三体III 死神永生 上

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152100207

作品紹介・あらすじ

三体文明の地球侵略に対抗する「面壁計画」の裏で、若き女性エンジニア程心(チェン・シン)が発案した極秘の「階梯計画」が進行していた。目的は三体艦隊に人類のスパイを送り込むこと。程心の決断が人類の命運を揺るがす。シリーズ34万部以上を売り上げた衝撃の三部作完結!

感想・レビュー・書評

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  • 宇宙という壮大なスケールのこの物語を読んでいると、身近な悩みが小さく感じる。

    三体文明の地球侵略とそれに対する人類の抵抗を描くストーリー。
    人類とは全く異なる三体人の文化と思考。
    生々しい人類の抵抗。
    異なる文明が混じりあうことによる、二つの文明の成長と進化。
    最高におもしろい!

    どんな結末が待っているのか、続きが楽しみ!

  • 知的生物の存在が知られたとたんに、他の知的生命から排除の攻撃を受けるという暗黒森林理論というのが、なかなか納得はできないのだが、これを軸に話は展開する。ひと昔前の小説みたいに、大柄な物語性があるので、結構読まされてしまう。地球を攻撃するなら、全宇宙に向けて三体世界の座標を知らせるという暗黒森林抑止の執剣者が羅輯から程心に譲渡されたとたんに、三体世界が攻撃を始め、たちまち地球を占領してしまう。程心の抑止の力は低くみられていたというか、なめられたわけだ。発信した地球の存在も知られてしまうので、程心はためらったのだ。地球が三体世界に支配された後の地球人たちの反応なんかは、きっと作者の書きたかったことなのだろう。四次元の入り口に遭遇した宇宙船の話や、程心と雲天明の純愛など、多くの要素で小説を彩っている。さて、三体世界から解放された地球はどこへ向かっていくのか。下巻に詳しく書かれるのだろう。文明へのいろいろな問題提起のある小説だと思うが、作者の手のひらで踊らされている感は強い。

  • また少し難解になってきました。。
    一度は落ち着いたと思いましたが、まだまだ話が広がっていきそうな予感がします。
    しかしこれだけの大きな話をコントロールして描いているのはすごいなあと思います。
    幹がしっかりしているので枝の部分が分からなくてもなんとか楽しく読めます。

  • 表紙は一つの星の崩壊場面である。これが地球ではない保証は何処にもない。

    上巻を読み終わった。ホントにSFなのか?上げて下げて、上げて下げて、もう一度上げて。普通これで物語を終わらすでしょ?未だ半分なの?

    このシリーズ全体に言えることなんですが、ケレン味たっぷりなんですよ。SF理論部分はついていけない程に専門的なんですが、ストーリーは作者か若い時から浴びて来た〈最近の〉小説や映画が基になっているに違いない。

    例えば、本書の1/3を占める第一部は、ほとんど韓流恋愛ドラマです。

    「三体危機」が世界的に知れ渡った頃、独身の一介の研究者が末期癌で死にそうになっている。そんな時に友人がやってきて「あのときのお前の一言で俺は億万長者になれたんだ」と言ってポンと300万元くれる。男はそのお金で自分の癌を治せないと確認すると、学生時代の片思いの女性のために、北斗七星のそばの5.5等級の恒星をプレゼントすることを思いつく。三体危機の下、国連が資金集めのためにそんな詐欺紛いのことまでやっていたのである。その女性は匿名のプレゼントに小躍りして喜ぶ。お互い天文学徒だったので、プレゼントの価値はよくわかるのである。一方、優秀なその女性は、三体世界に人間の「脳」を送り込むという「階梯計画」の担当者だった。男は安楽死法のもと、死のうとしていた。正にその時、男の前に片想いの彼女が現れる。「安楽死法は、階梯計画の候補者を見つけるために作られたのよ」。おゝこの気持ちのすれ違い!!彼女は、男のことが何故か気になり候補者から外してもらうように画策するが、すればするほど男の候補的確%は上がってゆく。女性に、男がプレゼントの渡し主と知らされたのは、男の「脳」を乗せたロケットが三体艦隊に向けて発射された後だった‥‥

