動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

  • 早川書房
4.11
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本棚登録 : 3423
感想 : 250
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200878

作品紹介・あらすじ

動物たちは飲んだくれの農場主を追い出し理想的な共和国を築こうとするが……。全体主義やスターリン主義への痛烈な批判を寓話的に描いた作品

感想・レビュー・書評

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  • スターリン批判、権力構造批判、風刺文学、寓話形式…
    と評される作品である

    また、スターリン批判がモロバレとのことで、当時のイギリスで出版がなかなか出来なかった経緯があとがきにある
    そういった時代背景をよく知ると、さらに理解が深まる


    注)ネタバレ有

    農場で家畜として飼われていた動物達が、人間の支配から脱却するために農場主を追い出し、全ての動物は平等だ!と…民主主義のような動物主義の始まり
    みんな奴隷解放だぁと大喜び
    全ては自分たちのものなのだ
    平等で平和を目指すのだ
    はじまりは、児童書や絵本のような明るい未来示唆するような展開
    事前に内容を知らなかったら、そのまま幸せな展開が続くのかと思わせる

    実際、始めは勝利に酔い、平和で楽しい日々が続く
    「七戒」という動物主義主義の原理を7つの戒律に定め、変更不能な法とし、法と秩序のようなものが生まれる
    動物の中で優れた知識を持つブタたちが指導者的地位につくのが自然の流れとなる
    しかしブタたちは労働的な仕事は一切しない

    徐々に、いつも食糧が足りず、過酷な労働が待ち受ける日々となる
    動物達は不満を抱きながらも、それでも人間から解放された喜びの大きさを考えれば、やはり今のが幸せだし、前の生活なんか戻りたくない!
    と思うのであった

    気づくと、ブタたちが動物農場を当たり前のように仕切るようになる
    他の動物たちがまともに字が読めないのを良いことに、戒律も解釈も自分達の都合の良いよう、自分達を守るよう少しずつ変えている
    さらにブタの中で独裁者が生まれる
    他の動物たちは何か違和感を感じたり、おかしい気がするものの、根本を探ろうとしない
    一生懸命働けば良いことがあると信じたり、少し声をあげても強く言いくるめられると、何故か納得してしまう
    狡賢いブタ達は、他の動物達を徐々に洗脳していく

    社会主義のはずが独裁主義に変わり果ててしまう

    結局本書は最後まで解決方法は生まれない
    こここそが重要なポイントだ

    独裁者が現れた時、何も発言をしなかったり、何か術を見つけず目を瞑ったら、簡単な操られる
    簡単に洗脳される
    ブタ以外の動物たちは、まさに我々なのだ
    だから、一人一人が考えろ…と
    そう、この答えを与えない終わり方
    考えろ
    考えないとこうなるのだ
    声を上げろ
    上げない世界を知りたまえ

    社会主義から始まる独裁者を生み出しやすい思想の危うさと、声をあげない民主主義のリスクが浮き彫りになっている

    どうしたら良いかなんて、誰かが答えを出してくれることじゃないのだ
    決して押し付けがましくないやり方で我々に訴えかけてくる
    そして答えもない
    非常に効果的な作品であり、各自が考えるための読みやすい良書である
    素晴らしい

    ただただ、読むべし!

    • ハイジさん
      nejidonさん
      こんにちは(^ ^)

      ご心配をおかけしてすみません^^;
      暫く多忙な日が続くので、読書時間が取れません…(T ^ T)...
      nejidonさん
      こんにちは(^ ^)

      ご心配をおかけしてすみません^^;
      暫く多忙な日が続くので、読書時間が取れません…(T ^ T)
      時間を見つけて皆さんのレビューを読んで、活字飢えを凌ごうと思っております!

