アンネの日記 増補新訂版

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163596105

作品紹介・あらすじ

このたび、1998年に新たに発見された日記5ページを追加した「増補新訂版」が誕生した。鋭い感性と驚くべき表現力で、思春期の夢と悩みが赤裸々に綴られた日記は、永遠の青春の記録として、半世紀を経たいまも世界中の人びとの胸をうってやまない。

感想・レビュー・書評

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  •  アンネが亡くなったのは、今と同じ季節、2月末か3月初めだと推定されています。15才でした。
     
     この本は、アンネ・フランクという少女の日記です。13才から15才にかけてのものです。友だちと呼べる人も愛してくれる家族もボーイフレンドもたくさんいるけれど、「ほんとうの」友達がいないから日記をつけるとアンネは言います。身のまわりのごくありふれたことのほかは、誰にも絶対に話す気になれないし、どうやらみんなお互いにそれ以上近づくことは無理みたいだし、自分には人を信頼する気持ちが欠けているのかもしれない、と。
     自分の性格についての悩みも、自意識過剰な部分も、母親への嫌悪も、姉への劣等感も、体の変化も、初めてのキスも、真っ正直に書かれています。なりたい自分がそこにいるのになれない、そのもどかしさや辛さ、それから期待とが、どのページにもあります。
     アンネが書いているのは、ありのままの自分です。ただ、この日記は最初のほんのひと月を除いて全て、ナチスの迫害を逃れて暮らした隠れ家生活の中で書かれています。
     アンネは愉快な子です。一緒に隠れ家生活を送る男の子と服を取り換えて、彼は女装、アンネは男装をして、みんなを笑わせたりします。どんなときも自分を憐れむのはみっともないことだと思っています。アンネは言います。
     <ユダヤ人とか、ユダヤ人でないとかにかかわらず、わたしがたんにひとりの少女であり、はしゃいだり、笑ったりすることを心の底から欲している、このことをわかってくれるだろうか?でもわたし自身には答えられませんし、このことをだれかに話すこともできません。話せばきっと泣いてしまうでしょうから。>

    ユダヤ人であるということについての記述は、随所にあります。

    <じっさい、情けないことです。とても悲しいことです。いままでに何度となく言われてきたことですが、ここでいま一度、むかしながらの真理が証明されることになろうとは。『ひとりのキリスト教徒のすることは、その人間ひとりの責任だが、ひとりのユダヤ人のすることは、ユダヤ人全体にはねかえってくる』って。
    率直に言って、わたしがどうしてものみこめないのは、このオランダ人という善良で、正直で、廉潔な人々が、どうしてそういう色眼鏡でわたしたちを見なくちゃならないのかということです。>

     国名を幾つか入れ替えると、現在の私たちにも、思いあたる節があるように思えます。
     怖ろしいのは無自覚でいること。メディアの言葉に流されること。

  • 日記なだけあって、アンネがすぐそばで生きているみたいでした。 日記の内容は、今の私からは考えられないようなことだけど、アンネの日記を盗み見したみたいな気分でなんだか罪悪感
    いつ殺されるのか、いつ怖い人たちに見つかつるかわからない、尋常でない每日を真っ直ぐに生きたアンネにとって日記、キティーはどれほど大切な存在だったんだろう。

  • ユダヤ教、キリスト教の勉強してたら、なぜかアンネの日記にたどり着きました。

    ユダヤ人の迫害された歴史の一つですね。

    隠れ家での3家族8人の生活。
    外にも出ることが出来ず、音もたてれず
    そこで、2年近く過ごす…
    考えただけでも、恐ろしい。

    残念ながら、捕まり、収容所へ送らせ、チフスにより亡くなる。
    夢や希望に満ちていたのに、悲しくなる。

    人生は何のために生きるか?
    幸福になるために生きる。

  • 隠れ家で生活しながら書いてたって思うと苦しくなる。最後に連行された日とかも記されてる。
    読まなきゃいけない本

  • 最近あまり本をキチンと読めないので、13歳の女の子の日記なら読めるだろうと、図書館で手に取りました。完全にナメてました。アンネは天才です。思考力の深さ、洞察力、文章力。15歳で亡くなられたのが、悔やまれてなりません。続きがよみたい。こんな素敵な女性が理不尽な目にあって死ななくてはならないなんて、本当に戦争はいけないと強く思います。

  • 母に薦められて読みました。
    戦争と迫害に怯える隠れ家生活が2年も続いていたことに驚きました。
    トイレや食べ物、人間関係や恋愛感情が赤裸々に書かれていて、とても10代前半の少女が書いたとは思えない表現と内容でした。
    この日記が書かれなくなった後に、どんな恐ろしい状況になったのか考えたくもありません。
    アンネの状況に比べれば、コロナ禍の外出自粛なんて大したことないなと思えました。

  • 約2年間に及ぶアンネの隠れ家生活を綴った生々しい日記。ませてて気性が激しく、芯の強い女の子。将来物書きになりたいとか何かを成し遂げたいと思いながら、若干15才の若さで亡くなったわけだが、今もなお読み継がれている日記を残せたのは、少なからず夢が叶ったのだろうか。
    今さらながら、あのナチスドイツと日本が同盟を結んでいたのは、なんともやるせない気持ちになる。

  • 「夜と霧」を読んだので、続けてアンネの日記を読んでみた。

    正直、長くて最後らへんは流し見してしまいました。すみません。でもアンネがこの若さにしてすばらしい洞察力と考察力を持っていたかは分かった。

    何よりもこの日記のすごさは、15歳という若い少女が描いた日記が、中東の行方に大きな影響を今もなお与え続けているという事実。と、池上さんが「世界を変えた10冊の本」という本の中で言っていた。

    ユダヤ人であることが理由で未来を絶たれた少女アンネの運命に涙した大人たちは、イスラエルという国がいかに国連決議に反した行動をとっても、強い態度に出にくくなってしまうらしい。

    まさに「一人の死は悲劇だが、100万人の死は統計上の数字でしかない」と感じた。

  • 国も時代も置かれている環境も違うけど、この年代の女子の悩みは各国共通。すごく共感しました。最後のページで、「じゃあまた、アンネ・M・フランク」の数行後に「アンネの日記はここで終わっている。」とあって、哀愁とともに、戦争のむごさを痛感しました。でも、最後のほうが哲学的過ぎた()

  • いままでに出版された「アンネの日記」との違いは、実際の日記をノーカットで書かれているということ。これまでは、アンネの父がカットしてほしい部分をカットしていたらしい。
    ノーカットのため、思春期特有の表現や発言がある。それを嫌だと感じる人もいるかもしれないが、個人的には日記の中に「アンネが生きている」ように感じる。アンネは存在した,生きていた、大事な証となる本だと思う。

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