機龍警察 自爆条項〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152096173

作品紹介・あらすじ

英政府高官を狙うかつての古巣からの刺客が、特捜部の契約する〈傭兵〉ライザ・ラードナー警部の凄絶な過去を呼び覚ます。人気の高いシリーズ第二作が大幅加筆と特別付録収録の完全版として登場

感想・レビュー・書評

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  • またコロナが増加傾向にあるようですね
    コロナ前の状況に社会が戻ることってもうないんですかね

    例えば先日も同僚が熱を出して休んだ(コロナではなかった)んですが、以前だったら38度くらいの熱だったら出勤しちゃってましたよね
    むしろそれくらいで休むなんて甘えるな!なんて言われた時代もありました
    今はもう出勤したらえらい言われちゃいます
    会社の方から言われちゃいます「休め!」って

    『昨日高熱 自宅療養』なんちて

    さて『機龍警察 自爆条項』です

    今回は元テロリストのライザにスポットが当たっています
    そして過去の章と現在の章が交互に進むんですが、過去の章に文字通り爆弾が仕掛けてありましたね
    凄いです

    そして本作では北アイルランドの非常に特殊な社会情勢を知っているとさらに深く楽しめると思います
    ブラディサンデーのこととか
    エイドリアン・マッキンディとか読むと凄いいいと思います
    北アイルランドの曇天の空、プロテスタントとカソリックのこと、テロリストやその家族が普通に隣人としていることとかを理解することはできなくても知ることで作品世界により入り込むことができます

    そして本作で印象深いのは対比を多く使ってるところですよね
    現在と過去の章立てもそうです
    テロによって家族を失った技術班主任の鈴石緑とライザ
    緑とライザの妹ミリーは音も意識的に似せてますよねきっと
    そしてそしてライザのテロリストとしての父ともいえるキリアン・クインの書いた詩集と緑の父輝正の残した旅行記『車窓』
    この対比は物語の核になってます

    もちろん『車窓』のほうにより共感するわけです

    ー国境を越えるとき、私はいつも人と人とを隔てる真の境を思う。この境は、国の境とは必ずしも一致しない。それは幸福であるとも言えるし、不幸であるとも言える。
    人はなにかによってお互いに常に隔てられている。

    この一節は北アイルランドの状況を暗示しているとも言えるし、同時に全世界で起きている「分断」も示していると思います

    ー列車の中では誰もが互いに異邦人である。それはこれから知り合える可能性を意味している。未知の友人は常にいる。

    知り合えるということは理解しあえるということだと思います

    ーこうして列車に揺られていると、友人になれるはずだった人が不意に車輛のドアを開けて顔を覗かせ、声をかけてくるような、そんな気がすることがある。

    隣人は常に同じ列車にのっている。声をかけるのは自分からでもいいはず

    ー幻の友人達に感じるこの懐かしさはなんだろう。まだ出会ってもいないのに。きっとそれは人間本来が持っている寂しさであり、他者への慕しさだ。
    ー一番悲しむべきことは、本来なら友人になれるはずの人とそうなれないことだ。

    自分はこの言葉に静かな感動を覚えました
    そして友人になれない人などいないと思う
    全世界の人が本来は友人になれる人なのだと
    現実を知らないだけだと笑われても、頑なにそれを信じる人が増えればきっとそれが現実になる


    そしてライザはこの本によって「自由」を知ります
    流した涙は後悔?解放?


    いやー本当に面白かった!!
    自爆条項と附則項目を知った傭兵3人の関係、ライザと緑の関係がこれからどう変化していくかますます楽しみ!!

    • 松子さん
      ひまさん、おはよ(^^)
      メモ取りながら本を読んだのが何十年ぶり⁉︎
      そのメモ見たーい!
      どんな風にこんな感想が生まれるのか、気になります
      ...
      ひまさん、おはよ(^^)
      メモ取りながら本を読んだのが何十年ぶり⁉︎
      そのメモ見たーい!
      どんな風にこんな感想が生まれるのか、気になります

      ライザとキリアンの対比かぁ
      テロを題材とする作家さんの苦悩、
      考えた事なかったなぁ…深くて興味深い!