    ベタベタの恋愛ドラマじゃないか。
    ところが、これが壮大なSF展開の伏線かもしれないのである(多分そうだろう‥‥)。

    女はあくまでも美しく描かれて、男はあくまでもカッコよく描かれる。大衆や政府は情勢次第で敵になったり、味方になったり目まぐるしい。

    ちょっとあざといぐらいの大衆文学である。あと一巻、どう決着つけるんだろ。
    ‥‥ところが、直ぐにも読みたいところなのに、手元に下巻がない。数日前までは予約ゼロだったのに、今日見たら私含めて予約が3人。まるで本作のように先が見えない。次のレビューは1.5ヶ月後ぐらいになるかな。

    不気味なのは、序文にあたる「『時の外の過去』序文より抜粋」という文章である。かつて作者が引用したことのある『銀河英雄伝説』の真の主人公は、ラインハルトでもヤンでもなく実は「後世の歴史家」であるというのは、ファンの中に一定支持のある定説である。その段でいくと、突然出てきたこの『時の外の過去』という書物(?)は、自ら「過去に起きたことではなく、今現在起きていることでも、未来に起きることでもない」と説明している。勿論、その言い方自体が伏線なのは間違いないが、私が言いたいのはそのことではなく、この未曾有のベストセラー小説の全体構造を示しているとも思えるからである。そのことの言及は、次巻に譲りたいと思う。

  • 感想は次の最終巻にて纏めて記載。

  • 完結編三体死神永生上巻。
    奇想天外な話に非常に満足いく読書だった。
    三体世界の攻撃に瀕死の地球が、予想の斜め上からの起死回生の一手。三体以上の脅威に地球はどう対処するのか。最後の下巻へと続く。

  • 【感想】
    ジェットコースターのようなストーリー展開だ。
    見かけ上友好な関係を築いていた三体文明にあっけなく裏切られ、水滴によって重力波送信システムが破壊される。三体世界に支配された人類が口減らしにあい淘汰されていく……と思ったら、藍色空間は破壊されておらず、逆に万有引力を制圧。その過程で四次元時空に潜り込み、第三の知的生命体と接触。そして重力波を送信し、三体世界を破壊することに成功する。地球の寿命は再び延びたものの、全宇宙に居場所が割れてしまったため、生き残れる可能性はごくわずかだ。そんな中で交わした、程心と天明の会話の意味とはいったい……?
    毎回毎回、この難しい設定の中でよくドラマ性を保てるなぁ、と感心してしまう。

    さて、ここに来て最大の敵であった三体世界が滅亡したわけだが、いったいこれからどうなってしまうのか?新しい敵に対して、人類が取る道は戦争なのか?それとも融和なのか?

    いよいよ次で全てが完結。楽しみで仕方ない。

    ――――――――――――――――――――――――
    【まとめ】
    国連は、面壁者計画と同時期に「星群計画」を策定していた。
    星群計画とは、国連主催のもと太陽系外の特定の恒星とその惑星に関する権利をオークションで販売する計画である。売上は国連の太陽系防衛システムに関する基礎研究に充てられる予定だったが、全く売れずにすぐに打ち切られた。

    当時末期の肺がんに侵されていた天明は恒星を購入し、かつて恋心を抱いていた程心に匿名でプレゼントした。
    その後天明は安楽死法によって自らの命を断つことに同意したが、実施の寸前に投薬をキャンセルされた。ベッドの上から外を見ると、ガラスの向こうには程心が立っていた。

    程心は、PDC戦略情報局(PIA)技術企画センターの室長を補佐する航空宇宙技術アシスタントの職についている。三体艦隊とその母星を対象とした諜報機関だ。
    PIAに与えられたミッションは「三体艦隊に探査機と人類のスパイを一人送りこむ」こと。程心はこの難解なミッションに対し、「探査機の軌道上に核爆弾を配置し、爆発の推進力によって探査機を光速の1%まで加速する」というプランを提示する。通称「階梯計画」である。
    これまで人類が行なってきた諜報戦では、身元が完全に暴かれているスパイが敵内部に侵入することはまったく意味のない作戦行動だったが、この戦争はわけが違う。三体人は思考が透明で、謀略に弱い。接触さえすればこちらには全てが筒抜けなのだ。PIAは、潜入に成功した彼または彼女がそこでなにをするか、作戦を考える必要さえない。スパイを敵艦隊に送り込むことに成功すれば、無限の可能性が開けるのだ。

