ペルシア王は「天ぷら」がお好き? 味と語源でたどる食の人類史

  • 早川書房
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152095640

作品紹介・あらすじ

「ケチャップの先祖は中国で生まれた?!」「七面鳥(ターキー)がトルコの国名になったのはなぜ?」スタンフォード大学の言語学者が、古今東西の食に関する言語を基に人類の欲望の正体に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • ベストセラーになるべき。オススメ。内容が濃い。
    邦題で改題する本って基本的に好きではないのだが、これは例外。
    今まで食べてきた色んなものの知識が色々と繋がっていくのが面白い。
    世界史が苦手だが各国料理と言語学に興味のある人にオススメ。色んな国の色んなもの食べてきた人の方が刺さると思う。
    色んな国の言語が出てくる上に、原著が異国語なので、ある程度大人(または外国語がある程度できるか、翻訳作品が読めるタイプ)が読んだ方が楽しめる。まぁ日本語はけっこう異国の料理名など英語そのまんま輸入したりしているので、説明早いところもある(この本、全部自国語ちゃんと当ててる言語に翻訳するの、すごい難しそう…)。
    難点は、話が前後したり、数文かけて一つのことを説明したり、ふたつのことを交互に説明したり、話のつながりに無理があるところいくつかあったり、事実と推測がごちゃ混ぜだったりするところ。

  • 世界史と料理の関係がよくわかる本。ケチャップが中国語とは知らなかったね。

  • 食事、食べ物、単語と文法、お互いに絡み合う。
    言語学の歴史から分かる食べ物からの教えがたくさんあります。

  • タイトル以上に素晴らしく充実した内容。
    語源だけではなく、どういうモノでどう伝わったか、またビッグデータから言葉や用語、形容詞や音の使われ方の分析まで。
    特に料理の伝播と変化は当時の交流がうかがえて非常に興味深い。改めて再読したい一冊。

  • 今年読んだノンフィクションの中で一番良いと思った。
    著者はスタンフォード大の言語学とコンピュータサイエンスの教授。
    料理、食材、食品の語源にまつわる考察だけでなく、レストランのメニュー6500件内にある65万種類の料理全てをの価格を調べ、統計的手法で分析した結果、料理の説明に長い単語を使うほど、その料理の値段が高くなることを発見したり、また、語源で言えば、天ぷらがポルトガル語から来たのは割と知られた話であったが、そのルーツが古代ペルシャの王が愛したシクバージという甘酸っぱい牛肉の煮込み料理であり、それがエジプトを経由してヨーロッパに伝わるうちに肉料理から魚料理に変化して、天ぷらやイギリスのフィッシュ&チップスとなったという話は鳥肌が立つくらいゾクゾクとした知的興奮を与えてくれた。この他にも死ぬほど面白い説がてんこ盛りの本。食べることに関心のある人すべてに必読の書である。

  • 食べものの語源を調べるだけなら、まあ、割りとよくあることなのではないかと思うけど、この本はスケールが違う。
    語源から、異文化交流を重ねてきた人類の、文明の、食への情熱の歴史が、これでもかと綴られる。

    メニューを見るだけで、高級レストランかカジュアルレストランかがわかる。
    高級レストランはメニュー数が少なく、具体的、かつ、日常であまり使わないような大仰な言いまわしで料理名をつけるので、基本的に長ったらしい。

    たいしてカジュアルレストランは、全体的にメニュー数が多く、耳に触りの良い、かつ、抽象的な形容詞で料理を表現する。
    そして焼き加減、ソースやドレッシング、サイドメニューなどを客が選べるなど、全体的に客好みの味にレストランの方が寄せてくる。
    なるほどね。唯一無二の味にはこだわらないというわけか。

    ところでタイトルにもある「天ぷら」について。
    ポルトガル経由で日本に伝わった料理が元になっているというのは有名な話だが、その大本を辿ると6世紀のササン朝ペルシアに行き着くのだそうだ。
    「シクバージ」という、多量の具とスパイスを使った、牛肉を酢で煮込んだものがそれ。

    いやいや、全然天ぷらじゃないし。
    と思いながら読み進むと、地中海を行きかう船乗りたちが肉を魚に変え、地中海沿岸にそれを広める。
    中世の、戒律の厳しいカトリックの信者に、年に100日以上もある断食日にも食べられる魚料理として重宝され、さらに広まりポルトガルへ。
    海洋国ポルトガルを経て日本に来たものが「天ぷら」、イギリスへ行ったものが「フィッシュ・アンド・チップス」、南米に渡ったものは「セビーチェ」となる。

    ちょっと待って!
    揚げた魚の酢漬けって、それ、南蛮漬けじゃない?

    ここからは私の、何の根拠もない想像だけれど、初めてそれを見た日本人は上げた魚に対して「それは何というものだ?」と聞いたのではないだろうか。
    身近に数多ある魚の、初めて見る調理法。
    ポルトガル人は「これか?これはtempero(調味料)だよ」とつけ汁のことを答えたのに、日本人は揚げた魚=temperoと思ったのでは?
    で、日本人好みにアレンジした揚げ物=天ぷらになったのではないか。
    本家本元の料理の方は、南蛮人が食べている魚の酢漬けだから「南蛮漬け」と。
    なんてね。

    ケチャップの大本は中国の魚醤であった、とか、マカロンとマカロニの意外な関係など、今まで謎とも思わなかった謎が次々に明かされる。

    今私たちが毎日当たり前に食べている料理のこの味は、1000年も前、何百年にもわたって世界経済の中心が中国であったこと、中世イスラム文化の華麗で広範だったこと、そして大航海時代の新世界と旧世界の交流から生まれたものなんだ。
    いやはや感服仕りました。

    原題「THE LANGUAGE OF FOOD」からの邦題のキャッチーなこと。
    このタイトルでなければ、この本を買うことはなかったと思うな。

  • 膨大な古今の言語の海から、食事に関する言葉を辿る旅。先進国だったペルシア・中国から、ヨーロッパを経由して世界中に食べ物が広がっていく様子がわかった。また言葉と価格の相関関係も興味深い。ただ、書名はこれで良いのだろうか?あまりにも内容の一面だけを切り取り過ぎなのではないかと思うが。

  • タイトルに惹かれて購読。

    序章からいきなり興味をそそられる事実が羅列されている。
    例えば、

    ケチャップはもともと魚を発行させた中国のソースだった。
    フィッシュ・アンド・チップスは6世紀のペルシャの王たちが好んだ甘酸っぱい煮込み料理に由来する。
    乾杯を意味するtohstはトーストしたパンにまつわる歴史に関係している。

    など。

    タイトルから想像した中身とは違い、言語学から見た世界の食の歴史が綴られている。食からみた世界史という斬新な切り口も見事。

  • 2017年3月

    日本人が食べる、天ぷらがペルシアの王が好きだった、肉を酸っぱく煮たシクバージだった。などのあらゆる食べ物に関しての一冊

  • 計量言語学を料理の研究に適用した章と、歴史的な料理に関する言語の変遷を追う章があって、自分の関心は前者によっているのでそっちの方が面白い。
    メニュー中の言語と価格の分析とか、レビュー中に出現する単語の傾向分析とか。こういうの楽しそう。

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