熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 6-1)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (561ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151821516

作品紹介・あらすじ

軍倉庫から銃を盗み出した青年レオは、弟たちとともに、恐るべき連続銀行襲撃を計画する。果たして彼らを待ち受けるものとは……

感想・レビュー・書評

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  • 実際にあった事件が元なのか…
    スウェーデンの話をきちんと読んだのは初めて。
    没入感がすごい。
    両親(主に父親)のせいでこんなにも兄弟仲が固く結ばれることがあるなんて…
    みんな憎めないが、たくさんの人を(そこまでの悪意はなさそうに)巻き込んでおり、なんとも言えない気持ちにもなる。
    割とページ数はあるが続きが気になって気になって暇さえあれば読んでしまう。
    下巻も楽しみ。

  • スウェーデン・ストックホルム市を舞台にしたクライムノベル。実在の事件をモチーフにした小説ということで非常に期待して読んだ。

    さすが北欧ミステリーの傑作だ。面白い。

    超暴力的な父親から虐待を受けていた3人、レオ、フェリックス、ヴィンセントの兄弟が主人公。
    三兄弟とその幼なじみのヤスペルとの4人組がスウェーデン史上、類を見ない強盗事件を次々と起こしていく。

    彼らの用意周到な強盗に翻弄される警察。
    レオ達は首尾良く犯行を成し遂げ、警察を出し抜けるのか。
    それともストックホルム市警のブロンクス警部が彼らを追い詰めるのか。

    手に汗握る攻防が繰り広げられる。
    そして下巻へ。

    • くるたんさん
      こんばんは♪
      ついにこの作品ですね♪
      かなり暴力シーンがきつかった記憶が…。
      下巻も楽しんでください٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      こんばんは♪
      ついにこの作品ですね♪
      かなり暴力シーンがきつかった記憶が…。
      下巻も楽しんでください٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
      2019/10/30
    • kazzu008さん
      くるたんさん。おはようございます。
      コメントありがとうございます。
      くるたんさん、おすすめの本書、やはり面白いです。今下巻の途中ですが、...
      くるたんさん。おはようございます。
      コメントありがとうございます。
      くるたんさん、おすすめの本書、やはり面白いです。今下巻の途中ですが、この圧倒的な暴力の迫力にタジタジです。でも兄弟の結束のかたさにほろりとさせられるところもあるし、ちょっといい感じですよね。
      2019/10/31
  • <上下二巻、併せての評です>

    過去と現在の出来事が、交互に語られる。親子の物語であり、家族の物語であり、類い稀な犯罪小説でもある。人はなぜ理に合わない犯罪に走るのか。やむにやまれぬ強迫観念に突き動かされた行為の裏に隠された過去が、記憶の鍵をこじ開け、じわりじわりと顔をのぞかせる。子ども時代からこだわり続ける抜け落ちた記憶。本当は誰がしたのか。物語が進むにつれ、次第に明らかになる真実。

    冒頭、四年ぶりに家族のもとに父が帰ってくる。ドアが開くなり、父は母親の顔を殴り、腹を蹴り、髪をつかんで引きずり倒し、なおも蹴り続ける。二人の間に体を入れ、止めようとする長男。その長男に「あとは頼んだぞ、レオナルド(略)わかるな? おれはもう、ここにはいられない。これからはおまえが束(たば)ね役だ」と言って立ち去る父。のっけから凄まじい暴力シーンではじまる、波乱の幕開けだ。

    第一部。成人したレオは弟のフェリックス、ヴィンセント、それに幼なじみで軍隊仲間のヤスペルと組んで、軍の武器庫に収蔵された銃器を強奪しようとしている。大胆かつ細心な計画はレオが立てた。レオが営む工務店を隠れ蓑に、四人で盗んだ銃器を使って現金輸送車を襲う計画だ。後に「軍人ギャング」と呼ばれることになる強盗グループの初仕事である。この作品は、そのグループの胸のすくような仕事ぶりを描くと同時に、追う側と追われる側、双方が抱える過去との確執を描く。