    光速の1%の加速を達成するための課題は、冬眠システムの軽量化である。これを解決するためのプランとして、程心は「超低温まで急速冷凍した人体を送る」ことを提案する。こうすれば生命維持システムも必要ない。人類の目から見れば間違いなく死人だが、三体人は脱水した人間の蘇生テクノロジーを持っている。スパイをあえて三体人に鹵獲させ、生きかえらせることで情報を得るのだ。
    だが、ここまで軽量してもまだ重すぎる。加速のための重さに許されるのはたった500gだ。
    そこで、程心の上官であるウェイドは「脳だけを送り出す」ことを提唱する。
    脳だけを取り出す、ということはすなわち選ばれた人間は死ななければならない。この人選のために施行されたのが安楽死法だったのだ。

    そういうわけで、程心は天明の前に姿を現した。「死んでくれ」と告げるために。
    計画の詳細を聞いた天明は、「もちろん、引き受ける」と言い、脳摘出によって死亡した。

    しかし、階梯計画は結局、目標の半分しか達成できなかった。光速の1%まで加速することは実現したものの、爆破時にケーブルの一本が切れ、探査機が予定針路を逸れてしまったからだ。
    程心は階梯計画の連絡係をつとめるため、冬眠して未来へと飛ぶ。

    ――――――――――――――――――――――
    暗黒森林抑止の成立から数十年経ち、宇宙船「青銅時代」が地球に帰還するものの、乗組員は全員第一級殺人及び反人類罪で拘束された。人類はもはや彼らのことを異星人同様の存在としか思っていなかった。最終的に、ニール・スコット元艦長およびその他6名の元上級士官は、反人類および殺人の罪により終身刑の判決が下された。残り1,768名のうち138名だけが無罪を言い渡され、それ以外の者は全員、20年から300年までの有期刑に処せられた。

    この事実を青銅時代からのメッセージで知ったもう一つの生き残り艦隊「藍色空間」は、フルパワーで加速して太陽系から離れていく。この逃亡者を太陽系艦隊が新たに建造した「万有引力」と、三体世界の「水滴」が追跡する。約50年程度で追いつく見込みだ。

    冬眠から264年経ち、程心は目覚める。天明からプレゼントされた恒星「DX3906」には地球とよく似た惑星があることが発覚し、宇宙戦略上の価値が生まれていた。

    暗黒森林抑止が始まってから60年、100歳になった羅輯はずっと、暗黒森林抑止の制御権を握りつづけていた。彼の手は、まず太腸をとりまく核爆弾の輪の起爆スイッチを握り、ついで重力波送信スイッチを握った。2つの世界の戦略的バランスは、ピラミッドを逆さにしたように、羅輯というたったひとりの個人に支えられて成立していた。暗黒森林抑止は、二つの世界の頭上に吊り下がるダモクレスの剣だった。そして、その剣を吊している細い糸が羅輯だった。このため羅輯は、執剣者(ソードホルダー)と呼ばれた。
    やがて人類は、三体世界に対するいかなる政策も、執剣者を抜きにしては考えられないことを認めはじめた。執剣者に承認されなければ、人類の政策は三体世界においてなんの効力もない。かくして執剣者は、かつての面壁者がそうだった以上に、絶大な権力をもつ独裁者となった。時が経つにつれて、かつて救世主だった羅輯に対する世間のイメージは、得体のしれない怪物、世界を破壊する暴君というものへ、ゆっくりと変わっていった。

    一方、三体世界と人類との関係はどんどん良化している。三体世界は地球に科学技術を惜しみなく提供し、人類の価値観を受け入れ、人類文化を尊重した。今や、三体世界の智子(ソフォン)に制御された女性型ロボット「智子」が、地球と三体世界の交流の架け橋となっていた。

    程心は執剣者に立候補し、当選する。それは抑止システムの制御スイッチが羅輯から程心に委譲されることを意味する。
    スイッチを委譲した5分後、地球から1500キロメートル以内の宇宙空間を監視する早期警戒管制機システムが一斉に警戒アラートを表示した。潜伏していた6機の水滴が地球めがけて急接近してきたのだ。
    程心はスイッチを押すことができず、地球の重力波宇宙送信システムの全てが破壊された。暗黒森林抑止はここに終わりを迎えた。

