業の本を読んでみたいと思う。 -
私が農業関連の知識がないこともありますが、大変参考になりました。TTPの問題にしても、マスコミで語られている話がいかに適当なデータを基にした扇動論かよく分かります。私のような農業のことをよく知らない人こそ本書を読むべきかと思います。
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東日本大震災は、農業県、漁業県がやられたので、農業、漁業の勉強もしなくてはいけないと思って買った本。
浅川さんは、農業関係のジャーナリストでやや過激な感じの文章だが論旨は明快。
(1)農業の戸別補償は、不採算の農産物の増産を促している。(p100)
(2)農家男性は自殺率が全職種でもっとも低い。(3.8%)もっとも高いのが公務員(17.8%)
これは、アタマが痛い。土にさわって、自ら経営することのやりがいが農家の場合高いということか。
(3)指定野菜は、廃棄すると4割基金から補填、出荷後、平均価格が最低価格を下回るとその差額の70から90%が補填される。
なんかなあ、ここまでしないと野菜が守れないのかな。ちなみに、もやしやモロヘイヤ、芽キャベツは対象外だそうです。なんか対象外の野菜はやすいような気がする。
他の製造業が血の出るような努力をしているのに、こんなにあまえた産業政策だと、農家もやる気がでないのではないか。
もう少し、農業政策、漁業政策を勉強してみます。 -
稲作と言ったら「田植え」だが、技術の進化から世界の潮流は直播になりつつある。コストは減るし輪作もしやすい。
大豆の自給率は4%。しかし、明治以来史上最高の大正9年でも自給率は26%(重量ベース)でもともと低い。さらに戦後自給率が低下したのも、日本人が油を消費するようになったから(大豆消費量の80%が大豆油)である。アメリカで大豆生産が始まったのは1920年代で、初期の中心人物はあの自動車王ヘンリー・フォード。大豆を絞って食用油にしたり繊維するなどという発想が生まれ、生産技術・加工技術で今や日本を圧倒。醤油・味噌・豆腐といった加工食品にそれぞれむいた大豆を生産。つまり大豆の自給率4%は正味の実力であり、もし凶作になったら油の消費量を減らし食事に回せばよい。(ついでにいうとイタリアは小麦の世界最大の輸入国である)。
オランダ農業の強さは生産性の高さにある。製造効率、原価計算等徹底している。
和郷園の木内氏が海外進出のため最初に取り組んだのは、何と築地から香港の寿司屋やレストランへの魚の輸送仕組みつくりである。良好な信頼関係を築いた後で、野菜を売り込んだ。野菜は単価が安いので、いきなり物流費をかけることはできないから。農家だから野菜しか売らないという考え方は商売をまるでわかっていない。農業の基本は適地適作と旬の生産である。であれば、無理に時期をずらすのではなく旬の時期に大量生産し、一部を加工品にまわせばよい。加工用ならスーパーの規格の2倍の大きさのホウレン草の方が効率的だし旨いのでよい。この考え方を海外に展開すればよい。