汐留川

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163234106

作品紹介・あらすじ

王冠の形を模したような日劇、軍艦ビルの異名をとり重厚感溢れる朝日新聞社屋、新橋を渡る都電…。昭和三十年代の銀座の風景は、半世紀近くを経て大きく様変わりした。卒業から四十年ぶりに小学校のクラス会が開かれることになり、幹事の達也が思い出すのは、転校していった百合と二人して外濠川でボートに乗ったこと。彼女は今日来てくれるだろうか-。日劇、朝日新聞社屋、都電、そして外濠川…。昭和三十年代の銀座の情景が甦る表題作など、都会を舞台にしながら、郷愁を誘う大人のための小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 男性なら死なない限りいつかは辿り着く50代という年齢について、まだまだ先のような気もするし、でも気が付いたらあっという間になっているような気もするし。その時に向けて悔いのない毎日を送ろう的な自己啓発本もいろいろあるけど、そんな毎日なんて普通ないし、でも全く何もないわけじゃないんだな、きっと、と後ろ向きながらも希望が持てる。

  • 小学校5年の時に転校により別れたきりの幼馴染の思い出がつまった美少女との40年ぶりの出会いを前にした52歳の男性の心を描いた表題作。昭和30年代の汐留、銀座、築地などの情景をも髣髴とさせる素晴らしい作品でした。50歳を前にして社内出世競争からあぶれた心の空白を描く「人生時計」。バイク便の青年が出会った公園で毎日佇む紳士の寂しい境遇を描いた「走る男」。そしてどう考えても冴えなかった中学の同窓生との約40年ぶりの出会いと彼のその後の成功ぶりを見ることを通して彼の人生を考えさせる「卒業写真」。知らなかった父の過去に触れる「散骨式」など。いずれも私自身の人生の同じ時期に当たる男性が主人公であるだけに、辛いような、甘いような短編の数々です。いずれも叙情性にあふれ、余韻が残るエンディングになっています。

  • 王冠の形を模したような日劇、軍艦ビルの異名をとり重厚感溢れる朝日新聞社屋、新橋を渡る都電…。昭和三十年代の銀座の風景は、半世紀近くを経て大きく様変わりした。卒業から四十年ぶりに小学校のクラス会が開かれることになり、幹事の達也が思い出すのは、転校していった百合と二人して外濠川でボートに乗ったこと。彼女は今日来てくれるだろうか―。日劇、朝日新聞社屋、都電、そして外濠川…。昭和三十年代の銀座の情景が甦る表題作など、都会を舞台にしながら、郷愁を誘う大人のための小説集。

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著者プロフィール

1952年、東京生まれ。一橋大学社会学部卒業後、

読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に

新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興

亡』(文春文庫)で大宅壮一ノンフィクション

賞を受賞。1996年、『兵士に聞け』(小学館文

庫)で新潮学芸賞を受賞。以後、『兵士を見よ』

『兵士を追え』(共に小学館文庫)『兵士は起つ

 自衛隊史上最大の作戦』(扶桑社新書)と続く

「兵士シリーズ」を刊行。7作目『兵士に聞け 

最終章』(新潮文庫)で一旦完結。その後、2019

年より月刊『MAMOR』で、「兵士シリーズ令和

伝 女性自衛官たち」の連載を開始。ほかに小説

『汐留川』『言問橋』(共に文藝春秋)、『デルタ

 陸自「影」の兵士たち』(新潮社)、

『OKI囚われの国』(扶桑社)など著書多数。

「2022年 『私は自衛官 九つの彼女たちの物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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