時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)

  • 早川書房
3.74
  • (135)
  • (204)
  • (188)
  • (31)
  • (12)
本棚登録 : 3014
感想 : 227
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200526

作品紹介・あらすじ

近未来の高度管理社会。15歳の少年アレックスは、平凡で機械的な毎日にうんざりしていた。そこで彼が見つけた唯一の気晴らしは超暴力。仲間とともに夜の街をさまよい、盗み、破壊、暴行、殺人をけたたましく笑いながら繰りかえす。だがやがて、国家の手が少年に迫る-スタンリー・キューブリック監督映画原作にして、英国の二十世紀文学を代表するベスト・クラシック。幻の最終章を付加した完全版。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 近未来の高度管理社会を舞台にしたディストピア小説。スタンリー・キューブリック監督が映画化して一躍有名になった作品である。

    主人公のアレックスは兇悪な非行少年で、喧嘩にドラッグに窃盗にレイプと悪行三昧の日々を送っていた。ある日とうとう殺人を犯してしまった彼は、刑務所に入れられるが更生の兆しは全く見えない。政府はアレックスに〈教化法〉の適用を決定する。アレックスは強力な洗脳により、暴力的な物事に対し拒絶反応を示す体質に変えられてしまう。「善良な市民」に生まれ変わったアレックスは社会復帰するが、待ち受けていたのは悲惨な体験ばかり――という物語だ。

    この読みにくい、胸の悪くなるような物語がなぜ「《タイム》誌が選ぶ20世紀のベスト・ノベルの1冊」なのか。第1章では全然わからなくて何度も挫折しかけたけれど、第2章と第3章を読んで少し理解できたような気がする。それは作者が「人間らしさとは何か」をひたすら問い続けているからではないだろうか。人間らしさの条件として作者が挙げるのは「自由意志」と「選択能力」だ。アレックスの洗脳に反対する刑務所付きの教誨師は語る。

    「善というものは、心の中からくるものなんだよ。善というものは、選ばれるべきものなんだ。人が、選ぶことができなくなった時、その人は人であることをやめたのだ」

    「神は、善良であることを望んでおられるのか、それとも善良であることの選択を望んでおられるのか?」

    「彼にはまったく選択権がないではありませんか?(略)彼は非行をやめるでしょう。と同時にまた、道徳的選択力を持つ人間でもなくなるでしょう」

    思考停止しているために決して道を踏み外すことのない人と、自由意志によって時に過ちを犯してしまう人とでは、どちらが人間らしいだろう。作者の答えは紛れもなく後者だ。人は自由意志によって善と悪とを選択できなくてはならない。どちらか一方しか選べない人間は、国家権力やイデオロギーによっていいように操られる機械(=時計じかけのオレンジ)にされてしまう、と作者は警鐘を鳴らす。

    一切の暴力を禁じられたアレックスは、暴力をふるわれても自衛のための反撃すらできない。性行為はもちろん、大好きだった音楽に対しても拒絶反応を示すようになってしまい、人生に絶望して窓から身を投げる。そして…、この先には2つの結末がある。詳述は避けるが、映画版と小説の完全版ではラストが異なり、そのために作品全体の印象も180度違うものとなっている。物語としてどちらが完成度が高いのかは分からない。ただ、言祝ぐべきことがひとつある。どちらのラストを好むにせよ、私達はそれを自由意志で選択していいということだ。