      にっぽんの…シリーズ
      面白いですねぇ
      皆さんの食い付きぶりも納得です
      現地に出向かずとも日本中の食が楽しめる時代になったとはいえ、まだまだ知らない食材が沢山あります
      にっぽんの食は奥深いですよね〜(笑)
      2021/04/01
    • しずくさん
      随分前に、小川洋子さんが パナソニックメロディアスライブラリー ラジオ番組で取り上げていて興味深く聴きました。
      良書のようですね!
      随分前に、小川洋子さんが パナソニックメロディアスライブラリー ラジオ番組で取り上げていて興味深く聴きました。
      良書のようですね!
      2021/04/07
    • ハイジさん
      コメントありがとうございます!
      そうでしたか小川さんが…

      はい
      答えの無いテーマで非常に考えさせられます
      機会があればぜひ読んでみて下さい...
      コメントありがとうございます!
      そうでしたか小川さんが…

      はい
      答えの無いテーマで非常に考えさせられます
      機会があればぜひ読んでみて下さい!
      2021/04/07
  • 人間の支配から逃れた家畜たちが、理想の国『動物農場』を設立する話。この小説は、スターリン政権の社会主義を風刺したものとされている。このような背後にあるものを深くとらえながら読むのもひとつだが、寓話としても十分楽しめる作品ではないだろうか。とはいいつつ、個人的には、「こんな作品があったな」と本棚の一角を眺めるぐらいの過去の書物になるような気がする。

  • ロシア革命後のスターリン体制をモデルに、寓話形式で権力構造を痛烈に批判した小説。

    物語の舞台はとある農場。農場主ジョーンズの横暴な仕打ちに耐えかねて彼を追い出した動物たちは、平等な社会を目指し「動物農場」を設立する。しかし中心となった豚のナポレオン、スクウィーラーたちは次々と特権を手にするようになり、次第に当初の理想からかけ離れた社会となっていく…。

    子どもたちに読み聞かせるような、やさしい言葉遣いで書かれているだけに、動物農場が徐々に変貌していく様子がより恐ろしく感じる。
    特に、平等な社会を目指して最初に取り決めた「七戒」が、知らない間に豚たちの都合の良いように追記修正され、皆が気付いた時には元の文や理念が跡形もなくなっているくだりは、憲法の解釈論議や検察庁法改正問題にもつながるようで、背筋が凍った。

    読み終えてから、動物たちはいったいどこで間違ってしまったのだろう、と振り返ったのだが、結局、中心となる3匹の豚たちが反逆のため夜な夜な秘密会議を開く最初まで戻ってしまう。少数の人間(動物)に権力が集中する構造、自分たちはわからないから、とすべてを任せてしてしまう体質などが、恐ろしい結果を招くことになったといえる。

    これは、社会主義だけの問題ではない。現代の日本社会だって、暴君ナポレオンや、自分たちの都合のいいように話を作りかえるスクウィーラー、大きな声で皆の頭に浮かんだ疑問をかき消してしまう羊たちのような存在はたくさんいる。動物農場の行く末を繰り返さないために、我々は知らなければいけないし、わからないからと誰かに丸投げしてはいけない。

    けれど、そもそも「誰もが平等な社会」とは何なのだろう。
    個人の知力、体力は違うし、得意分野も異なる。そんなばらばらな者たちが集まり、皆が納得して幸せに暮らしていける社会とはどのような社会なのか。
    自分では考えつかない難しいことを次々と提案する豚たちの言うことを信じ、豊かな老後生活を夢見ながら文字通り馬車馬のように働いたにもかかわらず、悲惨な最後を遂げた馬のボクサーはどうするべきだったのか。
    人間は権力を手にすると自己規制ができなくなってしまうのか。そうすると、どういった社会的規制が必要なのか。
    社会の構造について、あまりにも自分が疑問に思っていなかったことに愕然とする。

