楽園とは探偵の不在なり

著者 :
  • 早川書房
3.46
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本棚登録 : 1660
感想 : 170
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152099617

作品紹介・あらすじ

二人以上殺した者は"天使"によって即座に地獄に堕とされるようになった世界。細々と探偵業を営む青岸焦は「天国が存在するか知りたくないか」と大富豪・常木王凱に誘われ、常世島を訪れる。そこで彼を待っていたのは、起きるはずのない連続殺人事件だった。

感想・レビュー・書評

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  • 天使が人の殺人を監視する不思議な世界! 孤島に集められた人々は果たして… #楽園とは探偵の不在なり

    人を二人以上殺害してしまうと、天使が舞い降りてきて地獄へ引きずりこまれるという奇妙な世界。そんな環境で探偵を営んでいる主人公は、孤島を買い取ったとされる富豪から島への招待がなされる。島には怪しい面々が勢ぞろいし、予想通り殺人事件が発生するのであった…

    孤島、怪しい登場人物、人の殺人を監視している天使たち… なんとも独特の世界観の中で展開される殺人。怖いよっ

    本作の読みどころは、一人が二人を殺害すると、すぐに天使が舞い降り地獄に引きずりこまれてしまうという特殊設定。こんな設定なのに、なんでこんなたくさん人が死ぬんですか!
    いったいどんなトリックが使われ、どんな衝撃的な真相が待っているのか、期待でワクワクでしたが、いや~この発想は浮かびませんでした、素晴らしい。

    登場人物の描写も悪くなく、ひとりひとりの特徴が深く、時には可愛く描かれ、主人公には思わず感情移入をしてしまいました。ストーリーとしても起承転結がよくできていて、ラストはなかなかの切なさでしたね。

    ただ本作の残念な点は、詰め込みすぎなところ。バランスをうまくとろうとしすぎて、話の組み立てが本書のメイン処になってしまっています。
    地獄行のホラー的な世界観なのか、特殊設定条件の本格ミステリーなのか、仲間を想う熱い友情ものなのか、死生観なのか。1つ1つの要素は濃くて良質なんですが、全体でみると重厚感がなく、読み手を強烈に引き付ける要素がぶれてしまっているかなーと。

    斜線堂先生の良さ、例えば偏った恋愛描写を描くときなど1つの要素をやたら深堀っていく迫力を、本作でも感じられるとよかったなと思いました。

    とはいえ、面白い設定で楽しく読める作品でした。続編がでるなら、ぜひもっと魂をえぐるようなミステリーだととてもうれしいです。 特殊設定ミステリーが大好きな人には、おすすめしたい作品でした。

  • ファンタジーの要素を含むミステリーでした。
    ファンタジーは苦手なので少しつらいところもありました。

    常世島という島を所有している常木王凱の招きによって探偵の青岸が、天使のいる島に他の6人の実業家とともに招かれます。
    この物語の世界観では、一人殺しても大丈夫だけれど、二人以上殺すと生きながら焼かれる断末魔の叫びをあげながら、天使によって地獄へと連れて行かれてしまいます。

    青岸は過去に探偵事務所の所員4人全員を爆弾による爆破事件によって殺されています。

    そして常世島には、もう一人紛れ込んできた記者が一人と使用人たちで11人の人間がいます。

    以下ネタバレです。お気をつけください。


    まず、常木が殺されます。
    そして第二の殺人が同じ犯人によって起きれば地獄行きとなるので起きないであろうと皆、賛同しますが、起きてしまったのです。
    4人の人間が殺され2人の人間が地獄の炎に包まれました。
    この因果関係は、私には少々難しかったですが、この事件の首謀者の意図はよくわかりました。

    だけど青岸がこだわりをみせているこの作品のタイトルである「楽園とは探偵の不在なり」は寝不足で頭がぼんやりしているときに読んだせいかはっきり言ってなんだかよくわかったような、わからないようなでした。よくわからないレビューでごめんなさい。(__)

  • 斜線堂作品、再び!読むのに5日かかってしまった。読みにくいのか?違~う。今回はファンタジー系のクローズドサークル。初めてのテイスト。二人以上殺した者は、天使(コウモリのような人間のような)によって即座に地獄に引き摺り込まれるようになった世界での話し。なので、「2人以上殺せない」という制約の下で起こる連続殺人。最後には半分以下の人数のみがサバイブする過酷な状況。主人公で探偵の青岸が真相に迫る。青岸の禍根と犯人の禍根が思いもよらず一致する。伏線回収も見事で、斜線堂作品はミステリーも読ませるね。やっぱり好き♪⑤

    犯人当てに関して、フェアか?アンフェアか?という視点でいうと完全にフェア。アガサクリスティーのようなミスリードを誘うことはほぼなし。

    • アールグレイさん
      こんばんは~★ポプラさん

      コウモリのような人間のような?――地獄に引き摺り込まれるようになった世界?――
      なんともまぁ、5日間かかるだけの...
      こんばんは~★ポプラさん

      コウモリのような人間のような?――地獄に引き摺り込まれるようになった世界?――
      なんともまぁ、5日間かかるだけのことはあったのでしょうか?
      ★5つ、ポプラさんが愉しそうにしている様子が浮かびます!
      ♪~♪(⌒o⌒)♪~♪
      2023/02/22
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、こんばんは。表紙絵にかいてある飛行物体が天使です。斜線堂作品連発で読んでいますけど、嵌まっていますよん。お気に入りの作家さ...
      アールグレイさん、こんばんは。表紙絵にかいてある飛行物体が天使です。斜線堂作品連発で読んでいますけど、嵌まっていますよん。お気に入りの作家さんです。
      2023/02/22
  • さぁ!天使を思い浮かべてみて!
    どんなイメージですか?