    • 佐藤史緒さん
      あらまあ何という偶然でしょう!
      自由選択の結果が偶然にも一致する、これがご縁というものかもしれませんね。このビズムニー(気の狂った)みたい...
      あらまあ何という偶然でしょう!
      自由選択の結果が偶然にも一致する、これがご縁というものかもしれませんね。このビズムニー(気の狂った)みたいな世界でささやかなご縁ができた事を嬉しく思います。これからも宜しくお願いします(^-^)
      2017/04/26
    • 深川夏眠さん
      シンクロニシティの一種でしょうか(違うかw)? 縁は異なもの味なもの。私は本日、アレックス少年の影響でお砂糖入りの甘い紅茶……というか牛乳で...
      シンクロニシティの一種でしょうか(違うかw)? 縁は異なもの味なもの。私は本日、アレックス少年の影響でお砂糖入りの甘い紅茶……というか牛乳で煮出したチャイを満喫しました(笑)
      2017/04/26
    • 佐藤史緒さん
      わあ羨ましい、私もチャイは大好きなんです。スパイスの香りが好きなんですよね〜。夕食後のデザートにしてみようかしらん。てか、夕食そろそろ作らな...
      わあ羨ましい、私もチャイは大好きなんです。スパイスの香りが好きなんですよね〜。夕食後のデザートにしてみようかしらん。てか、夕食そろそろ作らないとマズい(汗
      では主婦して来ます〜
      2017/04/26
  • デヴィッド・ボウイが影響を受けた100冊のなかにも名前が挙がっていた本書。
    映画を観てみたいけれど、暴力描写が苦手な私は最後まで観ることができるだろうか…ということで、まずは原作を読んでみることに。

    主人公のアレックスと仲間たちによる、暴力に次ぐ暴力。
    政府による犯罪者の残虐性を抑えるための新しい"教化法"。
    文字では読めるけれど、映像になったら私は怖くて観ていられないだろう…。

    物語はアレックスの一人称で進みます。
    若者たちのあいだで使われるスラングが散りばめられた独特の喋り方に、はじめは戸惑いました。
    しかし苦戦しながらも読み進めていくうちに、いつしか気にならなくなり、むしろこの喋り方のおかげで物語にのめりこんでいたように思います。
    読んでいるあいだ、自分がしかめっ面になっているのがわかるのに、抗いがたい魅力がありました。

    物語中盤で、刑務所の教誨師がアレックスにかける言葉が印象的でした。
    「善というものは、選ばれるべきものなんだ。人が、選ぶことができなくなった時、その人は人であることをやめたのだ」
    「神は、善良であることを望んでおられるのか、それとも善良であることの選択を望んでおられるのか?」
    『時計じかけのオレンジ』というタイトルの意味を噛みしめながら読了。
    きっといつかまた、読み返すだろうな。

  • 再読だったけど凄い衝撃だ…
    こんなに暴力描写が多かったとは
    でもそれは必要なことなんだ
    最終章は余計だっていう評論があるようだけど、この話は最終章のための長く暗くどうしょうもない人間の前置きのような気がした。

    めちゃくちゃいい本だけど
    やっぱり前置きがキツすぎるので
    もうしばらくは読めないかもしれない。

    なんと言っても若者のスラングが印象的。
    15歳の少年アレックスの一人称で物語は進む。

    幼稚な語りと残虐な行動のアンバランスさが
    体の中に引っ掻き傷のような不協和音を残す文章。

    …………………

    人間っていうのはもうどうしようもない
    こんな愚かなことを何度も何度も
    この少年がやっと大人になったと思ったら
    また別の少年が暴れ出す

    大人がどれだけ諭そうとも
    子供にはその言葉が伝わらない
    だってまだ大人になった事がないから
    親になった事がないから

    どれだけ文明が進歩しようとも
    この繰り返しだけは終わらない
    この世が終わるまで

    それでも進む
    一歩一歩の進歩の毎日
    人間がくだらなくてしょうもないものだと
    頭の片隅に覚えておいて
    少しでも昨日の自分よりいいものに
    そうしないとやり切れない
    生まれてきた自分の意味が

    【人間なんて、十六から二十三までの年がなきゃあいいんだ。でなきゃあ、その年のあいだは眠ってりゃあいいんだ。
    その年頃の若いもんは、することと言やぁ
    娘っ子に赤ん坊を産ませたり
    年寄りを虐めたり
    盗みを働いたり
    喧嘩したりするくらいのものなんだからな

    ウィリアム・シェイクスピア】

  • ある信念を埋め込むことで善人にしようとするけど、選択できない人間はもはや人間ではないって牧師の言葉が良かった。最後、若者が急に夢から覚める過程がリアル。なにが時計仕掛けのオレンジなのかは読んだ人にしかわからない仕掛けか。最終章がない版とある版があるらしいけど、ある版でよかったな!

