桃色東京塔

著者 :
  • 文藝春秋
3.25
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本棚登録 : 269
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163291307

作品紹介・あらすじ

警視庁捜査一課勤務の刑事・黒田岳彦は、ある事件の捜査でI県警上野山署捜査課係長・小倉日菜子と出会う。過疎の村で働く日菜子は警官の夫を職務中に亡くしている未亡人で、東京に対して複雑な思いを抱いていた。捜査が進むなか岳彦と日菜子は少しずつ心を通わせてゆくが、あらたに起きるさまざまな事件が、ふたりの距離を微妙に変えていって…。異色の連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 再読本なのに驚くほど内容覚えてなくてびっくり。おかげさまでオチまでしっかり楽しめた^_^;意外とホッとする終わり方で一安心。
    東京に対する感情とか田舎に対する複雑な思いとかがとってもリアルな作品。

  • ややラブストーリー要素も入ったミステリ連作短編集。といってもトリックだの何だのがあるタイプのミステリではなく、人情の機微を描いた作品。目からうろこ、というような解決ではないけれど、数々の真相にはなんだかしんみりさせられるものが多かったです。都会と田舎の対比にもせつないものを感じました。
    お気に入りは「ひそやかな場所」。彼のも彼女も、心情が痛々しくて。でどこかしらほっとさせられる部分もありました。

  • 東京に住む男性刑事と地方に住む女性刑事の心の交流を通して、お話は進んでいきます。
    それぞれのミステリーも楽しめて、とても面白い作品でした。

  • 猫町の午後と再生の朝が良かった。
    最後ホイホイ付き合いはじめたりしないのが良い。

  • #読了。警視庁捜査1課の黒田岳彦は、捜査の為過疎化が進む上野山署に派遣される。そこで出会った捜査官・小倉日菜子はキャリア警察官の夫を亡くしていた。いくつかの事件を解決していく中で、二人の関係も変わっていく。警察モノというよりは、東京という都市を介在した遠距離恋愛モノ。

  • つかみの良い話は良い。
    赤ん坊を抱いた女性を追って、死なせてしまった刑事が、ある事件で、地方の張り込みにいかされる。そこで、勤務している女性と出会う。
    彼女は、同じ職場の連れ合いを亡くしていた。
    お互いが、忘れられない過去を持ちながら、惹かれあっていく。8個の事件が連作で描かれている。
    警察小説でありながら、警官同士のBOY MEET GIRL の話になっている。

  • ★2.5

  • 警視庁捜査一課に所属する黒田岳彦は大卒で

    ノンキャリア組としては順調に出世してきた
    期待と自信に溢れた毎日、しかしある事件が

    黒田のエリート刑事としての将来に陰りを見せる

    このまま刑事を続けるべきか否か


    小倉日菜子は大学を卒業して以来、過疎の進む
    生まれ故郷の縹村を含むI県警の所轄署に勤務
    キャリア組の男性と結婚し公私共に順風満帆だったが
    夫が殉職したことをきっかけに日菜子も迷い始める
    まだ夫のことが忘れられない、でもまだ20代
    この消滅の瀬戸際にある故郷でどのように生きていけばいいのか





    8編の短編は黒田と日菜子の目線で交互に事件が
    語られる。警察小説でもあり二人の恋愛物語でもある





    (朱鷺の夢)
    元暴力団員を殺害し逃亡した被疑者が縹村出身で
    あることから黒田は縹村を訪れる
    そして黒田の世話役として日菜子と出会う



    (桃色東京塔)
    日菜子は初恋の相手が開いた東京の店で
    久しぶりの再会を果たしたが
    彼の恋人が殺人容疑で黒田に逮捕されてしまう。



    (渡れない橋)
    隅田川の傍らで暮らしていたホームレスの殺人事件


    (猫町の午後)
    ネットに犯行予告が出された元警察官の銃殺事件


    (夢の中の黄金)
    日菜子の管轄内で変死した独居老人の謎
    実質的な故郷を持たない黒田と過疎の村で働く
    日菜子は東京に対して複雑な思いを抱いている





    東京に対してのコンプレックス
    光輝く東京タワー、光で溢れた街
    輝く街、同じ日本でもきらきらの数が違う
    作中幾度となく出てくる言葉に
    とてつもなく寂しさを感じました



    そんな対照的な場所で暮らす二人が物語と共に
    お互いの関係を深めていく過程はとてもゆっくりで
    独特の世界がありました



    黒田と日菜子が選んだ道は二人らしい選択
    だったように思える
    明るい未来を予想させるところもあり楽しめました。e

  • ピンク色に輝く東京タワーに美しさとどこか哀愁を感じて手に取った本。東京タワーの写真を着色・加工したのかと思いきや、実際にピンク色にライトアップされる日があるみたいね。一度拝見してみたいもの。そして作品は意外に刑事モノ。

  • 情報と人の心、一番汚れてるものってそのふたつだと思いませんか。
    少ない空気を奪い合って東京まで集まってくる人、なんかホラーなのよ。
    期待され、注目され、そうした期待や注目を心地よく感じ、じぶんの将来に自信を持っていた。
    自分は強い、強い男だ。いつもそう信じて生きてきた。

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著者プロフィール

 小説家、推理作家。
『RIKO-女神の永遠』で第15回横溝正史賞。
 猫探偵正太郎シリーズ、花咲慎一郎シリーズ など。

「2021年 『猫日記 Cat Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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