死刑囚 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
4.15
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本棚登録 : 143
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (549ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151821554

作品紹介・あらすじ

スウェーデンで逮捕されたその男は、アメリカで六年前に死んだはずの死刑囚だった!? 大好評、グレーンス警部シリーズ第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • グレーンス警部シリーズ第三弾。
    今作も重く苦しく辛い。

    暴行で逮捕した男の身元を探ると、アメリカで6年前に死んだ死刑囚と同一人物の可能性が出てきた。大国との政治的な駆け引きの中、死んだと思われていた死刑囚と向き合うグレーンス警部。。。

    一作目、二作目と同じく、救いもなく、希望もなく。だけどこんなにも辛い話なのに読むのが止められない。今作ではグレーンス警部のプライベートな側面もちょっと見えてきて、いつもの取っ付きづらさは薄いか。政治的な要素もありつつ、この死刑囚が真実を語っているのかどうかを怪しませる構成となっている。

    刑事がスパッと事件を解決するわけではないのでカタルシスはないかもしれないが、社会問題と絡ませて他にない終わり方となる貴重なシリーズ。読み続けたい(と言いつつも重すぎて体力を使うので計画的に。。。)。

  • アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『死刑囚』ハヤカワ文庫。

    再文庫化されたので再読。グレーンス警部シリーズの第3弾。奇抜な設定と予想外の結末が待ち受ける社会派ミステリーの傑作。読み返しても、なお面白い。

    スウェーデンで暴力事件を起こし、逮捕されたジョンと名乗るカナダ国籍の男は6年前にアメリカの刑務所で、死刑囚として獄死した男だった……何故、獄死したはずの男がスウェーデンに居るのか、彼の犯した罪は冤罪だったのか、彼の運命は……多くの謎を提示しながら、ストーリーが展開していく。

    • take9296さん
      シリーズ第四作がこの秋に翻訳されるそうで、楽しみです。
      シリーズ第四作がこの秋に翻訳されるそうで、楽しみです。
      2018/05/06
    • ことぶきジローさん
      秋にシリーズ第4作の翻訳ですか。楽しみです。
      秋にシリーズ第4作の翻訳ですか。楽しみです。
      2018/05/09
  • シリーズ物は一作目から読まないと気が済まない性分だが、前二作の前評判に気圧され、第三作となる今作から手に取ってみた。現行の死刑制度が孕む矛盾点を問い質す重苦しいテーマで、ラストの一頁まで全く情け容赦ない展開が続いていく。形式上、シリーズものという体裁を取ってはいるものの、各巻で取り上げるテーマそのものが作品を司っている様な印象を受けた。それゆえ、登場人物達の造詣が実に記号的で、尚且つ傀儡的である。ダイジェストさながらに進行する終盤の無機質さ、怜悧さといい、陰鬱さに溢れたこの作風はちょっと私にはキツいな…。

  • シリーズ第3弾。死刑制度のないスウェーデンで死刑がテーマ。このシリーズはいつも内容が重いけれどそれは今作も同じ。そして死刑制度のある日本で読むことの意味も考えさせられる。死刑への是非。当然という立場、必要ないという立場と様々な立場から死刑というものの影響を見せてくれる。そのどれもに完全に否定できるものはなく、立場が変われば考えは変わる。正しい答えはあるのか、救われる方法は。シリーズの面白さとはまた別で問いかけられている。

  • テーマ、設定に強烈に引き込まれ、満員電車内での細切れ読書が恨めしくなるほど。最初から最後まで一気に、でも丁寧に、読み進めた。

    特に執行までのカウントダウン描写は、まるで自分が執行されるかのように手に汗握り、心臓が痛くなった。

    「死をもって死を償う」「死刑やむなし」が多数を占める日本。冤罪の可能性があるからとの理由で、死刑制度廃止へは傾かないのではないかと思う。

  • エーベルト・グレーンス警部シリーズ第三作。

    自分の中の何かが麻痺したのだろうか。
    エーベルト警部が、これは大事件と騒ぐのが
    全く響いてこない。
    作者の「やり口」に慣れてきたということか。
    自分が望んでいないにもかかわらず、
    意外性の無い、悲劇的な結末へと向かって、
    話が進んでしまうことに。

    アメリカの州立刑務所内で死刑執行前に死亡したはずの囚人が、
    スウェーデンで暴力行為で逮捕され、
    政治的駆け引きの結果、アメリカに引き渡されて死刑に処された。
    それだけ。

    死刑になると判っていて卑劣な男に暴力をふるってしまった動機も、
    その無実の罪を創り出した男の動機も理解できなかった。

  • スウェーデンで酔客に暴行を加えて逮捕されたカナダ国籍の男は、米国で死んだはずの元死刑囚だった!?それはスウェーデン全土と米国を舞台にした前代未聞の事件の幕開けだった。

    序盤でネタは想像がつくし、あーこれジョン助からないやつだわーってなるんですが。。
    まさかこんな終わりとは!

    フィニガンは共感しづらいけど不幸だなあ。しかしながら目には目を、がまさに自分に返って来てるのが皮肉・・・。

    死刑の支持率が異様に高いことで知られる日本では、スウェーデンでの騒ぎの描写は理解されづらいかもなと思いました。が、死刑囚の拘留中の様子や執行時の描写など、あまり知られてないことがよく描かれていて、フィクションとしてでも何か考えるきっかけになればなあと感じます。

    スウェーデン組はこの結末、どう思ったのかしら。。

  • このシリーズの根底に流れるテーマは「復讐」なのだろう。
    一作目は幼い娘を殺された親による復讐、二作目は国境を超えた人身売買の被害者による復讐、今作は社会的復讐装置とも言うべき死刑制度に対する復讐劇となっている。

    「死刑囚」を物語の中心としながら最終的に制度全体に対する復讐に仕上げていく構成が素晴らしい。単なるミステリー・サスペンスではなく、社会派小説とも言うべき、人物だけでなく社会、民衆全体に波及するストーリーとなっている。
    ただ単に「正義」をかざすのではなく、そこに人物一人ひとりの細かいまでの描写と人としての苦しみ、悲しみも合わせて描かれている。
    特に今回は主人公であるグレースンの哀切も描かれており、シリーズの深みを一層増している。

  • グレーンス警部。ヘルマンソンに誘われてダンスに行ったシーンから親近感覚え、これまでの印象が一変した。あいかわらずカタルシスを味わえるお話ではなかったけど、面白かった!

  • 面白そうだと思って読み始めたが、最初の頃のもっさりと進む展開が耐えられずに断念

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著者プロフィール

アンデシュ・ルースルンド 1961年生まれ。作家・ジャーナリスト。ヘルストレムとの共著『制裁』で最優秀北欧犯罪小説賞を受賞。

「2013年 『三秒間の死角 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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