  • エキセントリックな中身は、時代というか少し古くささを感じた。
    映画も観たことはないけど、外国ものは、突拍子がない展開においていかれそうになります。でも、退屈ではなかった。有名?作品読了の満足感なのかな。

    ロシアなまりだったり、汚いことばの言い回しは嫌いじゃなかった。

  • スタンリー・キューブリックによる映画版が有名な本作ですが、私自身も「あの」映画の原作がどのような内容か、という観点から興味を持ちました。まず、物語の半ばまでのあらすじを述べます。

    近未来の荒んだ英国。十五歳のアレックスは三人の不良仲間とともに、殺人、暴行、強姦、盗難、破壊と、夜な夜なあらゆる悪逆非道な行為を、良心の呵責なく心の底から楽しんでいる。両親はごく普通の勤め人で、一度は補導された息子の夜間外出にも、アルバイトだというアレックスの嘘の言葉を信じて疑わない。ある日、仲間との不和のあと強盗に押し入ったアレックスは、仲間に裏切られて逮捕され、裁判では懲役を宣告される。さらにアレックスは、刑務所内で起きた事件を機に、十年以上ある刑期の残余を、実験的な試みである『教化法』に転換することを受け入れる。

    以降は主に映画版との違いについてです。まず、ストーリーと設定については原作と映画に大きな違いがないこと自体に驚きました。映画化作品のイメージから、あれだけユニークな内容であれば原作との乖離も大きいのではないかと予想していたのですが、映画版は原作に忠実に作られていました。ただし、原作と映画には二点の大きな違いが認められました。一つ目は、映画版では成人男性であるアレックスが本来は十五歳に設定されていることです。この点は、アレックスの悪行があまりに酷く、年齢が低いことで観客に受け入れられ難くなることを回避するため、原作よりもマイルドにするための変更のようです。つまり、それだけ原作のほうが非道さが際立っているということになります。もう一つの大きな違いは、映画では描かれなかった、17ページ分の最終章です。これは映画版が意図して外したというより、参照したアメリカ向けの小説に含まれていなかったことに起因するようです。詳細には触れませんが、追加の最終章において十五歳の少年は「大人」になります。その意味では、二つの差異はともに主人公の年齢に関係しているものとも言えます。

    冒頭にあるようなアレックスの非道について、彼が家庭的に不幸ならば行動の動機として理解もできるのですが、両親があくまで普通であることからアレックスの異常性は作中の情報だけでは説明がつきません。映画版では主人公が成人であったためか、気にならなかったこの点が、読んでいて最後まで飲み込めませんでした。その意味でも、やはり映画版での年齢変更は重要なポイントだったのかもしれません。総じて(もちろん個人的な感想ですが)、もし映画と原作の一方だけを鑑賞するとすれば、やはりキューブリックの映画版を推薦します。なお、巻末に収められている映画評論家の柳下毅一郎氏の解説が参考になりました。

    • 魚雷屋の読書録さん
      30数年前ですが、映画観ました。キューブリック特集ということで「2001年宇宙の旅」と二本立てでした、
      30数年前ですが、映画観ました。キューブリック特集ということで「2001年宇宙の旅」と二本立てでした、
      2020/11/08
    • ikawa.ariseさん
      魚雷屋の読書録さま
      コメントをありがとうございます。豪華な二本立てでご覧になったのですね。わたしはどちらの映画もレンタルして自宅で観た限り...
      魚雷屋の読書録さま
      コメントをありがとうございます。豪華な二本立てでご覧になったのですね。わたしはどちらの映画もレンタルして自宅で観た限りです。
      2020/11/08
  • 近未来、15才のアレックスは夜な夜な悪友のディム、ジョージー、ピートと一緒に悪行を働いている。コロバ・ミルクバーでドラッグ入りのミルクを飲み、偶然路上で出くわした老人の本を取り上げて破り身ぐるみはいで暴行、敵対するビリーボーイのグループを見かければ乱闘、さらに郊外の一軒家に押し入り、作家夫婦の妻を輪姦、作家がタイプしていた作品『時計じかけのオレンジ』は破り捨てる。

