守備の極意(上)

  • 早川書房
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本棚登録 : 78
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152093868

作品紹介・あらすじ

大学野球の名ショートとして活躍するヘンリー。メジャーのスカウトにも注目され順風満帆に見えた彼の人生は、ただ一球の暴投に狂わされる。アメリカ文学界に突如現れたスター作家のデビュー長篇

感想・レビュー・書評

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  • ウィスコンシン州にあるウェスティッシュ大学の硬式野球部が舞台となっています。小説の題名はアパリシオ・ロドリゲスという守備の名手が書いた本『守備の極意』から来ています。アパリシオは18シーズンセントルイス・カージナルスでプレーしたとあるので、実在した選手と思い込んで読んでいました。他の小説でもよくMLBの選手の名前がでてくるのでそう思ったのです。ここですこし考えました、作者が作り出した架空の選手ではないかと。フィクションなのでまったく問題ないのですが、そう考えると『守備の極意』の中身もちょっとおもしろいです。

    例えば、
    59「ゴロをさばくことは寛大な行動であり、理解の体現である。ボールに向かって動くのではなく、ボールとともに動く。下手な守備者は敵に立ち向かうようにボールに突っ込む。これは敵意である。真の内野手はボールの通り道を自己の通り道とし、それによってボールを理解し、自己を無にする。自意識こそすべての苦悩と下手な守備の根源である」
    とやたら文学的で実用書としては役に立たない表現となっています。

    アパリシオ・ロドリゲスという野球選手、ウェスティッシュ大学、応援歌まであるハープーナズという野球部そして野球教則本『野球の極意』の中身。
    いろんな小説がありますが、小説家が細部にこだわって、読者の目に届かないところまで作り上げると物語がものすごく豊かになるという例だと思います。読者はそのへんのところは気にしないで楽しめば良いので気が楽です。

    野球とならんで小説の核となってくるのがハーマン・メルビルの『白鯨』です。ウェスティッシュ大学周辺はそのなりたちから『白鯨』だらけなのが楽しい、『バートルビー』という酒場もあります。メルビルの長編小説『白鯨』と短編小説『バートルビー』はよくアメリカ文学の中に登場します。野球とメルビルの小説は多くの(主に白人だけかも)アメリカ人の生活の中心にあるのでしょう。

  • 感想は下巻に

  • 感想は上巻

  • 下巻に書きます。

  • 2年前に原書で読んで、今回は訳書で再読。
    再読すると、アパリシオの『守備の極意』が小説全体のテーマになっていることに(ようやく)気づいて、「ああ!」となる。この「守備の極意」の文章、冒頭の練習場面の文章など、まさにきらきらしていてかっこいい、達意の訳文。原文ではあまりに時間をかけすぎて、かえって味わいきれなかったところを、たっぷり愉しみながら上巻を読み終えた。

  • 2011年発表のデビュー作。大学野球の名遊撃手が投げた一球から彼を取り巻く人間関係が動き出す。キャプテン、同部屋の同級生、学長と娘、様々なプロットが交差する群像小説。ジョン・アーヴィングに連なる瑞々しい小説世界に引き込まれる。

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