- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152090775
作品紹介・あらすじ
"本物"のエスパーたちがひそかに集まる喫茶店「カフェ・ド・念力」に、超能力番組の女性ADが迷い込んだ。なんとか能力に気づかれぬまま帰ってもらおうと、エスパーたちは悪戦苦闘するが…(『曲がれ!スプーン』)。エアコンのリモコンを壊してしまい、暑さにうだるSF研究会の前に、なんとタイムマシンがあらわれた(『サマータイムマシン・ブルース』)。SF的ガジェットをたくみに活かした群像劇で注目を集める若手劇作家、上田誠の初戯曲集がついに刊行。映画化原作の2篇に加えて、両作の世界観を繋ぐ書き下ろし短篇『犬も歩けば』を収録。
感想・レビュー・書評
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もう、電車の中で思いっきり笑ってしまいましたよ。とりあえずマスクをしていたからあまり周りにバレてはないと思うけど(笑)。
本書は、劇団ヨーロッパ企画を主宰する劇作家・上田誠氏の戯曲集なんです。
僕は森見登美彦先生の描く「腐れ大学生シリーズ」に登場する「黒髪の乙女」(特に『四畳半神話大系』のヒロイン「明石さん」に「ほの字」←もはや死語すぎて意味不明www。あ、居酒屋チェーンの名前じゃないからね!)が大好きというか、ほぼ虜にされているので、早速行きつけの本屋さんでモリミ~先生の最新作『四畳半タイムマシーンブルース』を手に取ったのです……。
ん?
表紙にブルーとホワイトのストライプ柄というスーパーキュートなワンピースをお召しあそばされているクールビューティーな明石嬢のイラストの脇に
「上田誠(原案)」
の文字が…。はて、元ネタがあるのか?
世間の流行事にはちょっと疎い僕なので、すぐにグーグル先生に質問です。
『上田誠』『サマータイムマシンブルース』
というワードが超絶ヒットするではないですか。
なるほど、『サマータイムマシン・ブルース』ってのが元ネタなのか。
ほう。
映画や演劇もあるらしいが、僕も一介の読書人としての矜持があるので、安易に近所のTSUTAYAに駆け込んだりは致しません。
なになに?『サマータイムマシン・ブルース』が収録されている戯曲集があるじゃありませんか。
それから手を付けても遅くないというか、原案を読まずしてこの『四畳半サマータイムマシンブルース』とはしっかりと対峙できないと僕は0.3秒で判断し、即座に約3.3km離れた図書館に駆け込みました。
そして手に取ったのが本書『曲がれ!スプーン』だったのです。
もう、前置きが長くてすみません。
本書に収録されている『サマータイムマシン・ブルース』を読むために手に取ったのですが、期待以上の面白さでした。
本書には『サマータイムマシン・ブルース』の他に、表題作の『曲がれ!スプーン』、そして超短編の『犬も歩けば』が収録されています。
あらすじですが、
『曲がれ!スプーン』は、本物の超能力者達がこっそりと集う喫茶店『カフェ・ド・念力』で巻き起こるドタバタ喜劇。
『サマータイムマシン・ブルース』は、ある大学の部室で、壊れたクーラーのリモコンをめぐって、偶然現れたタイムマシーンで壊れる前のリモコンを取りに行こうとする大学生達の起こすハチャメチャ騒動。
『犬も歩けば』は前2作の戯曲を踏まえたおまけ的物語でした。
前置きで書いたとおり『サマータイムマシン・ブルース』を読みたいが為に手に取った本書でしたが、全編、心の底から愉しめましたね
特に『曲がれ!スプーン』がめちゃくちゃ面白かった(笑)。マジで笑った。
この2作は戯曲ということで、実際に舞台や映画にもなっているのだけれど、シナリオを読むだけでこんなに面白いのだから、舞台や映画もさぞ面白いのだろうな。
機会があったら是非見てみたいと思いましたね。
いや~。それにしてもシナリオだけでこんなに面白いのに、それを『四畳半神話大系』に登場する腐れ大学生達が演じる(?)というだけでも心が踊りまくってますよ。
という訳で、モリミ~先生の『四畳半タイムマシーンブルース』を読む準備は万端です。
さあ、早く図書館の予約、回ってこないかな~(←っていうか買えよ!)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これ、舞台で観たいなあ。
戯曲ってはじめて読んでみましたが、かなりおもしろかったです。短編も絶妙。
四畳半タイムマシン・ブルース▶サマータイムマシン・ブルース(映画)▶本書 ときました。
いつか生でヨーロッパ企画の舞台鑑賞。
人生の目標が1つ増えました(笑)
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めちゃ面白い脚本、
どうにか文化祭に落とし込みたかったけど、長編過ぎて断念。でもこんなにすらすら面白く読ませる脚本ってすごいと思うなぁ。ギャグ要素と伏線が絶妙。 -
ヨーロッパ企画の舞台を観るしかないな、こりゃ。
