兄弟 上 《文革篇》

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163271606

作品紹介・あらすじ

「母さん、安心して。最後に一杯しかご飯がなかったら、弟に食べさせてあげる」隣人が隣人をおとしいれる文革の時代に、出会ったふたつの家族。男は、やさしい男の子をつれ、女は、つよい男の子をつれていた。ふたつの家族はひとつになり、ふたりは兄弟になった-。

感想・レビュー・書評

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  • ほんの50年前にこんな犯罪が 人間の弱さと悪

  • 親同士の再婚で兄弟になった二人。文革の理不尽さは色々書かれているが、この兄弟の父親の子供たちや妻への愛に心が震えた。
    親子2代にわたり便所で女子の尻を覗くという強烈なインパクト!忘れられない。

  • 文革が酷いのか、民族性なのか?日本人も戦後のドサクサは一緒か。

  • 最初の数十ページが、トイレ話で引く。気持ち悪くて読み進まなかった。
    中国名が覚えられないのも、読み進まなかった理由かも。多分、これから物語がどんどん進むんだろうな。

  •  文化大革命に翻弄されながら生きる家族を描いている。作者の語り口の妙なのか、当時の中国の日常を肌で感じられた。兄弟(宋鋼、李光頭)が主題だが、その母親である李蘭の生きる様を通じて作者の母への思いが伝わって来るようだ。

  • これ以上面白い中国の現代小説はあるのだろうか。物悲しさと爆走感が、信じられないくらい絶妙にミクスされている。必読。

  • 中国文化大革命の頃--私は中学生だった--互いに男の子を連れた男と女が結婚して、二人の男の子は兄弟になった。宋鋼と李光頭、吹き荒れる文革の嵐の中で、両親を失った兄弟はそれでも逞しく生き抜く。
    出だしから度肝を抜くとんでもない場面の連続、文革に飲み込まれる人々を描き、かわらない人間を描く、すごい小説です。

  • 初の中国文学(翻訳物)。文革は中国を知るうえでは欠かせない。深刻な時代なはずなのに、この作風で本当に戸惑う。国の善し悪しと同じで小説の善し悪しも判断不能、でもそれが中国なのでまさに読者に与えるこの戸惑いは、作品として上出来だと思う。中国生活で体感したこの戸惑いは本当にしっくりくる!
    主人公が生きたのは、価値観がひっくり返る激動の時代。戸惑いの中で懸命に生きるだけの時代。逞しく下世話で、超中国!

  • 文革から解放経済へ。時代を反映して、物語の主題が尻から処女膜に移っていく。

  • 血のつながっていない李光頭と宋鋼がいかにして兄弟となったか。そして李がなんともどうしようもない人間だが、従来のピカレスク小説の様に一人称では語られない。そして悪人を中心に社会は動いていないが、村は劉鎮は李にふりまわされるが・・。著者も言うように極端な悲劇と極端な喜劇がない交ぜになったこの小説はこの四十年の中国の民衆の生活とその変貌が詰まっている。
     日本や欧米の現代小説を読みなれた読者からすると、この小説の人物の描写が類型的で、直情型の様に描かれているとついとらえがちである。20世紀の話なのに 19世紀に思える。これは事件が社会が時代が個性や感情をブルドーザーのように押しつぶしていったことがその背景にある。

    大きな事件があると日常の瑣末なことは火事の下のシーツのしみのように目だなくなってしまう。
    瑣末と思われることでも そのとき そのときは当人には重要であり、その近視眼と鳥瞰とで描かれる本書 上巻はジェットコースターにのせれれている感覚を読者に与えてくれる。
    中国のエネルギーを感じる本。

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著者プロフィール

1960年中国浙江省杭州生まれ。両親の職場の病院内で、人の死を身近に感じながら育つ。幼少期に文化大革命を経験。89年には文学創作を学んでいた北京で天安門事件に遭遇した。80年代中頃から実験的手法による中短篇作品で「先鋒派」作家の一人として注目を浴び、91年『雨に呼ぶ声』(アストラハウス)で長篇デビュー。92年発表の『活きる』(中央公論新社)が張芸謀(チャン・イーモウ)監督により映画化されて話題を呼ぶ。本作『兄弟』は中国で05年に上巻、06年に下巻が発表され、またたくまにベストセラーとなった。他の長篇作品に95年『血を売る男』、17年『死者たちの七日間』(いずれも河出書房新社)、21年『文城』(未邦訳)がある。グランザネ・カブール賞(イタリア)、フランス芸術文化勲章「シュヴァリエ」受賞。作品は全世界で2000万部以上、40以上の言語に翻訳されており、ノーベル賞関係者が中国で必ず面会する作家のひとり。

「2021年 『兄弟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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