私のマルクス ロシア篇 甦る怪物

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163715209

感想・レビュー・書評

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  • ・語学の能力も含めて、入り込む力がすごい。

  •  佐藤優の自叙伝は数冊読んだ。今回はかなりソ連崩壊の解説を入れてあるので後半の畳み掛けは少し難しかった。だけど相変わらず、著者の書く優秀な人物は、自分も頑張ろうと思わせる力がある。
     時代は1980年代後半から90年代前半にかけての、ソ連の外交官時代だ。ソ連の崩壊を目の当たりにした著者の記述は、リアルで非常に勉強になる。だが今回は基礎知識がかなりないと、深くは理解できないことが多かった。これは自分の勉強不足だ。
     それにしてもソ連は金無さすぎる。著者の周りは有能な人物がたくさんいるようだが、それでも国は良くならない。結局どうすれば良くなるのか。国民は普通に暮らしたいだけだろうがそれができない。それを思うと、神学という特殊な学問を勉強して役に立つのだろうか。
     本作に登場する著者が翻訳を頼む女学生は優秀だったが金がなさすぎてトルコ人の愛人になった。学問だけでは生きていけないのだ。神学は面白いくて、複雑な民族問題を理解するのに役には立つが、金にはならない。
     金を作れる人間が作って、人を理解できる人間が交渉をして、言葉にするのは簡単だがそうはいかない。優秀な人は、その人の能力を活用できる場所にいかせて、どんどん利益をあげさせるのが国にとっては一番だ。

  • 期待を裏切らない一冊

  • ソ連崩壊期に著者がいかなることを考え、行動していたかがよくわかる。エリートの彼我の差はいかんともし難いか。

  • 佐藤さんの著書でヘビーユースの単語について考えてみる。
    「ロシア」とか「外交」「国益」なんかは予想通りだけど、「ウオトカ」もめっちゃ多いです

  • 2010年66冊目

  •  副題は「私のマルクス:ロシア編」。著者の外務省任官後。モスクワ時代をつづっている。特に目を引くのはアフガンでの現地勢力の残虐な抵抗、グルジア(ジョージア)問題と宗教だ。最終部分でロシアに西欧型民主主義は根付かない。ファシズムへと傾いていくのではないかとロシアの民族学者と論じているが、現実その方向に向いている。
     ソ連は結局、マルクス主義ではなくレーニンからボリシェビキの独裁の国であったということだ。ロシア人はパンさえ貰えれば、自由の制限は仕方なしと、宗教を携えて強い信念で生きている。
     

  • マルクスを読みたくなった。

  • 1回読んだだけでは理解しきれない程内容が濃かったです(私の読解力不足とも言える)。面白いとしか言えません。
    個人的に一番楽しめたのは「秘密都市出身のナターシャ」の章(たしか3章)。時代に翻弄されてしまった、という言葉がぴったりのはなしでした。

  • 世界は広い。ていうか私の視野が狭すぎるんだけど、世界はアメリカを中心にまわり、日本の外はアメリカの論理で動いているものだと思ってました。フランスはフランスだし、ロシアはロシアなんだよね(あたりまえだろ!)。本書を読んで、ロシア、マルクス、そしてなによりも神学に興味を持ちました。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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