ザ・チェーン 連鎖誘拐 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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本棚登録 : 265
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151833045

作品紹介・あらすじ

誘拐された娘を救うために、他人の子を誘拐することになった母親を襲う危機また危機!英米ミステリ界で絶賛された超話題作上陸。

感想・レビュー・書評

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  • 娘が誘拐される。誘拐犯からの要求は身代金と誰か他の子どもを誘拐すること。そして何より"チェーンを途切れさせないこと"。誘拐された側の緊張感と誘拐する側の緊迫感を読みながら同時に味わう本書、一気に読んでしまいそうなところ勿体ないのと心臓によくないのとで、ちびちび読んでしまった。大御所ミステリ作家の方々の帯の言葉通りです。チェーンを動かしている側をどこまで暴くのか期待しつつ下巻へ。

  • エイドリアン・マッキンティ『ザ・チェーン 連鎖誘拐 上』ハヤカワ文庫。

    奇抜な設定のスリラー・ミステリー。この作品は海外翻訳物に馴染みの無い方にも充分楽しめるのではなかろうか。

    タイトル通り『連鎖誘拐』を描いた作品である。まるでチェーン・メールのような誘拐の連鎖。たまに描かれる首謀者は一体誰なのか。犯罪とは無関係の一般人が大切な我が子を守るために次々と犯罪に手を染め、無慈悲な誘拐のチェーンを維持し続ける。

    乳癌から生還し、新たな職業を得て、これからの人生に期待を膨らませていたシングル・マザーのレイチェルの元に突然、最愛の娘カイリーを誘拐したとの連絡が入る。娘を救うためには身代金の送金と他の誰かの子供を誘拐する必要があり、レイチェルは愛娘の命を守るためにやむなく犯罪に手を染める……

    果たしてレイチェルはこのチェーンを断ち切れるのか……

    本体価格780円
    ★★★★★

  • 怖い、早く下巻を読みたい

  • 一気読み!

  • IRA全盛時代のかなり荒れた時代のアイルランドを舞台にした警察小説でかなり評価された作家なのだけど思ったような儲けが出ないということでUberのドライバーに転身していたというから驚き。大家のドン・ウィンズロウが才能を惜しんで自分のエージェントを紹介して書かせた作品、ということのようで興味津々で手にとってみた。本作の舞台は現代のアメリカでタイトルから想像できるとおり誘拐がテーマ。シングルマザーで癌闘病中の主人公の一人娘が拐われる。解放の条件は身代金を払うことと別の子供を攫って同じように身代金を払わせ別の子供を拐わせること。いわば被害者が加害者を兼ねる形になり苦悩も深まるのだが全体を監視しコントロールしている者はリスクを軽減できる、という話。誘拐のターゲットを見つけたり行動を掴むのにSNSを活用したりパソコンに監視ソフトを埋め込んだりと舞台が現代だけにテクノロジーも駆使されていてなかなか読ませる。全体をコントロールしている真犯人の設定や生い立ちも興味深く描かれている。ところどころ粗いところもあるのだけどそれも含めての魅力かな。面白かった。

  • 子供がいる親にとっては気になって仕方がないノンストップスリラー。がんを患う母親が主人公。娘がある夫婦に誘拐されるが、この夫婦も子供を誘拐されている。子供を救うにはほかの子供を誘拐して身代金を支払わせるしかない。この関係は延々と続いていて「チェーン」と呼ばれる。チェーンに逆らえば皆殺しの報復が待つ。環元米兵の元夫の兄に協力を得てトラブルに挑む。上巻で一区切りつくが、不穏な終わり方。

  • 「チェーン」は終わらない。

    レビュー
     プロットが素晴らしいの一言に尽きる。
     誘拐犯の子どもは別の誘拐犯に攫われていて、その誘拐犯のもまた別の誘拐犯に攫われ、という、無数に繋がるチェーンという設定自体が秀逸だ。そして、そのシステムの性質上、自分の誘拐だけでなく、繋いだ先の誘拐の成否すら責任を負わなければならない。(会社で人事部のあなたが誰かを採用して、その採用した誰かが採用した人が問題を起こしたら、あなたまでその責任を追及されるということだ。)
     この鎖は単なる誘拐連鎖ではなく、システムに組み込まれた時点で、その当事者の身体、そして精神を縛る鎖だ。我が子への愛を担保に繋がっていく。
     レイチェルの決断力、カイリーの勇敢な脱出未遂、ピートの協力、誘拐した子どものアレルギー反応など、どれもが予想外であり興奮する要素になっていて、ページをめくる手が止まらなかった。
     そして、カイリーとの邂逅も束の間、次のミッションも難儀を極めそうで、非常に楽しみだ。

    余談
     チェーンといえば、作中にも出てくる「暗号通貨」の技術である「ブロックチェーン」。これは分散システムであり、中央集権的なシステムでないからこそ、改竄を防ぎ、確実な追跡を可能にするものだ。この物語はきっと、この技術の特性を理解して、そこから着想を広げたのではないだろうか。

  • 2019年発表
    原題:The Chain

  •  ボストンの北東、ニューベリーポートに近いプラムアイランドで少女カイリーがバス停で誘拐された。シングルマザーのレイチェル・クラインは犯人からの要求に驚いた。
     1つは、身代金$25,000-、二つ目は、誰かを誘拐し同じ様に身代金と誘拐を指示する事だった。犯人もレイチェルと同様に子供を誘拐され正に今、犯罪ミッションを遂行中で、このミッションは''チェーン''なのだと、、連鎖した誘拐。

     物語は、淡々と身代金支払いから誘拐へと駒が進む。途中で警官が現れたり、誘拐目的と違う子供を拉致する場面があるがひたすらに''チェーン''の言いなりで事が進む。展開のテンポが良く飽きさせないどんどん項が進むが、誘拐に向けてのハッキングや武器の準備、警察との遣り合い等、手際がいい。まるでスパイだ。ただの主婦がそんなスキルが有るの? そもそもそれなら組織を潰したらなんて考えながら上巻読了。

  • 80年代の紛争下の北アイルランドから一転してアメリカに舞台は移り、誘拐犯罪を連鎖させる「チェーン」に絡め取られ心ならずも罪を犯す母親たちは苦悩と奮闘の末に子供を取り戻しはするのだが…
    上巻だけで完結した作品になり得る、それほどまでに徹底的に連鎖誘拐の卑劣さを描ききっている。しかし作者はその後を敢えて追及する。下巻では黒幕との対決が待っているのだろうか?

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