大地の子 上

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 296
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163122700

作品紹介・あらすじ

文化大革命の嵐の中で迫害される中国残留孤児。関東軍に置去りにされた満洲開拓団の孤児たちのたどる苦難の道を、雄渾に描いた会心の大河長篇。文芸春秋読者賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 20年以上前に見たNHKのドラマが忘れられない。だが、いつか読もう読もうでずっと先送りにしてきた(山崎豊子の本は全部そう)。図書館の「今日返却された本」コーナーに並んでいたのをようやく手に取る。夜21時ごろ読み始めたら止まらない。最終巻まで、寝て起きてまた読んで、翌日19時前に読了。ドラマチックすぎだけど、やっぱり面白いし、感情に訴えかけ、しかしどこか抑制が効いた文体で、何だかこの時期の中国ならさもありなんとか思わされてしまう。こんな激動の、諸国を駆け巡った主人公は実在はしないだろうが。

  • 以前ドラマで見たのを思い出して読みたくなった。
    しっかりとした筆致で
    文化大革命の頃の中国や
    敗戦直後の入植者団の逃亡を描いている。
    毛沢東時代の中国を知ると
    今の中国が目指している社会を想像し、
    恐ろしさを感じる。
    また、中国サイドから感じる日本人像もわかる。
    歴史は繰り返すというが
    繰り返してはならない歴史もある。
    歴史を教訓にしたい。

  • 上中下、全3巻の大作。
    ボリュームは大きいが、夢中で読んだ。
    今年読んだ中で一番の長編で、一生の財産になる傑作だと思った。山崎豊子さんの文章の語彙力と表現力が飛び抜けて上手で驚いた。

    この視点で見れば、この人の考えは正しい。
    でも、こっちから見れば、全く逆で相手が憎く感じる。その両方が描かれていたので、双方の主張を考えることができた。
    すべては想像力の欠如と、自分さえよければ良いという人間の醜さ。しかし極限状態に陥った人間の振る舞いを、決して否定はできない。憎しみは連鎖し続けて、決して消えない。中国と日本。今の関係にもつながる大切な歴史を垣間みることができた。

    時代に翻弄されながらも、ひたむきに、自分の感情に正直に生きている陸一心が魅力的。そして、義父の陸徳志の人間性、あたたかみに涙が止まらない。相手の立場や人種といった色眼鏡は全て取っ払って、一人の人間として相手と向き合う。自分だって厳しい状況であるのに、その行動が取れることに敬服する。師と仰がれるに相応しい人格者。この人の精神は、今後もずっと見習っていきたい。

    歴史は苦手、でここまできてしまったが、最近の情勢を見てそんなこと言っている場合ではないと、恥ずかしながらウィキペディアを片手に読み進めた。調べれば書いてあったが、興味がなかった。この本を読んで、歴史に興味が湧いてきた。人の受け売りでなく、自分の頭で考えられる人になりたい。良いきっかけをくれた本。

  • どっぷり

  • 中国残留孤児の苦悩の生活が緻密に描写され、中国の戦後の生活・思想がよくわかる。理不尽ながらも正論が通用しないなかで生きるのはつらい。それにしても山崎豊子の調査力は長けている。

  • 上巻は入り込めなかった。

    中国残留孤児の話ですが、たった数十年前にこんな酷いことがあったんですよね。

    話としては読ませてくれますが、全く実感が涌かないのと、言葉が引っ掛かり、少し飽きそうになります。

    なんか小説というより、歴史の勉強をしているみたいです。

    歴史を勉強する取っ掛かりとしていいのではないでしょうか。

    上巻まででは、「沈まぬ太陽」の方が面白いかな。

  • 『沈まぬ太陽』を読んでからずっと読みたかった本。
    中国残留孤児の陸一心が主人公。いろんな境遇の中で生きた多くの残留孤児の中では恵まれていたのだろうか・・・周りの人間や育ての親など多くの人たちに助けられながら出自ゆえの困難に向き合っていく姿を追っていく。
    沈まぬーもだけど女性作家が描いたとは思われないほどの大作。他の作品も読んでみたいと思っている。

  • ずっと読みたかった山崎豊子の作品。
    思っている以上に知らない歴史が多くあり、知る必要があることに気づかされた。
    小説の舞台は中国の旧満州。いわゆる残留孤児を描いている。
    小さい頃にテレビで見た光景がコレだったんだ。あの頃は意味もわからず陰気くさいとしか感じていなかった。
    毛沢東の誤った政策により、こうして犠牲になった人は公表されていないだけでかなりの数になるのだろう。
    最近、貿易や旅行を始めかなり近くなった印象のある現在の中国にも、こうした気質は脈々と続いている。
    情報化社会により昔のように全てを隠し通すことは出来ないであろうが、平和ボケ・間違った自由を謳歌する我々日本人にはピんとこないだろう。
    文章力や描写もバツグンで、最近の作品で感じていたフラストレーションは一気に吹き飛んだ。続編が楽しみな前編であった。

  • 感動した。
    語学研修時代に高邑とまわった貧しい村を思い出した。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

山崎豊子の作品

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