      作家さんの価値観や性格が伝わってくるなぁと
      思うことはあったけれど、書く苦悩は考えた事なかった!

      確かに、ライザとキリアンがいる事で
      人の大切な命を何とも思わない人、自分のやっている事をちゃんと理解できずにテロリストになってしまった人、色々なテロリストがいる事が伝わってきたなぁ

      ひまさん、読書って奥深いねぇ(^^)
      ひまさんみたいに読めたら、もっと感動が大きくて世界が広がるんだろうなぁ。

      私も少しずつでも世界を広げて行きたいな
      そしたら、もっともっと読書が楽しくなるもんね♪
      朝からいっぱい教えてくれてありがとう(^^)
      はいっ!次行きまっす

      こちらはにわか雨が降ってきたー!
      ひまさん、毎日暑いけど夏バテしませんように
      楽しい日曜日を〜(^^)
      2022/07/03
    • 土瓶さん
      ひまわりめろんさん。こんにちは。
      油断できないな~。
      普通の”入り”だと思ったのに……。
      ひまわりめろんさん。こんにちは。
      油断できないな~。
      普通の”入り”だと思ったのに……。
      2022/07/03
    • ひまわりめろんさん
      土瓶さん
      こんちは!

      油断大敵!
      注意一秒怪我一生!
      土瓶さん
      こんちは!

      油断大敵!
      注意一秒怪我一生!
      2022/07/03
  • 機龍警察シリーズ第2弾。

    アイルランドの過激派テロ組織・IRFが、極秘要務で来日するイギリス要人・サザートンを暗殺しようとキモノ(機甲兵装)を日本に密かに(かつ大量に)持ち込んだ。その首謀者は超大物テロリスト〈詩人〉ことキリアン・クイン。

    機甲兵装『龍機兵』のパイロットの1人、ライザ・ラードナーは、IRFの元テロリスト。かつてキリアンの下で暗殺者として数々の同志を処刑したが、組織から逃亡し今は裏切者として狙われる身でもある。今回のキリアン来日の目的の一つは、裏切者ライザの処刑だ。

    東京で進行するテロ計画とそれを阻止しようとする特捜部の動き、アイルランドを舞台としたライザの過去(生い立ち、テロリスト誕生)の2つの物語が重苦しく交互に進行する。

    独自捜査を続けるも、例によって警察組織内でつま弾き状態にされる特捜部。だが、沖津部長の政治力で外務省・官邸をも捲き込んだ厳重な警備体制の一角に食い込むことができた。

    謎が謎を呼ぶ複雑な展開、荒みきったアイルランド社会のやるせない状況、シリアのテロリスト養成機関での過酷な戦闘訓練、龍機兵(ドラグーン)の緊迫した戦闘シーン、そして明かされる龍機兵パイロットに課された『自爆条項』等々、読みどころ満載の作品だった。

    が、後半で突如浮かび上がった新たな〈敵〉、彼らは一体何者なのか? IRFや中国黒社会を手玉にとった〈敵〉の狙いは一体何なのか? この辺りが全く分からなかった。香港の実業家・馮やその秘書で裏社会と通じる關の思惑は? そしてそもそも龍機兵はどこでどのように手に入れた兵器なのか(自爆条項を付けなければならない程の機密とは)?

    謎が深まってきて、モヤモヤしているうちに終わってしまった。続篇を読めば解消していくのかな??