    白くて、頭に輪っかがあり、羽毛のような翼をもち、笑顔で、眩しくて…






    そんな天使は今すぐポーーーイ!してください!w
    (╯°□°)╯︵ ┻━┻



    正しい天使はね…

    手足が異常に長い灰色の身体で、翼も灰色がかり色の悪い血管が透けている

    顔は鉋で削られたように平面で目鼻口はない
    一言で言えば悪魔を連想するような見た目、それが『天使』です!


    そんな天使が空を飛んでいる
    一体だけでなく何体も!
    そこら中に普通に飛んでいる

    なんなら天使の好物の角砂糖を2、3個放るだけで鳩並みに寄ってくるw


    そんな天使たちが現れ起こった『降臨』は、世界を大きく替えるんです
    二人以上の人間を殺した者は天使によって即座に地獄に引き摺り込まれ死が待っている…

    そんな殺人を犯せば死と隣り合わせのこの世界で起こるはずのない連続殺人事件が発生!

    なんだけど、この殺人事件いらない!(●`ε´●)

    この殺人事件と天使たちがあまり関係ないような気がするw
    殺人事件よりもこの天使たちのいる世界観をもっと楽しませてくれたら良かったのに…

    残念(´・ω・`)ショボーン

    • ultraman719さん
      一休さん、呼び捨てにしてしまいました!
      すみませんm(_ _)m
      一休さん、呼び捨てにしてしまいました!
      すみませんm(_ _)m
      2024/03/16
    • 1Q84O1さん
      そんなの全然いいですよ〜w
      そんなの全然いいですよ〜w
      2024/03/16
    • ultraman719さん
      ありがとうございます♪
      ありがとうございます♪
      2024/03/16
  • 細長い手足、コウモリのような翼、目鼻口のない鏡のように輝く平面の顔を持つ”天使”が”降臨”した世界。
    この世界では2人以上殺人を犯すと天使に力づくで地獄に引き摺り落とされる。
    だが、1人まではセーフ。
    という特殊設定下における孤島&館ミステリ。

    ありえないはずの連続殺人はどうして起きたのか!?

    さすが新鋭作家、異様ではあるが面白い設定持ってきたなというのが読み始めの印象。
    ただやはりデビュー作故かところどこ雑な感じを受けたし、裏をかききれなかったなという読後感。

    力は感じた。次の作品も読んでみよう。

    しかし、今思うと語り口こそ苦手ではあったが、『屍人荘の殺人』はデビュー作としての特殊設定ミステリとして群を抜いていたのだろうな。
    特殊設定読むと今だに思い出すし、なんとなく比較対象にしてしまう。
    あれも続編読んでなかったので今度読んでみようかな。

    • fukayanegiさん
      あれ、これ全然デビュー作じゃないな。
      なんでデビュー作と思ったんだろ?
      あれ、これ全然デビュー作じゃないな。
      なんでデビュー作と思ったんだろ?
      2023/02/22
  • 人を二人以上殺した時点で問答無用に地獄の業火に引き摺り込む「天使」の存在が当たり前となった世界。呼び名とは裏腹に不気味な外見の天使が多く集まる大富豪常木所有の孤島で連続殺人事件が起きる。登場人物は限られており、また犯人候補の人物は複数存在するのに誰も業火に焼かれていない。招かれていた探偵の青岸がこの不可能に思われる事件の全体像を解く。特殊設定の掛け合わせ方が凝りすぎず絶妙で成程ねと頷く。天使の存在で殺人が減るどころか破滅する方向に世界が進み、巻き込まれてどうしようもなく傷付いた青岸の過去の話が明るい分辛い。謎を解くだけの探偵の存在意義とは?辿り着いた答えに漂う物悲しさがまたなんとも。

  • 2022/03/15読了
    #このミス作品83冊目

    人間と天使が共存する世界。
    2度の殺人を犯すと地獄行き。
    そんな中で起こるはずのない
    連続殺人事件に遭遇する。

    かなりトリッキーな設定で面白い。
    もう少しストーリーに重厚感がほしい。

  • 犯人の動機は自殺の際に大量殺人を起こさせ特定の人を殺す算段企み実行していた。常木一味への復讐だった。父が死ぬきっかけになった大量殺人とその時に使用した殺人兵器を作った。争場とその恩恵を受けていた者たち5人だった。

    人を2人殺したら天使による制裁で地獄に連れて行かれる世界という前提の中で5人を殺す方法が人を操り最後は自分を殺させ相手を地獄に行かせる方法はすごい執念を感じた。身内を殺された人はこういう感情になってしまうのか?
    たしかにこの常木一味は極悪人達で死んで当然ではあるがなかなか難しい問題である。

  • 2人以上殺した者は"天使"によって即座に地獄に引きずり込まれる世界…
    天使のかわいいイメージが台無し(´・ω・`)笑

    2人以上殺したら無条件で地獄行き…そんな中で起きるはずのない連続殺人。孤島×館ミステリ!
    犯人はコイツかなーって思ってた人だったけど、トリックが全然わからなかった〜!!

    なかなか面白かった☆

  • 斜線堂有紀さん「楽園とは探偵の不在なり」インタビュー 天使が登場しても…堂々の本格ミステリー|好書好日
    https://book.asahi.com/article/13881513

    楽園とは探偵の不在なり | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000014599

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著者プロフィール

2016年、『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビュー。楽園とは探偵の不在なり』『恋に至る病』『コールミー・バイ・ノーネーム』ほか著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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