    抑止終了後、智子は「4年後、三体文明の第二艦隊が到着して、太陽系の全面征服を完了する」と、全世界に向かって宣言する。「三体文明はもはや人類文明の殲滅を意図しておらず、太陽系内に人類居留地を設ける計画である」と智子は語った。具体的に言うと、オーストラリアと、火星地表の三分の一が人類に与えられる。
    三体世界が地球文化に愛情と敬意を払っていたのは本当だった。オーストラリアへの第一次移住が順調に行われれば、三体艦隊の到着後に、占領者が快適な生活を与え、宇宙及び火星に新たな居住施設を建設する。ただし、移住しなかった人間は、どんな理由があろうとも処刑される。
    かくして、すべての人類のオーストラリアへの大移住が始まった。太陽系艦隊にいる百万人は火星へ移動した。

    移住が開始されてからというもの、もともとオーストラリアに住んでいた人間とオーストラリア政府は、突如特権を付与されたようなものだった。資源の豊富な沿岸地帯は、オーストラリア人だけが居住できる保護領土に指定された。
    政府による移民への締め付けも次第に強まっていく。それに反抗した移民がシドニーを襲撃し、都市を略奪する。続いてキャンベラに標的を移した移民は、オーストラリア軍によって銃撃され、50万人以上が死亡した。「キャンベラ虐殺」である。
    移民の社会にも、深刻な変化が起こっていた。民主主義は独裁制よりも凶悪であることが判明し、だれもが社会の秩序と強力な政府を切望した。ファシズムをはじめ、とうの昔に見捨てられていたあらゆる思想が、歴史の墓地から這い出してきて世論のメインストリームとなった。宗教の力も再発見され、おおぜいの人々がさまざまな信仰や教会のもとに集った。かくして、全体主義よりもさらに古い、神権政治というゾンビが復活した。国家間の衝突も頻繁に起こった。
    このとき、社会が完全に崩壊するのを食い止めていたのは、三体文明第二艦隊の存在だった。智子の約束を全人類が心に刻み、艦隊の到着が、この大陸にいるすべての人に快適で平和な生活をもたらしてくれるのを夢見ていた。かつての悪魔は救いの天使に変わり、唯一の精神的な支えとなっていた。

    移住完了後、智子は電力をはじめとする現代技術の使用禁止を宣言する。農業プラントが使えなくなることで不足する食料は、生きている人間を食べて補わせる。人類淘汰計画の実行だった。
    智子「来たるべき生存競争で、人類の大部分が淘汰されるでしょう。3ヶ月後に三体艦隊が到着したとき、この大陸には3000万人ないし5000万人しか残っていないはずです。最終的な勝者たちは、自由で文明的な生活を送ることができます」

    ――――――――――――――――――――――
    ときは少し戻り、水滴が地球上の重力波宇宙送信システムを破壊していたころ、藍色空間は万有引力を制圧していた。護衛についていた水滴は謎の力により無力化されていた。
    チュー・イェンが万有引力を制圧できた理由は、歪曲ポイントを通過することで四次元空間にアクセスしたからであった。四次元空間からは三次元空間の全てが見え、壁や密閉容器の内部にも容易にアクセスできる。
    制圧後、四次元空間のかけらの内部を探索していたグァンは、内部に浮かんでいたリングと交信する。地球と三体世界以外の知的文明との、初めての接触であった。

    藍色空間の艦長であるチュー・イェンは、太陽系内の三体勢力を追い払うため、万有引力に搭載されている重力波宇宙送信システムを起動し、三体系の座標を全宇宙に発信する。その後は地球も絶滅の危機にさらされる。

    座標送信を知った三体星系の第二艦隊は方向転換し、太陽系を離れ始めた。智子と治安軍はオーストラリアからの撤退をサポートし始める。
    地球は、再び寿命を少し先延ばししたのだ。死の星系となる代わりに。

    重力波送信後、社会はほどなく落ち着きをとり戻し、人々は生活の再建をはじめた。都市部や工業関係のインフラが良好に保存されていたので、各方面での回復は早かった。都市に残された傷跡は2年足らずで完全に消え、以前の輝かしい繁栄が復活した。あらゆる人々が、またひたすら人生を楽しむようになった。

    羅輯が恒星座標を全宇宙に向かって送信してから破壊されるまでには157年かかったが、藍色空間が重力波を送信してから3年と10ヶ月後に、三体世界は破壊された。どこかに浮かぶ宇宙船からの光粒攻撃だった。