    感化院帰りのアレックスを両親はもてあましており、感化矯正後相談員デルトイドの前では嘘をつき、自室で大好きなベートーヴェンを聞く気ままな日々。しかしアレックスの独裁が面白くない仲間たちがジョージーをリーダーに立てようとし、アレックスは彼らを暴力で黙らせる。そしてその晩、またしても郊外の一軒家で猫と暮らす老婆を襲うが、仲間に裏切られたアレックスは警察に逮捕されてしまい…。

    映画のほうがあまりにも有名なので原作を読んだことがなかったのだけど、自宅待機で時間が出来たので部屋を片付けていたら映画のDVDが出てきて、せっかくだから今回は観る前に原作を読むことに。ちなみに原作の発表は1962年、キューブリックの映画化が1971年。

    映画よりもアレックスは俄然若い。そして語り手である彼が日常的に使う若者特有のナッドサットという言葉、スラングにロシア語がまざったような独特の単語が随所に出てくるので、とにかく文体がちゃらんぽらん。これは翻訳者の苦労がしのばれる…。

    それにしてもアレックスの無軌道ぶりときたら。敵対グループと乱闘くらいは勝手にすればいいが(むしろ乱暴されそうになっていた女の子を間接的に助けているし)老人を襲撃暴行、路上のみならず、穏やかに暮らしている民家に押し入って乱暴三昧なのだから被害者はたまったものではない。残念ながら、初めて映画を観た頃と違い、私も彼の行動に眉をひそめる一方の大人になってしまった。

    さて逮捕されてしまったアレックスは被害者の猫老婆が亡くなったことで14年の実刑をくらう。刑務所内では教誨師にとりいりレコード係になったりしてるが性根は変わらず、同室の新入り犯罪者をまたしても殴り殺してしまう。ついにアレックスは、まだ実験段階の「ルドビコ法」といわれる犯罪者治療の心理療法の被験者になることに。これは患者に暴力映像を見せ続けながら薬物を投与して気分を悪くし、暴力=気持ち悪いという刷り込みをおこなう方法。

    辛い治療の末、アレックスはすっかり暴力に対して無抵抗な人間に変えられてしまった。しかし出所したアレックスを待ち受けていたのは過酷な、しかしある意味コントのような現実。両親はアレックスのいない間に下宿人を置いていてアレックスの居場所は家になく、さまよい、行き場なく図書館に行くと、かつて彼が本を破り捨てた老人に復讐され、そこに現れた警察官はなんと自分を裏切ったディムと敵のビリーボーイ。2人はアレックスをボコボコにする。

    かつて自分がふるった暴力を今度はその身に浴びる側になってしまったアレックスはボロボロになり偶然近くの家に助けを求めるが、出てきたのはかつてアレックスが妻を強姦した作家。妻はレイプのショックで亡くなっており、作家は反政府運動に入れ込んでいる。当時は仮面をしていたためアレックスが憎い犯人であると気づかない作家(彼の名もアレックス)は親切に介抱してくれた上で、非人間的なルドビコ法で洗脳されたアレックスを利用し現政府を叩く材料にしようとする。

    だが、作家はいつしか、アレックスがあの時の犯人であったことに気づく。そしてアレックスが暴力だけでなく、洗脳の際流れていた大好きなベートーヴェンの音楽にまで恐怖を刷り込まれていることを知った作家は、復讐+政治利用のため大音量でアレックスに音楽を聞かせ、彼を自殺に追い込もうとし…。

    映画では、飛び降りたのち奇跡の生還を果たしたアレックスの洗脳が解け「なおった」ところで終わる。原作には実はその後にもう一章あり(アメリカで出版された版にその最終章は収録されていないため映画もそうなっているようだ)洗脳が解け再び暴力に快楽を見出せるようになった18才のアレックスが、しかし、かつての仲間のピートが結婚して幸せそうにしているのを目にし、自分もそろそろ結婚でもしようかなとすっかり「丸くなった」ところで終わる。

