SOAKED IN ASIA アジアに浸る

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163737409

作品紹介・あらすじ

世界で一番ホットな場所。作家の眼差しに写ったものは!?急激な経済発展とともに大きな変貌を遂げつつあるアジアの国々。変革から取り残されがちな女性や子供たちの身になにがおこっているのか。五年の歳月をかけ十ヵ国を巡ったプロジェクトSIAの記録。

感想・レビュー・書評

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  • 『作家、髙樹のぶ子が九州大学アジア総合政策センターの特認教授として、五年の歳月をかけアジアの十カ国を訪ね歩いて各国の作家や市井の人々と交流し、その成果を様々なメディアを通じて発信するというプロジェクトSIA(Soaked in Asia)の記録です。』
    本文扉より。

    フィリピン・ベトナム・台湾・マレーシア・中国(上海)・モンゴル・タイ・韓国・インド・インドネシア(バリ)、それぞれの国の人々と話をし取材をして書かれたもの。
    「浸る」と題されていることに違和感を覚えた。
    おそらく、本書に出てくる人はその土地の名士であったり、身分社会の格差・差別にあえぐ人々を救済をしている側の人たちの声が主に取り上げられているからだろう。実際に今、社会の底のほうで苦しんでいる人たちの具体的な声の場面になると、文章が終わってしまっていて、聞こえてこない。その国の沼の底には足をつけていないような、まだ水面をいたずらしているだけのような、そんな印象を受けるのだ。

    ともあれ、アジア各国の、普段はあまり注目されない部分に触れることができた。このSIAプロジェクトから生まれた著者の短編集『トモスイ』も読んでみたい。

  • ふむ

  • 筆者が同性で同年代である事は共感する事が出来る1つの条件かもしれない。これは単なる物見遊山的海外旅行ではない。アジア圏にある諸問題を真摯に見つめている。

  • 元々はWikipediaのカオダイ教の項目でこの本が引用されていて注文。
    浸る、という題名だが、1国あたりのページ数がそんなにないのであまり浸ってる感はない。
    取り上げているテーマは興味深いものもあったが、カオダイの記述の少なさも含め(Wikipediaはこれを出典にしちゃいかんと思う)、少し残念。
    あと、やはり海外ものなので写真だけでなく地図があった方がよかったと思う

  • 単なるアジアの紹介書ではなかった。ベトナムの話は、重い。それぞれの国の置かれた環境など、観光では知ることのできない深いところがレポートされている。

  • 読了。

    この本を読んだのは、タイの性同一性障害について書かれていたから。
    ミュージシャンの平沢進さんの影響か、どうしても気になるテーマだ。

    全体的な感想としては、うーん、何となく「浸って」ない感じ。
    普通の旅行エッセイの方が、むしろ現地の浸っている感じがするなぁ。

    プロジェクトで書かれたっていう事も関係しているのかもしれない。

  • 書いていることは「そうですよね」って思えることばかりなのですが、どうも思考にクセがあって、どうもそれが好きになれず。
    貧困で大変なんです。こんな文化で大変、こんな境遇で不遇で可哀想。
    確かにそれはその通り。でも、それだけなら、誰でもこの本を書けるし、誰でも言える。
    で、それからあなたはどうしたの?というところが肝心だと思うのです。
    言い方は悪いですが、不幸話を並べても仕方ない。
    「知る」という事は大切なことですが、もっと大切なのは「知った後」ではないでしょうか。

  • 写真も入ってます。女性の話が多いようです。ベトナム戦争の復員女兵士がシングルマザーである事由。インドの階級が低い女性が代理母出産で夫の何倍もの年収となる収入を得ている話。タイの元男性は地域の種々雑多な役割を引き受けるゴッドマザーである話。観光ガイドというより、ピンポイントで選ばれた人から広がるアジア国々の懐の深さの話。日本であれば、どんな人が紹介されたのかなと思うと一人で一つの国が分かるのか疑問にも思えます。が、知らないことを知るきっかけとして十分楽しめました。

  • 図書館で赤い表紙に吸い寄せられるように手にとって、芥川賞作家高樹さんの著書ということでかりてみた。

    想像より大変良かったです。
    今勢いのあるアジア(特に中国やインド)の陰の部分が、高樹さんの目線でわかりやすく書かれている。
    先日初めて読んだ高樹さんの小説が、私的にはそれほどでもなかったので(ごめんなさい)、とても新鮮でした。

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著者プロフィール

小説家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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