さあ、気ちがいになりなさい (異色作家短編集)

  • 早川書房
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152086754

感想・レビュー・書評

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  • 買ってから15年間棚で寝かせてあったのだけど『真っ白な嘘』を読んだのをきっかけにこちらも。おもしろかったー。

    「真っ白な~」と3編が共通だった(()内は『真っ白な嘘』のほう。
    「ぶっそうなやつら」(危ないやつら)
    「町を求む」(町を求む)
    「沈黙と叫び」(叫べ、沈黙よ)

    この3編めの「沈黙と叫び」はほんとうによくできた話で、すごくイヤな物語なんだけれど感心してしまう。そして最後にゾクリ。

    「みどりの星へ」は、おどろきのエンディングながらいかにもSF短編らしくておもしろかった。
    評判のいい「電獣ヴァヴェリ」は、姿の見えない、すべての電気を遮断する謎の侵略者によって、世界がスチームパンクの世界になる話。最後の1行がとても甘く切なくてよかった。
    「ノック」は、星新一と合作なんじゃないのと思うほどの、これがあったから星さんが訳したくなったんじゃないかと思うような作品。

    ほかのもみんなおもしろかったけど、読むそばからもう忘れてる(^_^;; あかん。

    おどろいたのはあとがき。「唯我論者」とか「ミミズ天使」とか、収録されていない短編の話ばかりしてる。どちらも子どものとき読んで、すごく頭に焼きついてる作品なんですよ。また読みたいのに~。じらすなよ(笑)

  • 最高。
    特に好きだったのは『電獣ヴァヴェリ』で、翻訳の妙もあり心に残った。

  • 久々の海外文芸。
    ヘンな着想で読者を翻弄、魅了するブラウンの魅力の詰まった短篇集。
    1960年代に全集に納められ、何度も再録されているのにも納得。
    面白い。

  • 先日参加した読書会で「短くてキレのいい小説」が話題になった。まあ当然のように星新一の名前が上がるわけだが、その後、星新一と言えば星新一訳のフレドリック・ブラウンも忘れてはいけないと声を揃えたのが、この「さあ、気ちがいになりなさい」。ダールに続いて異色作家短編集の巻二を飾る名著だ。

    ちょうど何かフレドリック・ブラウンを読み返したいなあと思っていた時期でもあったため、再読。お気に入りは、狂気を正面から扱った巻頭作『みどりの星へ』、電気が使えなくなった世界を描いてノスタルジックな雰囲気がある『電獣ヴァヴェリ』。次点がそれぞれ「地球上で最後に残った男が、ノックの音を聞く」という超短編と、「人のいない森の中で倒れた木は音を立てたか」という哲学の問題に取材した『ノック』と『沈黙と叫び』。表題作の『さあきちがいになりなさい』は、正気と狂気の境目を描いて面白いが、後半が今一。やっぱり異色作家短編集はいいなあ。もう何冊か読み返そう。

  •  図書館で探すと、星新一の著書は今や児童向けの傑作選ばかり。館内コンピューターで検索するとF・ブラウンの訳書が見つかる。借りるしかあるまい。
     巻頭「みどりの星へ」は鮮明に憶えていた。他の翻訳で読んだのだろう。
     他に「ぶっそうなやつら」「おそるべき坊や」「ノック」「ユーディの原理」「沈黙と叫び」が気に入った。
     巻末の初出一覧によれば「シリウス・ゼロ」はキャプテン・フューチャー誌1944年9月号発表と判る。戦時中ではないか。日本は大政翼賛しているのに、あちらと来たらのんきにスペースオペラ。敗戦するのも無理はない。
     主人公の職業がいちいちお洒落だ。アメリカでは40年代から第三次産業が盛んだったのだなぁ。長編『発狂した宇宙』ではSF雑誌の編集長だったはず。

  • 昔読んだはずだが、もっと面白かった気がしたが。

  • 星新一のような短くて奇妙な味の話たち。
    訳者も星新一なんだね。

    おもってたよりSF的な話が多かった。
    私はあまりSFがハマらないタイプなのでしっくりこない話も多かったけど、『ぶっそうなやつら』と『沈黙と叫び』はとても好み。
    前者は途中までの心理戦とラストが笑える感じでよかった。
    後者はとにかく後味が悪く不気味でゾッとする話。

  • SFが好きだと思うわりに有名な名作みたいなものは読んだことがなかったなあと思い立って手に取ってみたらめっっちゃくちゃ面白かった一冊。なにこれすごい。
    シニカルでブラックなんだけれどもコミカルでオチにびっくりしてしまうようなものばかりで、収録短編のどの話も抜群に面白かった。
    たまに怖く、たまに切なく、時々ハッピーエンド。不思議な世界観。
    こんなに面白いのか……。と感心してしまった。他の作品も読んでみたい。

  • 奇妙かつ突飛なタイトルではあるが、中身は超一流の短篇集。短編、といっても表題作以外はショート・ショートの形式で描かれており、そのどれもが奇抜なアイディアである。それらと相反するかのように、その登場人物の多くは日常の延長線上で過ごしている。使われる小道具やシチュエーションも、ラジオやノックの音、電車の待合室、友人の家、手品といったような、ありふれた日常で目にするものばかり。そしてふとした拍子に異世界へと迷い込んでしまうのだ。星新一氏の簡潔かつ明瞭な文章も馴染みやすく、その分かりやすさに一役買っている。個人的には壮大な着想と平凡な日常というギャップが最も激しい『電獣ヴァヴェリ』と冒頭の2行で話が終わる世界一短い短編である『ノック』がおすすめ。

  • これも覚えてないなあ

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著者プロフィール

フレドリック・ウィリアム・ブラウンは、アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティ生まれの小説家、SF作家、推理作家。ユーモアあふれるショートショート作品で知られている。

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