- Amazon.co.jp ・本 (549ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151821554
作品紹介・あらすじ
スウェーデンで逮捕されたその男は、アメリカで六年前に死んだはずの死刑囚だった!? 大好評、グレーンス警部シリーズ第三弾。
感想・レビュー・書評
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アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム『死刑囚』ハヤカワ文庫。
再文庫化されたので再読。グレーンス警部シリーズの第3弾。奇抜な設定と予想外の結末が待ち受ける社会派ミステリーの傑作。読み返しても、なお面白い。
スウェーデンで暴力事件を起こし、逮捕されたジョンと名乗るカナダ国籍の男は6年前にアメリカの刑務所で、死刑囚として獄死した男だった……何故、獄死したはずの男がスウェーデンに居るのか、彼の犯した罪は冤罪だったのか、彼の運命は……多くの謎を提示しながら、ストーリーが展開していく。-
2018/05/06
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2018/05/09
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シリーズ物は一作目から読まないと気が済まない性分だが、前二作の前評判に気圧され、第三作となる今作から手に取ってみた。現行の死刑制度が孕む矛盾点を問い質す重苦しいテーマで、ラストの一頁まで全く情け容赦ない展開が続いていく。形式上、シリーズものという体裁を取ってはいるものの、各巻で取り上げるテーマそのものが作品を司っている様な印象を受けた。それゆえ、登場人物達の造詣が実に記号的で、尚且つ傀儡的である。ダイジェストさながらに進行する終盤の無機質さ、怜悧さといい、陰鬱さに溢れたこの作風はちょっと私にはキツいな…。
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テーマ、設定に強烈に引き込まれ、満員電車内での細切れ読書が恨めしくなるほど。最初から最後まで一気に、でも丁寧に、読み進めた。
特に執行までのカウントダウン描写は、まるで自分が執行されるかのように手に汗握り、心臓が痛くなった。
「死をもって死を償う」「死刑やむなし」が多数を占める日本。冤罪の可能性があるからとの理由で、死刑制度廃止へは傾かないのではないかと思う。 -
このシリーズの根底に流れるテーマは「復讐」なのだろう。
一作目は幼い娘を殺された親による復讐、二作目は国境を超えた人身売買の被害者による復讐、今作は社会的復讐装置とも言うべき死刑制度に対する復讐劇となっている。
「死刑囚」を物語の中心としながら最終的に制度全体に対する復讐に仕上げていく構成が素晴らしい。単なるミステリー・サスペンスではなく、社会派小説とも言うべき、人物だけでなく社会、民衆全体に波及するストーリーとなっている。
ただ単に「正義」をかざすのではなく、そこに人物一人ひとりの細かいまでの描写と人としての苦しみ、悲しみも合わせて描かれている。
特に今回は主人公であるグレースンの哀切も描かれており、シリーズの深みを一層増している。 -
グレーンス警部。ヘルマンソンに誘われてダンスに行ったシーンから親近感覚え、これまでの印象が一変した。あいかわらずカタルシスを味わえるお話ではなかったけど、面白かった!
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面白そうだと思って読み始めたが、最初の頃のもっさりと進む展開が耐えられずに断念