    遠い世界ではなく、我が社会のこととして読むべき物語である。

    • たなか・まさん
      大学の英語の授業のテキストだった。大学行かなくなって単位落としたから具体的ストーリーはいまだに分からない。もう一コマの英語はキャサリン・アン...
      大学の英語の授業のテキストだった。大学行かなくなって単位落としたから具体的ストーリーはいまだに分からない。もう一コマの英語はキャサリン・アン・ポーターだった。どちらも、ちゃんと読んでおけば良かったなと今は思います。
      2022/11/10
  •  スターリン政権下、微妙な外交関係に政府検閲・出版拒否を受けやっと1945年に刊行されたジャーナリズムに、既視感。 変わってないこの国も。
     日本で刊行されたのは1949年。
    粛清が表立っているか隠されているか判断できるのは歴史事後。 たいてい渦中は呑み込まれたままである。
     ファシズム、行き過ぎたナショナリズムにおいて「も」民というものは簡単にマインドコントロールされる様は物語においてはコミカルにすら感じられる。けれど、これは大真面目な社会風刺であって笑い事じゃない。
     理想や約束はすげ替えられ、有耶無耶にされる様にも我が国事として既視感。与党長年の一党独裁は腐敗しきっている。
     友達すら救えない様は、権力に弱い人間そのままである。

    難しい単語もないし、本文は短いので原文で読めるかも? 英語版PDF free
    https://www.globalgreyebooks.com/animal-farm-ebook.html

    • シャルたん@読書さん
      ディズニーの「ペット」に出てくるスノーボールって可愛かったけれど初めはレジスタンスリーダーだった。オマージュ?偶然?
      ディズニーの「ペット」に出てくるスノーボールって可愛かったけれど初めはレジスタンスリーダーだった。オマージュ?偶然?
      2024/02/16
  • 本書はイギリス人作家・ジョージ・オーウェルの古典的名作で、1945年に発表された時は、当時のスターリン政権下のソビエトを揶揄したものとして世界中で物議を醸した作品です。

    僕が大学生だった頃、英語の先生からこの本を原書で読めと言われていたのですが、当時は逃げ回っていました(笑)。ふと、本書の新訳が出ていることを知ったので、一念発起して読んでみることにしました。もちろん日本語版ですけどねw。

    いや~、ひさしぶりに背筋のぞっとする文学を読ませてもらいました。

    この本は、農場で人間に搾取されている豚や牛、鶏、羊たちなど様々な動物たちが、人間達に対して革命を起こし、人間達を追放、動物たちだけで運営する「楽園」を作る物語です。

    最初、動物たちは人間を農場から追放し、自由を謳歌していましたが、農場の運営を通じて、動物たちの中でも格差が生じてきます。
    知能の高い豚たちが「人間達の支配を二度と実現させない」という建前をもとに農場内のルールを作り「全ての動物たちの為」というスローガンを掲げるのですが、実は自分たちの都合の良い様にルールを少しずつ変えていき、他の動物を徐々に支配していきます。

    他の動物たちは、豚のやり方を「ちょっと、おかしいな」と感じつつも、豚から「それでは、人間の支配する農場にまた戻した方がよいのか!」と恫喝されると、何も言えなくなってしまいます。
    さらには、豚に意見しようとした動物を豚たちは「人間達のスパイ」だと言って処刑していきます。

    そして最後には、豚たちは洋服を着て、二本足で歩き出し、かつての人間と同じように他の動物を完全に支配するというお話です。

    この物語で本当に恐ろしいところは、悪意を持った存在が、正義の旗を掲げ「大義のためだ」と言って、他の者達の意見を暴力で押さえ付けていく過程です。
    この過程は当時のスターリンによる独裁社会の成立過程をそのままなぞっているのですが、僕たちの現代世界でも十分にあり得るストーリー。

    この本の最大の教訓は、「無知な民衆であるべからず」ということ。

    この本に登場する豚以外のほとんどの動物たちは皆、「豚たちのやり方はおかしい」と思いながらも声を上げません。そして、「頭の良い豚の言うことだから間違いないだろう」と豚のやり方に盲従してしまいます。

