武士道セブンティーン

著者 :
  • 文藝春秋
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  • / ISBN・EAN: 9784163271903

感想・レビュー・書評

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  • 2022/06/11読了
    #誉田哲也作品

    剣道に青春をかける2人の少女。
    第2弾。
    早苗が転校した強豪校で見たのは
    武士道ではなく競技化された剣道。
    馴染めない思想や人に葛藤する。

    香織と別の道を進むことを決心した早苗
    次は高校最後の年、再び合間見えるのだろう。
    これも楽しみ。

  • 前作『武士道シックスティーン』が赤、
    このセブンティーンが青、そして(未読ですが)エイティーンが緑、と
    爽快なまでにきっぱりとした表紙の色分けが
    なんだか幼いころ、お稽古バッグに入れてピアノのレッスンに通った
    赤いバイエル、黄色のバイエルみたいで
    変なところでノスタルジーに浸ってしまう私ですが、

    赤から黄色になったバイエルが、目に見えて難しくなっていくように
    赤から青になった武士道シリーズの少女ふたりも
    今までにはなかった試練に晒されて右往左往する、この第二作。

    唯我独尊、勝つために自分の技を磨くことにしか興味がなかった香織が
    早苗が去った淋しさに自分でも驚くほどにたじろぎ、
    後輩の指導やら、苛められている昔の同級生に心を砕くようになる一方、

    香織の武士道への傾倒ぶりを別世界の出来事のように見守っていた早苗は
    学校の名誉のため、弱い選手を切り捨て
    ただただ勝ち上がることだけを強要する転校先の剣道に違和感を抱き、
    「時間をかけて深くその道を追求するような」
    武士道の在り方を意識し始めて。。。

    相変わらず誇り高い桐谷先生、飄々としながらも頼もしいたつじい、
    犯人を庇って重傷を負うという漢気を見せた香織の父、
    木刀1本で暴走族の大群を病院送りにしたという伝説の男、吉野先生と
    信頼できる大人に見守られながら
    自分なりの「武士道」を見つめ、成長するふたりが爽やかです!

  • 正しい論理とは誰にでも分かるようなごくシンプルなものなんだ

  • 前巻の終わりに迎えた邂逅の顛末が今巻前半で明かされる。

    正反対だからこそぶつかり合って、解り合った。そんな二人の涙を堪えた別れ。
    それぞれに思うところがあって当たり前で、その内面が今巻で明らかになって、ますます香織と早苗を好きになる。
    16のころの香織だったら、17の早苗のことを「敵だ!」とほぼ白目で睨むんだろうなぁ…と思うと、「盟友」と迷わず想った彼女に目を細めてしまう。

    さて、二人が求める「武士道」とは。
    奇しくも二人の身近な大人がその道のなんたるかを、別々の場所で指し示してくれた。
    (そして、昔両親と一緒に見た何かの時代劇で「安心せぃ、みねうちじゃ」というセリフを吐くお侍さんを思い出す)
    そも日本古来から伝わる「道」とつくものに共通するものがなんなのか、私の目の前もぱっと開けた感じがした。
    剣を振るうことも、
    花を生けることも、
    相手を素手で投げることも、
    茶を点てることも。
    どれにも通じるものは、心の清らかさや佇まい、人としての正しさじゃないだろうか、と思った。
    18で二人はさらにどんな成長を見せるのか。

    高校生のころの1年間って、本当に大きいなぁ。

    • まろんさん
      香織も早苗も、自分たちで思っている以上に影響を受け合って
      16歳の頃は思ってもみなかった方向に成長していくのが
      眩しく、いとおしい『セブンテ...
      香織も早苗も、自分たちで思っている以上に影響を受け合って
      16歳の頃は思ってもみなかった方向に成長していくのが
      眩しく、いとおしい『セブンティーン』でした。
      たった1年であんなに伸びやかに成長できる高校時代。。。
      懐かしくも、羨ましいですね(笑)
      2012/09/08
    • 永遠ニ馨ルさん
      こんにちは、まろんさん♪
      思ってもみなかった方向へ、それぞれの影響で
      もちろん良い方へ変わっていく姿が清々しいですよね。
      あのころの自分に、...
      こんにちは、まろんさん♪
      思ってもみなかった方向へ、それぞれの影響で
      もちろん良い方へ変わっていく姿が清々しいですよね。
      あのころの自分に、これだけのめり込めるものが何かあったら違ったのかなぁ…なんて思わず詮無いことを考えてしまいます。
      だからこそ、この武士道シリーズが愛おしいんでしょうね。
      2012/09/09
  • 4.7
    面白かった。
    武士道ってあまり気にしたことがなかったけど、
    この本を読んで武士道について色々と考える機会ができた事に感謝!