    次の標的は地球である。だが、人類にはわずかな希望が残っていた。全宇宙に向かって全く逆の、つまり「安全通知」を送信することで、暗黒森林攻撃を避けられる可能性が出て来たからだ。

    智子が地球を去る直前、智子は程心に「天明があなたに会いたいそうです」と告げる。
    地球と太陽のラグランジュ点でふたりきりで会合した程心と天明。プライベートな話のみ許された彼らは、2時間の会話の後、三体艦隊と太陽系にそれぞれ戻っていった。

  •  三部作の最終巻。地元の図書館にやっと入ったので借りる。自分が最初の貸出者だったようだ。
     壮大なスケールのホラ話こそSFの醍醐味だと思う。それを感じさせる作品。以下、下巻へ。

  • 楽しみにしていた「三体」三部作の完結作。

    面壁者、羅輯(ルオ・ジー)が行った面壁計画により、宇宙は暗黒森林であると知らされた。
    危機紀元、羅輯が面壁者に抜擢された際、同時に国連惑星防衛理事会戦略情報局(PIA)の程心(チェン・シン)は、階梯計画(ラダー・プロジェクト)を実行すべく雲天明(ユン・ティエンミン)と再会していた。

    コールド・スリープにより、時代が数世紀にも及ぶ広大な作品で、毎回ワクワクします。

    科学的なSFだけにとどまらず、心理的な描写の繊細さに心を打たれると共に、人類の歴史にも伺える残酷な運命に驚かされたりなど、想像を絶する展開がこれでもかと巻き起こります。

    人類が立てる地球防衛計画としてはどうなの?って思うものも多少ありますが、後々それらの計画が生きてくる。

    「三体」では、フェルミのパラドックスが、宇宙は暗黒森林であるという前提で話が進んでいますが、現実で地球外生命期待の動画や記事を見るたびにこの説を思い出し、「そんなに騒いじゃ危険、静かに!」って思ってしまうのは私だけでしょうか?笑

    下巻読み終わっちゃうのが悲しい。
    期待大です。

  • 中国のSF小説『三体』シリーズ第3巻の上です。
    三部作として完結となる死神永生ですが、1巻の文化大革命時代から遠い未来までの筋がしっかりと通っていることに驚愕しました。
    航空宇宙エンジニアの程心と学友だった雲天明、三体文明が制御する日本人型ロボットの智子がキーパーソンとなります。
    2巻の黒暗森林で確立された冷凍保存技術によって西暦を生きた何人かは未来でも生き、新人類が築く地球世界に影響を及ぼしました。
    その際の重要人物であった無名の学者であり面壁者の羅輯と、三体艦隊を前に太陽系からの逃亡を企てた章北海の影響が今回色濃く残っています。
    羅輯の静かなる戦いが功を奏して、地球文明はお互いの恒星系所在地を全宇宙に暴露する自爆装置によって三体文明との暗黒森林抑止を構築します。
    これにより地球世界は三体世界から進んだ基礎科学の提供を受けることとなり、両者の技術面はいずれ拮抗することが予想されていました。
    反対に三体世界は地球世界の文化を輸入し、地球で映画を上映するなどの芸術面における進歩がありました。
    しかし、暗黒森林抑止を作動させるスイッチを握る人間の後継の際に平和は突如終わりを迎えます。
    例えて言うならば、科学技術は外見であり文化は内面を表しているのだと感じました。
    人類が軽々しく提供していた娯楽のような文化でさせ、結果として三体人にとっては最高の教材となってしまったのです。
    嘘や欺瞞や謀略という凶悪な概念を、彼らは人類から受け取ったのです。
    加えて太陽系を脱出した宇宙船の“藍色空間”と“万有引力”の非人類の動向が注目に値するところで、彼らの存在が地球文明と三体文明の今後にどう影響するのか気になります。
    下巻にも期待します…と締めくくろうと思いましたが、最後に作中の人物に一言残したいと思います。
    智子、もしくは智子を制御する三体人、あなたの性格が恐ろしい程に一番人間らしい。

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著者プロフィール

1963年、山西省陽泉生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。2008年に刊行された『三体』で人気に火が付き、“三体”三部作(『三体』『黒暗森林』『死神永生』)は中国で2100万部以上を売り上げた。2014年にはケン・リュウ訳の英訳版が刊行され、2015年、アジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞。2019年には日本語訳版が刊行され、11万部を超える大ヒット。

「2023年 『神様の介護係』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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