    この図式は、スターリン政権下のソビエトに限らず、ナチス政権下のドイツでも、今の北朝鮮でもどんな社会でも当てはめることができると思います。

    やはり、どんな社会でも民衆は政府のやり方をしっかりと監視し、本当にそれが正しいことなのかということを常にチェックする必要があるのです。

    ただ、一番重要なことは、『何が正しいのか?何が正しくないのか?』を判断するのが僕たち民衆だということです。
    正しい判断をするためには、僕たち一人一人が常に、知識を蓄え、人々と意見を交換し、善悪を判断する能力を磨いていく必要があるのです。
    これを怠れば、すぐに為政者たちは、自分たちの都合の良いように社会を変えていってしまうでしょう。

    本書は、薄い単行本ですぐに読み切れる量ですし、動物を主人公にした寓話なので誰にでも簡単に理解することができます。
    特に今の高校生、大学生には読んで欲しい本ですね。

    僕も大学生だった頃に先生に言われたとおりこの本を読んでいれば、もう少し勉学に身が入ったのかもしれません(笑)。
    でも今からでも遅くはないと思うので、豚に支配される愚かな動物にならない為にも、僕も日々勉強を怠らないよう努力しますね。

  • これは読めば読むほど奥深い作品かな。

    動物たちを主人公にしているだけあって、読みやすく物語に入っていけるのがなんとも良かった。

    自分は読みながら、現代の、ある国を思い浮かべたけれど、読み手によってそれぞれ思う対象は違うかもしれない。
    例えば政治の世界、会社、もっと縮小された人間関係など…。
    そう考えると読めば読むほど以前は気づかなかったことに気づいたりと奥深さを感じる作品なのではないかと思った。

    そしてこちらのサイトでなければ出会えなかった、手にすることもなかった作品。出会いに感謝です。

    • kazzu008さん
      くるたんさん、こんにちは。
      深く考えさせられるレビューありがとうございます。

      確かにこの話は国を対象とするだけじゃなく、会社や個人の...
      くるたんさん、こんにちは。
      深く考えさせられるレビューありがとうございます。

      確かにこの話は国を対象とするだけじゃなく、会社や個人の人間関係でも当てはまる話ですね。自分もこの本に登場する他の動物のように安易に流されていることが多いのじゃないかと思い当たる次第です。

      この本はなかなかヘビーな内容ですし、レビューを書くのもちょっと難しいですが、こういう本についてもこうやって意見を交わすことができるのがブクログの良いところですね!
      2019/07/02
    • くるたんさん
      kazzu008さん♪

      こんにちは♪素敵な作品のご紹介、そしてコメント、ありがとうございます♪
      ほんと、コンパクトなストーリーなのに、ギュ...
      kazzu008さん♪

      こんにちは♪素敵な作品のご紹介、そしてコメント、ありがとうございます♪
      ほんと、コンパクトなストーリーなのに、ギュッと濃い、そんな感じです。
      たしかにゾクっともきますね。