    • アールグレイさん
      norisukeさんこんにちは(^_^)/

      結末がスッキリしないのは、イマイチでしょうか?(。_゜)
      続編がでればいいですね!
      (*^o^...
      norisukeさんこんにちは(^_^)/

      結末がスッキリしないのは、イマイチでしょうか?(。_゜)
      続編がでればいいですね!
      (*^o^*)
      2022/08/09
    • norisukeさん
      アールグレイさん、コメント有難うございます。

      この機龍警察シリーズ、機甲兵装という懐かしいSFアニメ風の作品ですが、硬派で重厚なミステ...
      アールグレイさん、コメント有難うございます。

      この機龍警察シリーズ、機甲兵装という懐かしいSFアニメ風の作品ですが、硬派で重厚なミステリー・サスペンスとしても楽しめると思います。星4つ付けました。ただ、〈敵〉の存在を臭わして読者を混乱させる必要はなかったんじゃないかなと、僭越ながら感じた次第です。シリーズは「龍機警察 暗黒市場」「龍機警察 未亡旅団」「龍機警察 火宅」「龍機警察 狼眼殺手」「龍機警察 白骨街道」と続いているようですので、読み進めて見ようかと。
      2022/08/09
    • アールグレイさん
      norisukeさん♪

      シリーズ本、何冊もあるようで・・・・
      大変そう、などと思ってしまいました・・・失礼
      ( ̄∇ ̄) 暑い日が続きます。...
      norisukeさん♪

      シリーズ本、何冊もあるようで・・・・
      大変そう、などと思ってしまいました・・・失礼
      ( ̄∇ ̄) 暑い日が続きます。溶けそう~
      ヘ(^^ヘ)))。。。
      2022/08/09
  • オーディブルで。途中のライザの周りの人々の切ない話、に沈痛な気持ちになる。後半のスリリングな展開は、テロの卑劣さと恐怖、本当に手に汗握る感じと、悲しくて残酷な最後を想起させられたが、最後の見たことのない穏やかな表情で鈴石の父の本を読むライザとそれを目撃する鈴石主任に、すごく救いを感じて、思わず涙が出てしまった。

    テロには、その背景があるのはわかるが、血で血を洗う出来事の繰り返しになるだけ。人は人を許す存在であるべきだと思う。

  • 機龍兵搭乗員で元アイルランドのテロリストであるライザ・ラードナーを軸に展開する。

    架空のテロ組織IRFによるテロ行為やそれを反映した本書でのアイルランドの歴史は架空のものだが、あたかもパラレルワールドのように実在感を伴い自然に提示される。

    ライザがテロリストとなった経緯、テロ組織から追われ警視庁特捜部に加わった背景も納得的で説得力がある。

    何よりIRFが東京で起こすテロやそれを解決していく流れは、IRF(やその首魁である「詩人」)、特捜部、ラードナーそれぞれの生き様というか存在意義を伏線としたもので、これらを余すところなく文面に表現した作者の構想力と筆力には戦慄を覚える。

    2作目にしてシリーズ最高作と思えるが、3作以降も読まないとそれはわからない。

  • 最高です

  • 今回の相手はIRFのキリアン。当然、ライザをフィーチャーした話でした。突入班の中でライザが一番好きだな。敵との心理戦は少なかったのは残念。

  • 機龍警察シリーズ二作目。ライザ編って感じ。
    テロリストになる以前からの過去がガッツリ描かれている。かなり救いのない話。
    ライザはメタルギアのフォーチュンぽいなあと思ってたけど全然違った。キツイ過去があって、後悔があって、死にたがりで、でも逃げてるようで踏みとどまってて。

  • ライザメインのお話
    題材はラノベっぽいが、具体的な地名や、北アイルランド問題、中国黒社会などリアルな敵の描写が、ラノベと一線を画すところか。
    特捜部メンバーが好みなので読んでいくが、相変わらずのその他警察の貶めっぷりは嫌い。

  • ライザーラードナー警部の過去の話を織り交ぜつつ、現代のテロ犯罪と立ち向かう話と交互に進んでいきます。

    最後に自爆条項の詳細が明らかになり、驚きました。
    確かに、警察官以外の人間が選択されるわけだなぁと。

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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