カムバック・ヒーロー (ハヤカワ・ミステリ文庫 コ 6-3)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151709531

感想・レビュー・書評

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  •  まだまだ未読作の多いマイロン・ボライター・シリーズ。その第三作目は、何と驚きの、主人公原点回帰物語であった。

     スポーツ・エージェントという、あまり世に知られない職業で活躍するマイロンを主人公に据えてのハードボイルド。まさに変わり種のシリーズであるのだが、本作では彼の前史を核にしたミステリーが改めて展開される。現在の仕事に鞍替えする前、マイロンは、プロ・バスケットボール選手への華々しいプロセスを辿る活躍をしていた。しかし、ある敵方選手による決定的なファールによってマイロンは重傷を負ってしまい、未来への道を閉ざされることになった。

     その頃、マイロンの真のライバルであり友でもあったクレグ・ダウニングは、その後プロバスケットボール界で活躍していたが、最近になって突然失踪する。

     実は、クレグの元妻エミリーは、マイロンのたった一度だけの情事の相手でもあった。複雑で微妙な人間関係と、その後の人生の分岐、そして現在向かい合うことになったクレグの失踪とその裏に潜む真相。そして新たな殺人と謎。

     過去と現在を繋ぐ、因縁絡む失踪事件をマイロンに依頼してきたのはバスケチーム・オーナーであるクリップ。今では怪我の癒えたマイロンが、プロ・バスケチームに改めて選手として加入し、チーム内部からクレグの失踪事件を解決せよ、という異例中の異例とも言える依頼を受けるところで本書は始まる。

     マイロンにとっては、過去の栄光と挫折という主たる問題と、クレグとの間にあるエミリーという女性との過ちという罪責の問題と二つが重なって現在に蘇ることになる。

     三作目にきてマイロン・ボライターというシリーズ主人公の過去、また現在の職業に就いた経緯などが明らかになってゆく。いわゆるシリーズの誕生篇のような物語である。いわゆるマイロンというキャラクターの核心に迫るストーリーが本編なのである。そして現在、新たに登場する怪しい人物たちと、新しい殺人。

     相変わらずシニカルな相棒であるウィンザー・ホーン・ロックウッド三世、ことウィンは、マイロンと付かず離れずの関係と、ここぞというときの冷徹な暴力性を秘めながら影ながらのアシストがとても頼りになる存在でもある。今回はマイロンの内なる事件が材料であるせいか、二人のコンビネーションは遠目には遠慮がちに見える。マイロンの行動の影に常に強烈な存在感を伺わせるウィンの存在は、実はラスト一行まで目を離せない。ウィンはいつも閃光のような存在である。

     本作はマイロン自身の事件という要素が強いうえ、マイロンすら知らなかった自身の過去にまつわる事故周辺の人間関係図、その真相などが主人公の意図に関わらず徐々に明らかになってゆく。それゆえ作風は軽ハードボイルド風でありながらも、内容は実に重い。

     とは言え、ストーリーテリンは見事で、リーダビリティは抜群。重たい話をスピーディかつトリッキーに進めながら、マイロンという主人公の心の核心に迫ってゆくという、かなり至難な展開をこの作者は難なくこなしてゆく。本書はアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。納得!

     本シリーズの刊行は22年前を最後に途絶えているが、何と40代となったウィンを主人公にしたスピンオフ作品が、実は今月初めに邦訳刊行されている。個人的には、今春より取り憑かれてしまったコーベン中毒でありながら、啓示としか思えないこの新作の登場には少なからず驚いている。運命的としか他に言いようがない。

  • 選手としてチームに入り、失踪したスター選手を探し出せ?バスケットボールのチーム・オーナーの依頼にスポーツ・エージェントのマイロンは愕然とした。選手をやめてから十年たつというのに。が、当の選手は彼の昔のライヴァルだった。マイロンは調査を始めるが、やがて彼自身の過去を掘り起こすことに…トラブルも軽口でかわすマイロンの爽快な活躍。アメリカ探偵作家クラブ賞、アメリカ私立探偵作家クラブ賞受賞作。

    シリーズ第3作。無理矢理な現役復帰の裏に隠されていた真相にビックリ。

  • ラストが

  • 図書館で。マイロン・ボライターだったかな。確かに変わった名前。マイケル・ボルトンだっけ?いや、それは歌手の名前だったな、とか思い出すのにちょっと時間がかかりました。

    と言う訳で「え?今更ナンデ?」という主人公のチーム復活とその裏側のお話。個人的には一番悪いのは失踪したマイロンのライバルだと思うので、実行した彼に相棒が復讐するのはちょっと違うような気がする。
    なんだか色々と話が錯綜するのですが、俯瞰してみるとやっぱり一番悪いのは失踪したライバルだよな~ もともとの事件も彼が引き起こしたわけだし、返せない借金を作ったのもカレだし。うん。悪い奴だ。

    マイロンの軽口は読んでいる方もヘキエキするときがありますが、作中に「口の下痢」と書いてあってなるほど、とスゴイ納得がいきました。それじゃしょうがない。

  • 感動系・・・かと思ってた
    ら、ナニナニ?
    なんてことでしょ!
    チラッと掠めたけど
    面白かった

  • どうなるのだろう?みたいなワクワクで読み進めるというよりは、面白くて読んでいるといった感じだった。間違いなく面白かったのだか、いまいち興味が持てないというか、入り込めないというか、とにかくハマらなかった。
    読み終わってから気づいたのだが、どうも主人公のマイロン・ボライターが好きではないようだ。マイロン含め、主人公チームはみな成功者の匂いを漂わせているし。ウィンはサクッと人を殺してしまうし。どうにも距離を感じてしまった。
    楽しい本だったが主人公たちに興味が持てず、他のシリーズも読みたいとは思えなかった。ただ、本シリーズとは関係ない別の著作には興味がある。

  • スーパーヒーローの相棒がいて困った時に助けてくれる。都合の良い設定。本人は、不器用ながらじわじわと真相に迫って行く。

  • シリーズ3作読んだ中では一番いい!

  • マイロンがNBAなカムバック!?

    訳の分からない幕開けながらもあっという間にのめり込み
    ジェシカやウィン、エスペランサたちと同じ気持ちで
    マイロンを心配してハラハラしてしまう。

    そして形はどうあれウィンのマイロンへの友情・愛情は
    こうあるべきという結末に大満足です。

  • 犯人当ても、その後の展開も、予想通りだったが、、、

    びっくりして、思わず声を上げてしまった。

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