水晶の栓 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 4-4)

  • 早川書房
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151757549

感想・レビュー・書評

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  • 1912年の小説。ルパン・シリーズです。面白い、訳も良い。
    ケレンとヒロイズムに満ちて、エンターテイメントずぶずぶです。
    ルパンの手下が捕まった。もうすぐ死刑になってしまう。なんとかして救わねば・・・。という物語。
    どうやら当時のフランスで話題を呼んだ汚職事件なども変奏して盛り込んでいるらしいですね。
    (つまり、「モリカケ事件」を変奏して「新宿鮫」シリーズの新作を書くようなものでしょうか。期待。)

    これも実はかなり読み終わってから経過しているので、詳細は覚えていませんが、とにかく悪役がすごい。強い。もうこの強烈さ、ダークさ、毒気。「そうか、伊坂幸太郎って日本のモーリス・ルブランだったのか!」という感じ。
    そして、やっぱりルパンシリーズだから最後には、「あの女を手に入れる/守る」というとっても色っぽいところの攻防戦になるのも、実に素敵(笑)。

    ドンデン返し、意外な落ち・・・に見えて事態は元の木阿弥に・・・スリリング。スピード感。やめられない止まらない、F1レースのような快楽。そして、もちろんハッピーエンド。


    恐らく「第5作」と言って良い作品。
    1「怪盗紳士ルパン(短編集)」
    2「ルパンvsホームズ(中編2作)」
    3「奇岩城」
    4「813」
    5「水晶の栓」
    以前から、「813」が並ぶモノ無き最強傑作だと思っていたのですが、「水晶の栓」もなかなかな歯ごたえ。
    40代後半の楽しみとして、ルパンシリーズを再読破、というのがはっきり見えてきました。(ただ、それにつけては「ハヤカワ・ミステリー文庫の、実に素敵な大人向けの新訳で」、という条件が付きます。がんばれハヤカワ頼むぞハヤカワ)

  • いきなり裏切られるルパンにびっくり。
    ルパンが仕事をしようとしても、先回りして妨害される。
    ドーブレックなのか、第三者なのか。
    どうやって情報を知っているのか全然わからなくて、読んでて混乱した。
    最後の最後まで気が抜けない展開で、水晶の栓がまさか「目」だったとは気づかなかった。
    そう言われれば、色々伏線があった。

    なかなかいいように進まなくてやきもきした展開とは裏腹に、ラストはルパンらしいスカッとした展開に。
    久々の切なくないラストでよかった。

  • 中学生の頃夢中になって読んだルパンシリーズの中で、一番気に入っていた作品。二十数年経ってさすがに内容を忘れてしまっていたが、納得の面白さだった!とにかくルパンが苦戦する。部下の裏切りから始まり、罠に嵌ったり怪我を負わされたり…。それだけに最後、クライマックスでのルパンの勝利には本当にゾクゾクした。さあ次は「813」だ。笑

  • 逮捕されてしまった部下を救うため、ルパンが大物悪徳議員のドーブレックが持つ水晶の栓の謎に迫る話。

    とにかく導入部から水晶の栓をめぐって様々な謎や見えない敵の影もちらほらするなど、気になる展開でどんどん引っ張っていってくれます。

    ドーブレックの悪役ぶりもすごい! ルパンを相手に一歩も引かないどころか常に先手を打ち、様々な策略を張り巡らすなど二人の勝負には最初から最後まで引き込まれてしまいました。

    ポプラ社版ではカットされていたラストも、ルパンらしさが溢れていて良かったです。ルパンらしいというよりかは、フランスらしいの方が正しいかもしれないですが(笑)

    ルパンとその乳母ヴィクトワールのやり取りも、あまり多くないものの良かったです。小学生の頃の記憶にあるヴィクトワールと違い、ずいぶんさばさばした感じだったのですが(笑)

  • 2009.5.27
    普通に面白い

  • オチを忘れてた。ルパンの奇行が久しぶりにうざくなった(笑)
    冒険物ってこうあるべきだよね…面白いなぁ。

  • アニメの「怪盗ルパン」のイメージが強い分、小説のルパンは数度の窮地をどのように乗り越えるのか興味津々となり、一気に読み終えたくなる。それは変装し現場に赴くと相手は既にルパンの正体を知って逆手に取りルパンを窮地に追い込む。最後の最後まで騙す、騙されるを繰り返すが危機一髪で事件を解決する。ルパンの難題を乗り切る知恵は現代でも参考になる。
    現代、世の中を金を使い権力を手にしている輩がいる。が、金で得たものはやはり金でしか解決しないのだ。人は常に「情」を持って従うのを忘れている。

  • 1912年発表
    原題:Le Bouchon de cristal

  • ルパンの敗北の連続、どんでん返しの連続、と読んでいてハラハラさせられる長編。

  • 政界の黒幕ドーブレック代議士の別荘へ侵入したルパン一味。ところが計画が狂い、ルパンが可愛がっていた青年ジルベールを含む二人の部下が逮捕されてしまう。怪盗の部下逮捕の報に世間は沸きたち、迅速な死刑が決定した。部下救出に策を凝らすルパンは、そもそもの発端であるドーブレックがその力の源とする、ある品物に狙いを定めるが・・・迫りくるタイムリミット、強大な敵との対決。ルパン最大の苦闘が、今始まった。

    はあーー意図せず平成最後の日に読み終えることになりましたが、やっぱり最高だ。ルパンシリーズの中でも屈指の名作だと思います。最後の最後まで気が抜けないというか、上手くいったと思わせたりこれはもう本当にダメなのか!?と読者を非常にハラジャラさせてくれる冒険もの。クラリスおよびジルベールのためにあらゆる知恵を働かせて奮闘するルパンの、カッコいいだけじゃない情けない姿もさらされますが、それでも諦めず挑み続ける彼の姿勢に応援せずにはいられない。平岡先生の翻訳は本当に読みやすくて素晴らしいので、どうか他の作品も新訳をお願いします!

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著者プロフィール

本名モーリス・マリー・エミール・ルブラン。1864年、フランス、ノルマンディー地方ルーアン生まれ。 1890年頃から小説を発表していたが、1905年に編集者からの 依頼で書いた「アルセーヌ・ルパンの逮捕」が好評を博し、 強盗紳士アルセーヌ・ルパン冒険譚の作者として有名になる。 41年死去。

「2018年 『名探偵ルパン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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