運命の八月十五日 日本のいちばん長い日 〈決定版〉

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163503608

作品紹介・あらすじ

「聖断」に従い和平への努力を続ける人々と、徹底抗戦を主張して蹶起せんとした青年将校たち-。そのあまりにも対照的な動きこそ、この一日の長さを象徴するものであった。昭和二十年八月十五日正午に至る一昼夜に繰り広げられた二十四幕の人間ドラマ。

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  • 日本の歴史で最も大きな転換点の一つである,太平洋戦争が終結した昭和20年8月の日。国民に敗戦を知らしめる玉音放送に至るまでの24時間,国を思い,葛藤し,信念をぶつけ合った人々の記録です。これまで2度映画化されており,いずれも実力派俳優がキャスティングされています。

  • 2015.08.08 映画公開

  • 侍従さんたちに拍手!

  • 映画を観て、興味を持ちました。
    ポツダム宣言受諾決定から刻一刻と迫る終戦宣言までの時間と玉音放送までの一夜に起こったクーデター未遂。
    終戦を決定するまでにグダグダと会議は長引き、結局は天皇自らによる終戦を決定するというご聖断を仰ぐことに。
    国民はそろそろ戦争も負けるだろうと思いつつも、、まだ終わるとは思っていないので、軍人はなおさら本土決戦もせずに終わらせる気などなかったのかもしれません。
    それに近衛師団と言えば天皇と皇居を警護する軍人ですが、その近衛兵たちが叛乱を起こしたのだから、国民は知らなかったのかもしれません。
    玉音放送を巡る攻防は、たった一晩の間に目まぐるしく終わってしまったのですが、もしも録音盤が奪われていたら、また違った過去があったのでしょうか。
    史実の一つとしてこんなこともあったのだと感慨深く読みましたが、まだ70年と言うべきか、もう70年たってしまったと言うべきか。

  • 終戦から68年。
    戦争を知らない我々のために記録がある。
    知らないで済ませられないことがある。

  • さいきん、「きんどる」とやらで読書(それは「書」なのか?)している同居人が、全然知らなかった、知ってましたかという。無条件降伏による敗戦を阻止し、徹底抗戦するのだというクーデター計画があったことや、玉音放送をやめさせるために、終戦の詔勅を天皇が読みあげた録音盤が奪取されようとしたことは、私は何かで読んですでに知っていた。

    半藤一利のこの本だったのかなと思ったが、ちょっと話していると、同居人が「いや、それだったら、この本読んでない」というので、「きんどる」には同居人がだうんろーどした電子書籍があるとはいえ、紙の本のように貸し借りする風でもなくて、私は図書館の本を借りてきて読む。

    序が大宅壮一になっているところを読んで、そういえばこの本が最初に出た頃、半藤は文藝春秋の一社員で、大宅壮一名義で出た、というのをどこかで読んだなあと思った。

    長めのプロローグのあと、1945年の8月14日の正午から15日の正午まで、1時間刻みで、長い長い日が書かれている。7月下旬から、ポツダム宣言の無条件降伏を受け入れるか否かについては、国体が護持されるのかどうかで議論が続き、政府は決められないままに、広島に原爆投下、そして長崎に原爆投下、各地の空襲もあった。閣議では同数で決められず、天皇の「聖断」をあおいで、ポツダム宣言受諾が決まった。

    読んでいて、私が気を引かれたのは、昭和天皇がこのとき44歳だったということだ。いまの私とひとつしか違わない。

    天皇は、わが身がどうなろうとも、民草を無意味な犠牲から救うためにはこの手段しかないと、ポツダム宣言の受諾に同意だと発言した。このお上の御意に従うべきなのだという流れができようとするが、一方で、天皇は君側の奸によって誤った選択をさせられているのだという者たちがいた。

    ポツダム宣言受諾をさせまいとするクーデター計画がいくつかあった。陸軍省幕僚の一部と近衛師団の参謀が宮城を占拠しようとした事件、厚木三〇二海軍航空隊が玉音放送後も徹底抗戦を呼びかけた事件、皇軍に降伏の二字なしと徹底抗戦をとなえた国民神風隊が横浜高等工業学校の学生をまきこんで首相官邸や閣僚らの私邸に放火した事件など、時のめぐりあわせか、それらは散発的なものに終わって、大きな流れにならなかった。けれど、歴史の「もし」はあったかもしれないと、1時間刻みで描かれる「史実」を読みながら思った。

    厚木三〇二航空隊では、司令室に全士官が集められて、司令の小園大佐が、日本はポツダム宣言を受諾し無条件降伏をするという情報を伝えた。司令の真意をたずねる若い士官たちに、小園司令はこう叫んだという。
    ▼「私が司令の職責を汚すかぎり、厚木航空隊は断じて降伏しない。すでに高座高廠も、工作機械を地下に移し、持久戦の準備をおえた。食糧も二年分はあり、たとえ全海軍から見放され孤立無援になり、逆臣の汚名を一時冠せられようと、国体を汚し、伝統をうけつがぬ無条件降伏には賛同しない」(p.170)

    この叫びに士官たちの熱情はかき立てられ、厚木基地は全軍一丸となって徹底抗戦の籠城を策することになった。私はここを読んで、二年分の食糧がこういうところにはあったのかと思った。

    自決の決意をかためた阿南陸相の陸相官邸での最後の晩餐の場面で「日本酒とわずかばかりのチーズが」というところに、そういうものはあるとこにはあったんやなと思う。

    綿密な取材と当事者の証言によって書かれた24時間。この本に出てくるのは、氏名、役職や階級がはっきりとしていて、写真なども残っている人なんやなと思った。そして、とりわけ陸軍をはじめとする軍隊の士官たちの言動に、戦時下に筋金入りで育つとこうなるんやろうか、それとも…と考えてしまった。

    (2/20了)

  • 10/08/07 興味深く読めた。持っておきたい本。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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