    こうした大掛かりで計画的な犯罪が起きた場合、警察はまず過去の事件を洗い、よく似た犯罪を起こした者を探す。しかし、今回はそれが全く役に立たない。なにしろ、犯人たちはまだ二十代で、前科などないからだ。顔には覆面、指紋は残さない。犯罪に使用した着衣その他は焼却し、銃器は分解してコンクリート詰めにし、水中に沈めるという徹底ぶり。練りに練った計画、それを完璧に行うための訓練、盗んだ大量の武器弾薬の隠し場所、それらを手配し、仲間を率いて実行に移してゆくレオの采配が光る。

    しかし、そのレオもはじめから優れたリーダーだったわけではない。子どもの頃、年上の悪ガキに目をつけられ、痛い目に合わされた。それを父親に見つかり、やられたらやり返せ、と毎日喧嘩の練習をさせられた過去を持つ。父のイヴァンは半分セルビア人で、半分はクロアチア人。国が自分たちを守ってなどくれはしないことを骨身にしみて知っている。家族(クラン)の結束が何よりも大事だ、と信じ切っている。

    練習の甲斐あって、レオは自分より大きくて力もある相手の顔面を殴りつけ、鼻骨を折る。まず、鼻をねらえ、というのが父の教えだった。相手が自分より強くても、鼻を殴られれば一瞬怯む。涙で目が見えにくくなり、動きが止まる。次は顎に一発。そうして相手の周りを動き続け、隙を見ては殴る。それを続けていれば相手の闘争心は鈍り、勝機をつかめる。題名(原題は『熊のダンス』)はその戦法を指している。

    自分のあとを継ぐ長男には、家族を守る力がいる。自分の始末は自分でつけるしかない。そう考える父に対し、スウェーデン人の母は話し合いで解決するべきだという。妻は夫の過剰な暴力に耐えられず、家を出る。イヴァンは実家に帰った妻を無理矢理連れ帰ろうとし、家に火をつけ、駆けつけた警察に逮捕される。レオと違って年端のいかない弟たちは母に乱暴した父を許すことができない。冒頭の一幕は、四年の刑を終えて戻ってきた父と母の再会の場面だったのだ。

    犯人を追う立場である刑事のヨンにも過剰な暴力の覚えがある。兄のサムは、母に暴力を振るう父をナイフで刺し殺し、今も獄中にいる。人はなぜ過剰な暴力を振るわずにいられないのか。ヨンは夜毎、警察に泊まり込んでは過去の暴力事件のファイルを読むのが日課になっている。そんなある夜、現金輸送車襲撃の一報が舞い込む。事件の担当を命じられたヨンは早速現場に向かう。

    犯行は計画的で緻密、人目につかない場所を逃走経路に選んでいるところから、ヨンは犯人には土地勘があると見る。その後もグループの犯行は続き、次第にエスカレートする。そしてついにはストックホルム駅構内のロッカーが爆破される。もともとは陽動作戦で、警官たちを爆破予告した場所に引きつけておき、その隙に離れた場所の銀行を襲う計画だった。爆発は想定外。レオが作った爆弾をロッカーに仕掛けたのはヤスペルだ。まだ十七歳のヴィンセントは、この事態に動揺する。フェリックスはヤスペルに詰め寄るが、レオはヤスペルをかばう。兄弟間にひびが入り始める。

    弟二人がグループから離脱を考えはじめるのをよそに、レオは新たな犯行計画を披露する。それを最後に、強盗を引退するという言葉を信じ、渋々参加した弟二人だが、思っていたような戦果が得られず、レオは更なる襲撃を口にする。そんな兄に対して、フェリックスは自分の思いをぶつける。兄貴のやってることは、異論を力で封じ込め、相手を自分の思い通りに動かそうとする、かつての父親と同じだと。

