本の運命

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 136
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163528205

作品紹介・あらすじ

本を愛する人へ。本のお蔭で戦争を生き延び、闇屋となって神田に通い、図書館の本を全部読む誓いをたて、(寮の本を失敬したことも、本のために家が壊れたこともあったけれど)本と共に生きてきた井上ひさしさんの半生と、十三万冊の蔵書が繰り広げる壮大な物語。

感想・レビュー・書評

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  • 久々に井上ひさし。この本は、文科省が若い読者を増やすために、著名人におすすめの一冊を紹介してもらっている中で、上白石萌音さんが紹介していた本。若い人がこの本を読んだことも驚きだが、発売から30年近く経っても全く古さを感じさせないことも驚きである。名著であり、読書という行為について深く考えさせられる。

  •  積読だった本。本関係の本を読んでいたので,本棚から取り出して読んでみた。
     井上さんの家には13万冊あまりの本があったらしい。今では,それを地元の図書館に寄附したようだ。本には感想を書いたり,気づいたことを書きこんだり,線を引いたりしてあるようだ。もう,古本屋に売るつもりはないから,徹底的に本とつきあっている。
     わたしは,これまで,後で古本で売るつもりの本と,ずっと持っているつもりの本を分けてきた。だから,全集でも線を引いてやるやつもあれば,新品同然のものもある。退職してからは,毎月,図書館を利用しているので,まず,図書館で借りることが多くなった。そして〈読んでおもしろかった本は購入する〉という二重読書生活をしているのだが,これが身の程にあってきたような気がする。そうして買った本は,何度も開いて読むことになる。ドンドン汚れても大丈夫。
     古本屋周りが好きなのもわたしと同じ。ただ,わたしは田舎なので,神田に出かけるわけにはいかない。が,金沢の加能屋さんには,ずいぶんとお世話になってきた。行きつけの…とまではいかないけれども。
     人生を変えた本の話もたのしい。人にはそれぞれ,そういう本がある…というか,そういう本がある人が,おそらく本の世界にのめり込んでいくんだろうと思う。

     一ヶ月の本代が,トンデモない井上さん。それは彼が創造者だから仕方ない。
     考えてみると,わたしの本代だって,恐らく相当にのぼっているはず。

     本好きの人は,楽しんで読める本です。それにしても,なんで離婚したのかなあ。家にありすぎる本が原因でなければいいが…。もしそうなら,わたしも危ない…。

  •  本好きがゆえの昔のいたずら話に笑わされ、本の今後の発展を願う気持ち、後世の子たちに伝えたい本の話に胸を打たれる。

  • 山形の歴史とともに、本の歴史も知れてとても面白かった。
    私も、母が本好きだったので
    それを見ていたからか、本で知らない世界へ行けるのが
    とても楽しかった。それは今も変わらない。
    「本を読め!」と言われたことは一度もなかったなぁ。

    読書感想文は
    子どもながらに「絶対意味がないし、本を読む楽しさとはかけ離れている」と思っていた。
    井上さんもそのことに触れていて、すっきりした。

    井上ひさしさんが亡くなる数ヶ月前に
    仙台で市原悦子×井上ひさしの朗読会に行った。
    体調不良で井上さんが欠席。そのまま亡くなってしまった。
    生きているうちに、生で話を聞いてみたかった。

    - - - - -

    井上様
    ・目次はこれからじっくり読みます!
    ・本の間から出てくるいろいろなモノ、私もワクワクします。図書館だと前の人が何を借りたか分かる紙です。
    ・「子どもの本離れは大人の問題です」p135~ 同感です!
    ・p154「本と精神分析」面白かったです。私が図太い神経なのは、もしかすると様々なジャンルの本を面白がって読んできたからかもしれません。。
    ・機会があったら「遅筆堂文庫」へ行ってみます。何度も訪れている山形に、こんなに素晴らしい場所があるなんて全然知りませんでした。

    p187
    【本は絶対になくならない。本がなくなるときは書記言語の無くなるときです。その時、人間はたぶん別の生き物になっているでしょう】

  • 最強の蔵書家!自分の蔵書が図書館になった男!
    本との出会い、付き合い方、これからなど。

  • 著者の少年時代に初めて本を通信販売で買った思い出からはじまり、13万冊の蔵書に、そして、地元(山形県)への寄贈による遅筆堂文庫(図書館)設立。また、幼少青年期の図書館との関わり(本への悪戯も・・・)など、本の好きな著者の言葉で印象的なのは「本との出会いは一期一会」「本は読まなくてもつん読し、関心を持って時々手に取ると、輝いてきて、読め読めと迫ってくる」という一文。床が抜けてしまうつん読蔵書でも面倒を見ているのと、放置しているのでは違うそうです。

  • この人の文章は平易で分かりやすい。凄い量の勉強があってこその親切な文体だ。

  • 生い立ちから、13万冊の蔵書を生まれ故郷に寄付するまで。ちょうど全国の自治体にばらまかれていたふるさと創生金を使って建てられた施設に遅筆堂文庫が誕生した。

    ・小学生の頃、「宮本武蔵」「三国志」「太閤記」を夢中になって読んだ。
    ・著者が知る範囲で本を読むのがむやみに早い人は、丸谷才一、大江健三郎、司馬遼太郎。司馬遼太郎は写真読みをしていた。
    ・仙台一高(旧仙台一中)には蔵書5000冊の図書館があったので、3年間に全部読むことを宣言したが、果たせなかった。
    ・月謝なしで入学した上智大学は夏休みまでに通わなくなり、母親が働いていた釜石に帰った。そこで市立図書館の本の整理を手伝っている間に文章を書くことに関心を深めていった。
    ・本の購入にかける費用は月に50万円。

  • 純粋に面白かったです。井上ひさし流読み方十箇条というものが載っているのですが、個人的には驚く事が多かったです。特に栞は一本だけでなく、自分で作るというのは驚きました。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上ひさしの作品

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