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おもしろそう。これから読みたい本。
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劇団「ヨーロッパ企画」代表・上田誠の初戯曲集。収録されているのは同劇団の人気演目である超能力コメディ「曲がれ!スプーン」とSFコメディ「サマータイムマシン・ブルース」、そして両者をつなぐ書き下ろし短編小説「犬も歩けば」の3編だ。
コミック出したり短歌集を出したりとわりとフリーダムな感じのレーベル「ハヤカワSFシリーズJコレクション」だが、まさか戯曲集まで刊行されるとは思わなんだ。
本物のエスパー達があつまる喫茶店「カフェ・ド・念力」では、今年も恒例のクリスマスパーティが開催されようとしていた。普段人目を忍んで生活している彼らは、この日はここぞとばかりに自分たちの能力を思う存分披露するのだ。
しかしそんな「カフェ・ド・念力」にニセモノエスパーと超能力番組の若手女性ADが紛れ込んで来たものだから、エスパー達は自らの能力がバレないように必死になるのだった。(「曲がれ!スプーン」)
とある大学のSF研究会。クーラーのリモコンを不慮の事故で壊してしまったばかりに暑い夏をすごす彼らの前に、突然タイムマシンが現れた!さっそくリモコンを取り戻すために意気揚揚と過去へと出発するSF研の面々だったが、それぞれSF研とは思えないてんで勝手な行動をとるため昨日と今日が入り乱れていく。なんとか辻褄を合せようと比較的マトモなSF研部員・甲本は奮闘するハメに。(「サマータイムマシン・ブルース」)
テンポの良いギャグの応酬で、読んでいて笑える場面がたくさんあった。残念ながら僕はヨーロッパ企画の舞台を観たことはないのだが(沖縄県内での公演希望)、読んでいてもこれだけ面白いのだから生で観たら爆笑だろうなあと思う。登場人物たちの縦横無尽な活躍が目の前に浮かぶようだ。
脚本・演出を担当している上田誠が根っからコメディ気質なのか、気負ったものがなくてとても読み易い。愛すべきキャラたちのボケっぷりも気持ちが良い。
「曲がれ!スプーン」は「冬のユリゲラー」のタイトルで人気を博した舞台を改題したもの。喫茶店に集う個性的なエスパーたちがそれぞれの小さな能力を駆使して小さな奇跡を起こす冬の物語。
みんな独自の能力を持っているのだが、微妙な制約があったり、自分でもコントロールできなかったりする所が面白い。またそれぞれ自分なりに倫理感をもって能力と生きている所が微笑ましい。彼らが巻き起こすドタバタコメディに浸りたい。
「サマータイムマシン・ブルース」は夏のうだるような暑さの中だべっている大学生たちを主役に据えたこれまたドタバタ劇。せっかく出現したタイムマシンを「失くしたリモコンを探しに行く」という非常に小さな用途に使うところがバカバカしくて良い。
しかも彼らと来たらSF研究会のくせに全然SFを研究せずに野球ばっかやっているのだ。まあでも大学時代の部活動なんてこんなんだったなあとちょっと懐かしくなった。
ちなみにこの作品内では、タイムマシンは「日単位」でしか移動できず、また過去と現在はリアルタイム(?)で進行しているらしいので、Aという人が一日前の過去へ行った10分後に、Bさんが一日前へタイムトラベルすると、Aさんが到着した10分後にBさんが出現するという事になる。
よくよく考えたらなんだか変な感じはするが、直観的にはわかりやすい。この手法は福井晴敏の『戦国自衛隊1549』でも採用されていた。お互いまさかこんな所で発想がかぶっているとは思うまい。
この一冊で夏も冬も楽しく過ごせる。大劇団ではないがこのような良品を作る劇団を日本の出版社はもっと大切にしてほしい。 -
過去に観た芝居の戯曲と思い購入したのが、この『曲がれ!スプーン』です。
実際は、過去に観た芝居の戯曲ではなかったのですが(^_^;)
『曲がれ!スプーン』、『サマータイムマシーン・ブルース』共に面白い作品でした。
どちらもドタバタで、何か煙に巻かれる感じはありますが、そこが面白いのかもしれません。
舞台化を考えると、ちょっと難しいところもありますが、きっと遣り甲斐はあるでしょうね。 -
「曲がれ!スプーン」(映画)はまだ観てないです。
「サマータイムマシン・ブルース」(映画)は感動した。
上田さん天才かもしらん。それッポクないところがすごく好き。 -
曲がれ!スプーンは、2009年紀伊國屋ホールにて観劇。サマータイムマシンブルースは未見。
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電車で読んでて、吹いてしまった…。
だっておもしろいんだもん!
いやぁ、まぁ、映画は米がメインだけど、こっちはエスパーがメインだね。
これが正しいんだと思うよ。
舞台って良いなぁって、すごい思いました。
舞台で、SFをやるっていうのはすごい制約が多いけど、舞台じゃないと出来ない空気ってすごいあるし、大好きだし。
すごいですわ。