      何も声をあげない、それこそが上に立つ者にとっては一番美味しいもの、そして肥やしになってしまうのが伝わってきますね。

      オーウェル作品は初でした!そして現代にでさえ通じる物語っていうところが素晴らしくもあります♪

      またこれからもご紹介お願いいたします♪
      ありがとうございました(*≧∀≦*)
      2019/07/02
  • なるほど。

    なぜ本書が世界中で読み続けているのか、読めば納得でした。

    スターリン体制を動物達に置き替えて皮肉ったと言われる本作。

    一部の指導者と呼ばれるいわゆる権力者に集中する富、そして搾取される側の多くの市民。

    決してハッピーエンドで終わらない本作からは学ぶべきことが確かにある。


    説明
    内容紹介
    飲んだくれの農場主ジョーンズを追い出した動物たちは、すべての動物は平等という理想を実現した「動物農場」を設立した。守るべき戒律を定め、動物主義の実践に励んだ。農場は共和国となり、知力に優れたブタが大統領に選ばれたが、指導者であるブタは手に入れた特権を徐々に拡大していき……。権力構造に対する痛烈な批判を寓話形式で描いた風刺文学の名作。『一九八四年』と並ぶ、オーウェルもう一つの代表作、新訳版
    内容(「BOOK」データベースより)
    飲んだくれの農場主ジョーンズを追い出した動物たちは、すべての動物は平等という理想を実現した「動物農場」を設立した。守るべき戒律を定め、動物主義の実践に励んだ。農場は共和国となり、知力に優れたブタが大統領に選ばれたが、指導者であるブタは手に入れた特権を徐々に拡大していき…。権力構造に対する痛烈な批判を寓話形式で描いた風刺文学の名作。『一九八四年』と並ぶ。オーウェルもう一つの代表作、新訳版。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    オーウェル,ジョージ
    1903年、英国領インドのベンガルに生まれる。文学のみならず、二十世紀の思想、政治に多大なる影響を与えた小説家。名門パブリック・スクールであるイートン校で学び、その後、数年間ビルマの警察に勤務。やがて職を辞し帰国すると、数年間の放浪を経て、作家となった。主な著作に長篇小説『一九八四年』(ハヤカワ文庫)やスペイン内戦に参加した体験を綴ったルポルタージュ『カタロニア讃歌』などがある。1950年没

  • この本が書かれたのは1943年頃。色々あって出版されたのは1945年。
    70年以上前に書かれたものとはとても思えない現代性、普遍性がある。さすがオーウェル。後の傑作「1984年」に通じる全体主義的社会への批判。「1984年」は自然主義的小説だったのに対しこちらは寓話あるいは御伽噺の形を取っており、ジャンルは違えどこの二つは兄弟のように良く似ている。
    特にスクウィーラーの演説における嘘の統計報告、過去の改竄や繰り返される七戒の修正などは、「1984年」の真理省の仕事を彷彿とさせた。

    本編だけでも十分に完成された作品だけど、付属している二つの序文案も素晴らしい。
    作品が書かれた当時の背景には、イギリスにはソ連批判が許されない空気があったというのは新鮮な驚きがあった。
    本編ではスターリニズムひいては社会主義国の体制に対する批判・風刺を、序文案では言論の自由の重要性をそれぞれ訴えている。どちらもシンプルながら力強い名文だった。

    最後に収録されている訳者あとがきで、そのどちらにも共通して見られるのは、体制や権力者に対する大衆の無批判・無知蒙昧な姿勢の危険性である、とあった。なるほどけだしその通り。本編におけるブタ以外の動物達の姿勢がまさにそれである。

    現代でもそのメッセージの重要性がまるで失われていない。「1984年」とともに読み継がれられるべき名作。

  • ◯寓話によって、共産主義を批判しているのだな、というところは読めばすぐに分かる。なぜ名作なのかが、よく分からないと思い、いろいろ考えてみた。ちなみにこの翻訳版は大変読みやすい。
    ◯この本では、オーウェルが記載した序文案が巻末に掲載されている。これを読むと、この本と執筆時のオーウェルの政治思想的な立ち位置が見えてくる。
    ◯もともと、ジョージ・オーウェルがどういった思想の持ち主なのか、不勉強のまま「1984年」及び「動物農場」を読んでいたので、保守小説家による共産主義批判かな、と思っていた。しかし、実際は全く違っていて驚いた。オーウェルはイギリスに住む共産主義思想の持ち主であり、その上で、ソ連の共産主義を批判して書いたということだった。
    ◯しかも、この本が、イギリス本国における発行に際して難航を極めたという。この点も大変興味深い。
    ◯ソ連の共産主義に批判的であるということは、理想とする共産主義のイメージがあったと考えられる。共産主義を達成?したソ連を外から見るから客観的ではあるが、そこには共産主義政権ではない母国にいるため憧れを抱く。それと理想が交錯することで、意図せずに権力構造に対する批判という一般性を持ったと考えられる。
    ◯この本全てを読み尽くして、ようやく名作であると確信した。

  • 最初からなんか皮肉っぽいな〜なんて思いながら読んでたら共産主義を批判することをテーマにした小説だった。動物達で話を進められると読みものとして面白く読めるけど実際こういったことが起きていたんだと思うとなんともいえない気持ちになる。
    共産主義がどうとか全く興味ない人でも読みやすいし面白いからおすすめ。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョージ・オーウェルの作品

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