NOKIA 復活の軌跡

制作 : 田中 道昭 
  • 早川書房
4.03
  • (15)
  • (14)
  • (9)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 193
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152098726

作品紹介・あらすじ

携帯端末事業でAppleやGoogleに敗北し、一時は倒産を囁かれるも通信機器メーカーとして復活を遂げ、今や5G時代の覇者とも目される"北欧の巨人"、ノキア。不屈の起業家精神で老舗企業を改革した現会長が、その一部始終と経営手法をついに明かす

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 誰もが認める携帯端末メーカーのトップの地位から、スマートホンの波に乗れずに転落。その後、マイクロソフトとの提携、携帯端末事業の売却、ノキアシーメンスを事業の中心としたネットワーク通信事業者としての会社の立て直し、そしてアルカテルルーセントの買収を通して、世界のトップ企業へ返り咲きます。こうしたノキアの見事な転身を率いたシラスマ会長が語る舞台裏。これは面白い。

    iPhone、androidを脅威として捉えず、取締役会では対策の議論すらされていなかったというから驚きです。取締役会と経営執行陣のコミュニケーションの欠如もあって、ほどなくノキアは転落します。この落ちていくスピードの速さと社内の不協和音がまたリアルに描かれています。落ちるときは速い。。

    シラスマ氏が会長になってから、パラノイア楽天主義(緻密な準備と大胆な実行)を掲げ、取締役会と経営執行陣が一丸となった戦略検討、常に複数の選択肢を検討するシナリオプランニングの導入といった改革を進め、ノキアはそれまでとは全く別の企業として息を吹き返します。

    歴史的にも、携帯端末メーカーとして君臨する前は、製紙、ゴム事業を生業としていたノキア。変身はそのDNAに組み込まれているのかもしれません。しかしやはり、立役者はリーダーとしてのシラスマ氏なのでしょうね。ベンチャー企業出身ということですが、周りを巻き込み、チームビルディングしながら課題を解決していくマネジメントも凄ければ、トップになっても最新の技術を自ら学ぶ姿勢も素晴らしいことですね。(AIプログラムの勉強もされているそうです)

    ビジネス書としても参考になるのはもちろんですが、ノキア転落の舞台裏、マイクロソフトとのM&A交渉の舞台裏など、興味深いエピソード満載で、普通に読み物としても楽しめます。久しぶりの5つ星ビジネス書。

  • イノベーションに破壊され立ち上がる、フィンランドの国民性もあるのか。ソ連に負けない強さ、歴史もあるんかな。
    現代経営の最適ケースワーク。
    起業家リーダーシップ あらゆることを学びに
    楽観的パラノイア あらゆるシナリオを考え大胆に
    whyにこだわる
    何を変えるべきか?どう変えるとあなたの仕事はうまくいく?

  • ノキアのトランスフォーメーション実現にあたって、 最も重要な役割を果たしたのは、
    「起業家的リーダーシップ」
    「パラノイア楽観主義」
    「シナリオプランニング」

    事例が具体的でわかりやすく、臨場感をもって上記の重要性を理解する事が出来た。

  • ノキアの盛衰を描いた本。時系列が細かすぎて、長々しい。

  • 海外の、特にNOKIAの近年の動向について全く知らない状態で読み始めたので、出来事の時系列などを理解するのに苦労した。古い慣習や成功体験に基づいた体制が時代にそぐわなくなり、変革を求められるということはNOKIAに限られたことではないと思うが、そこから淘汰されてしまうか生き残ることができるかは紙一重なのだなと感じた。話の規模が大きくマネジメントの層も非常に高い領域での話だったので、自分に生かせる部分はなかなか見つけられなかったが、世の中は盛者必衰であることを念頭に物事に対処しなければならないなと漠然と感じることはできた。

  • ノキアの事業変遷が理解できた
    経営者と取締役の違いについての理解が深まった
    プログラミングの勉強を始めたい

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000941133

  • 携帯事業が強かったばっかりにスマホに乗り遅れたのは、他業種でも教訓になった。

  • 倒産寸前と言われたノキア社の立て直しを担った、同社会長シラスマ氏による著。

    2005年当時、フィンランドでスタートアップを経営する著者がおこなった調査によれば「スタートアップ企業の提携相手として、ノキアは大手テクノロジー会社の中で下から2番目で、その下にはオラクルしかいない」状況であったとは!

    内容的にはマイクロソフトによる買収受け入れの件など面白い箇所も多いのだが、細々書きすぎ。日経「私の履歴書」くらいの分量だと読みやすかろう。
    シナリオ分析とか、通常あり得ないとも思われるシナリオを想定したプランB、プランCを想定することの重要性とか、示唆に富む内容が多い一冊のため、読みづらさは残念だ。

    「#NOKIA 復活の軌跡」(早川書房、リスト・シラスマ著)
    Day215

    https://amzn.to/3kMlmj1

  • フィーチャーフォンで業界最大手だったノキア。だが、リーマンショックと時を同じくして登場したアップルのアイフォンは、ハードウェア重視からソフトウェア重視(エコシステム重視)へと携帯端末のパラダイムを大きくシフトさせてしまった。この動きに鈍感だったノキアは、ソフトウェア開発に大きな問題を抱えていながら、この構造的な問題(計画通り開発できない、バグか多く返品の嵐)を経営陣に上げて議論することはなく(典型的な大企業病に侵されていた)、問題の根本的な解決が図られないまま同じ過ちを繰り返して一気に凋落してしまった。

    そんな中で、火中の栗を拾うがごとく取締役会会長兼暫定CEOに就任した著者は、企業文化を改革すると共に矢継ぎ早に「中核の携帯電話事業をマイクロソフトに売却し、ノキア・シーメンス・ネットワークス(NSN)の一〇〇%所有権を獲得し、フランスのアルカテル・ルーセント(ALU)を買収」(解説)し、一気にV字回復させた。ノキア再生の立役者。

    本書は、この間のノキア社内の混乱と著者の手による改革の様子を克明に記すと共に、著者がそこから導きだした経営の教訓を随所にまとめたもの。

    著者は、危機に反応し、変化に対応するために必要な経営者の資質として「起業家的リーダーシップ」(説明責任を負う、事実を直視する、粘り強さを持つ、リスクを管理する、など10の要素からなる)を挙げている。また、その根幹に求められるのは、「パラノイア楽観主義」(警戒や十分な量の現実的な恐怖と、積極的で前向きな見通しとの組み合わせ)であり、「シナリオ・プランニング」(最悪のシナリオまで、あらゆる代替プランを考え尽くす手法)でリスク管理を怠らないことが要諦だという。

    本書、会社存亡の危機に瀕したノキアの再生ドキュメンタリーとして面白く読めた。危機的状況下での会社経営の重圧がひしひしと感じられた。やはり、経営者は並の心臓では勤まらないな。なお、ビジネス経営の教訓の部分(啓蒙書的な部分)は要らない感じがした。

全21件中 1 - 10件を表示

リスト・シラスマの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×