  • 転校してからの早苗と香織
    色んな感情が織り込まれ成長していく二人。文句なしのセブンティーン!
    逃げずに頑張る‼︎
    緑子お姉ちゃんのブラックホール理論には、なるほど と思えた。何事もシンプルには常々思っていたので共感できた。

    武士道いいね。次も楽しみだわ。

  • 続編も面白かった。前作に比べ、香織の変化、私はこっちの香織がいいと思います…相変わらず、毒を吐くとこも(笑)…人にどう見られるとか思われるとか気にせず、厳しいことを言うって誰でも出来ない事。それが出来る香織は心が強いね。こういうところが小さい頃から厳しい剣の修行をしてた賜物だね。香織のお父さんと早苗の高校の顧問の先生が言ってた剣道に対する考え方に感銘を受けました。

  • 武士道3部作のシリーズ2作目。高校2年になった女子剣道部員の香織と早苗の青春物語。
    これ、面白いねー。文章の軽さが心地良いです。
    剣道についてあまり知識がなくてもすんなり読めてしまうのは、
    丁寧に話を書いている著者の筆力のたまものなのでしょうが、
    軽いタッチで描かれる女子高生としての彼女たちの姿もまた魅力です。
    今回は香織の”新”相棒の田原との掛け合いとか、
    彼氏役をひきうける清水君とのやりとりが特に面白くて読みながら顔がにやけてしまいました。
    また、前回から気になる存在の河合さん、彼女はやはり魔性の河合でした。(笑)
    他にも桐谷先生やお姉ちゃんなどとても愛すべきキャラクターが登場します。
    個性の描き方が上手いなぁ。

    物語自体とても読みやすく心地よい軽さですが、
    その軽さの中に、どすんと重石が差し込まれます。
    「剣道」はスポーツなのか、それとも武道なのか。
    何気に読んでいく中で、ふと考えさせられるタイトル「武士道」の意味。
    剣道とは誰も殺さんですむように、誰一人傷つけずにすむように、
    そういう社会をきずいていくために生まれた技―
    奥が深い言葉ですね。
    願わくば二人の武士道が近い将来一つに交わらんことを。

    武士道エイティーン、早く読みたい。

  • 登場人物それぞれの心技体の成長過程が剣道を通して見えてくる。心を打つ。次巻も楽しみ。

  • 武士道シックスティーンの続編。
    前回、別の道に進むことになった香織と早苗。
    高校二年生に進んだ二人はそれぞれどんな毎日を、どんな思いで過ごしているのか気になるところです。

    前作で、全く違った剣の道を通ってきた二人の思いが、まるで磁石のプラスとマイナスのように引かれあって、本当の同志になれた、と思ったときに降ってきた別れ。
    福岡へ行くことになった早苗を見送りにきた香織。剣道は続けるんだろうな、という香織に、実は剣道名門校への転入が決まっていた早苗は事実を伝えられず、やめちゃうかも、なんて衝撃的な一言を残して旅立ってしまうところから始まります。

    前作では、自分の目指す武士道が見えなくなり悩んだ香織ですが、二年生になり後輩もでき、早苗という同志がいつも心の奥にいることもあって、いい感じに成長していっていて、何だか我が子を見守る母親のような気持ちになりました。

    一方、今度は早苗に迷いや戸惑いが生じます。新しい剣道部の方針が全く自分とは合わないこと、自分にとってどれだけ香織たちと過ごした日々が楽しかったかを思い知るのです。剣道を楽しみながらやってきた早苗にとって、勝負のためだけの剣道、楽しむことなんて全く考えることも許されない中に入っていってしまうなんて酷ですよね。
    でも、その辛さの中からも自分の目指す剣の道をしっかりと見いだしたとき、早苗はとてつもなく強く成長していくんだろうな、と思いました。

    そんなわけで、今回は前作よりも若干、重い空気が漂うものの、読み終わったときにはこれぞ青春!といった爽快感と充実感、そして純粋に感動を覚えました。

    最後の二人の会話、良かったな。

    早苗の高校のへんてこりん顧問。実は理解ある良い先生だ。お友達のレナも昔の香織以上の勝負にこだわる人だけど、やっぱりいい子だ。
    それにただただ怖いだけだった(笑)早苗の姉も今回いい名言を残してます。

    冒頭で述べられているように別々の道を歩み始めたが、それは同じ大きな道の、右端と左端なのだ、という言葉がぴったり当てはまる二人でした。

    2009年12月30日読了

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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