    この最終章には賛否あるようだけれど、個人的にはあるほうが面白いと感じた。ルドビコ法で矯正されたアレックスは条件反射で暴力に吐き気を催すが、それは彼自身の意識改革の結果ではないので性根は変わっていない、あくまで表面的な善だ。もちろん凶悪な犯罪者の被害者になりたくない善良な市民および犯罪者の収容場所、彼らを養うのも大変な政府側としてはそれで十分だし、もちろん小説の中でもそうであるように、それを非人道的だ、人権を踏みにじっていると反対する人々もいるだろう。

    だがそんな論争も、葛藤も、アレックス自身は少し年齢を重ねただけで暴力に飽き「あれは若気のいたりだった」と自らそれを放棄する。なんとも、やりきれないような、バカバカしいような、それでいて清々しいような。洗脳が効果を発揮している間のアレックスはとても哀れな様子だが、読者としては可哀想と思う気持ちと同時に自業自得と思う気持ちがあり、正直複雑だ。それは洗脳が解けたときも同じで、あーあ元の木阿弥、という気持ちと、良かったねアレックス、という気持ちのアンビバレンツ。

    だからこそ最終章で、そういうのを全部帳消しにするかのように「いろいろあったけど自力で成長しました!」というバカバカしさがそれはそれで良い気もする。

    最後に、アメリカで最終章まで収録された完全版が出版されたときの作者自身による序文の言葉を、解説より抜粋します。

    「人は自由意志によって善と悪を選べなければならない。もし善だけしか、あるいは悪だけしか為せないのであれば、その人は時計じかけのオレンジでしかない――つまり、色もよく汁気もたっぷりの果物に見えるのが、実際には神か悪魔か(あるいはますますその両者に取って代わりつつある)全体主義政府にネジをまかれるぜんまいじかけのおもちゃでしかないのだ」

  • キューブリックの映画『時計じかけのオレンジ』は好き好き大好きだが
    原作を読む機会を逸していた。
    今般、ふと思い立って古典的ディストピア文学の傑作と呼ばれる
    本作《完全版》を購入(2015年13刷)。
    昨2016年秋のアメリカ大統領選後から、
    その手の小説のリバイバルブームが起きていると聞くが、
    読んでみると、なるほど、これは……。

    舞台は近未来の英国。
    アレックス少年はドラッグと暴力に明け暮れていたが、
    押し入った家の住人を死に至らしめてしまい、
    仲間に裏切られて一人だけ逮捕され、投獄される。
    二年後、政府肝煎りの犯罪者更生療法の実験台にされ、
    条件付けによって、
    大好きだったクラシック音楽も、暴力や猥褻な行為も、
    見聞きしただけで吐き気を催すようになってしまう――。

    映画の方がテンポがよく圧倒的に面白くて好きだ【※】が、
    正しい結末なのか、はたまた蛇足なのか、
    首を傾げざるを得ない《完全版》最終章にも
    物寂しい妙味があって、これはこれでいいのではないか、
    という気がした。

    管理‐反発‐無軌道‐暴力
         ↑
         ↓
    自由‐秩序‐良心‐平和

    ……そりゃあ、後者がいいに決まってるでしょ。

    【※】
     アレックスの愛唱歌「雨に歌えば」がヒントになって
     妻を死に追いやられた作家が悶絶するといった、
     伏線を活かした演出など。

  • 20世紀の名作に選ばれてる本という事で読みましたが、時代や国の違いは感じるけど今の日本の若者にも通ずることだなぁと思った。最後の部分が切り取られてる物もあるらしいが、最後の章があるのは作者の優しさというか、自己満小説では無い所が読み続けられる秘訣なのかなと思った。何事も経験してみないとわからない事ばかりで、過ぎ去ればなんであんな事…と思う事もあるなぁと、若気の至りを思い出した。

  • 超暴力を振るう青年。
    彼は暴力を振るうことに何も感じない。
    人間誰しも、暴力に対する嫌悪感、否定感を持っているとして、治療が行われる。
    圧倒的な残虐な映像を見せるなどすることで、頭に連想力を植え付ける。悪と善があるならば、悪の方に徹底的に押しやれば、振り子のように善に傾くとする理論。

全227件中 1 - 10件を表示

アントニイ・バージェスの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
村上 春樹
村上 春樹
ウラジーミル ナ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×