    人はなぜ暴力に訴えるのか。そこには理由があるはず。実際に起きた事件をその内部からながめることで、ことの本質に迫ろうとする、フィクションではあるが、限りなく事実に近い位置に身を置いて描かれた小説である。なんと、作者の一人は実行犯の兄弟の一人で、強盗には加わらなかったため作中には登場しないが、計画は知っていたという。それだけにあれだけ強かった兄弟の絆が、一度ひびが入ってから見る見る脆くなってゆく様が手に取るように分かる。そして、悲劇が待っていた。犯人の側にこんなに身につまされる小説を読んだことがない。上下二分冊。どちらもかなりの厚さだが、読ませる。

  • まずは上巻へのコメント
    ミレニアムしかり、やはり北欧ミステリーはおもしろい。
    徐々に引き込まれて、中盤から一気読み。過去のトラウマから抜け出せない登場人物の心理描写が下巻でどう影響するか。。。

  • これは面白い!
    スウェーデンの小さな街で、軍の武器庫から大量の武器を盗み出す三兄弟。その目的は銀行強盗で、長兄の立てる隙の無い作戦により、警察は犯人の目星を全くつけられずにいるが、二人の警察官が、独自の捜査から少しずつ犯人像に迫って行く。

    過去を追いながら、其々のキャラクターの心情をしっかり描いている為、物語に入りこみやすい。翻訳も秀逸で、特に作戦を決行するシーンは映画を見ているようなスピード感である。上巻だけでもかなりのボリュームがあり、一つの作品として成り立ちそうだが、その分、下巻の展開が楽しみ。

  • めちゃくちゃ面白かった。

    ただ、ヨン・ブロンクス周りの描写は
    要らない気がする。。

  • やっと読了。
    レビューは「下」を読んでから。
    ただ、「上」を読んだ限りで言えるのは、めちゃめちゃ面白いということ。

  • 日本ではスウェーデンのもつイメージは、デザインと高度な文化をもつ洗練された国。同時に最近よく見かける北欧ミステリーの供給地でもある。描かれる社会は極東から伺い知られる印象とは違い、社会格差と暴力とが根底に流れる複雑な現代の矛盾を多く抱えた複雑な世界だ。この作品も移民の流れを汲む家族の物語である。家族であるが故の結束や葛藤、愛情と憎しみなど普遍性を持つが故に圧倒的な分量をよみ進めさせる圧力をもつのだろう。人間は暴力で体を支配し、心を支配していく。その仕組みを表す「熊と踊れ」。言葉の印象とは裏腹に畏怖の念を持つ。
    現金輸送車の襲撃、銀行強盗など犯行そのものの描写は大変淡白だと感じたが、その用意周到さをの表現は大変しつこい。特に、個々の登場人物の機微が。そのしつこさがないとこの作品を書く目的だったことを訳者あとがきをもって知った。

  • 次々と傑作・問題作を上梓し続けているアンデシュ・ルースルンドの長編ミステリー上巻。ハヤカワ・ミステリ文庫創刊40周年記念作品。

    主人公の3兄弟の過去を描いたプロローグに続き、第一部の前に記載された『これは事実に基づいた物語である。』という一文に驚く。圧倒的な描写に560ページがあっという間だった。過去の暴力の呪縛を背景とした3兄弟の止まるところを知らない暴走の行き着く先は…下巻を早く読まねば!

    父親による暴力の嵐の中で育ったレオ、フェリックス、ヴィンセントの3兄弟は軍の倉庫から大量の銃器を奪い、現金輸送車襲撃を皮切りに、次々と銀行強盗を働く。謎の強盗犯を追うストックホルム市警警部のヨン・ブロンクスは少しずつ犯人像に迫っていく。

  • 三兄弟と親友4人で軍の武器を奪い銀行強盗を実行。長いけどスピード感があって面白い。最後に不意に爆弾が爆発し、下巻にも期待。

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著者プロフィール

アンデシュ・ルースルンド 1961年生まれ。作家・ジャーナリスト。ヘルストレムとの共著『制裁』で最優秀北欧犯罪小説賞を受賞。

「2013年 『三秒間の死角 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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