特別料理 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
3.40
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本棚登録 : 351
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150719562

感想・レビュー・書評

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  • エラリィ・クイ-ンが絶賛し、ミステリの名作となった表題作をはじめ、10篇が収録されたスタンリイ・エリン(1916-1986)の短編集。 風変りが売りのレストラン<スビロ-ズ>とは?・・・献立メニュ-、塩・胡椒など調味料の備付なし。飲物は冷水だけ。客は同じ献立料理を黙して食べる。女性客が食す料理はない。 <特別料理>の内容は?・・・調理場の準備が整ったときにだけ提供されるメニュ-であり、アフガニスタンとロシアの境の高原にいる「アミルスタン羊」の肉だというオーナ-の弁。例えれば「人間が自分の魂の中を覗き込むことできるような味わい」とか・・・さてさて、血も滴る芳醇なお肉の味をご賞味あれ!

  • 奇妙な味の10篇の短編集。綾辻行人作品でエリンの特別料理をオマージュにしているものがあり、読んでみたいと思っていました。やはり表題作が至高。じわじわと不穏な空気を匂わせて、あえてラストまで描かず、それでも十分に結末を予測できるような書き方が上手いと思った。
    他は「アプルビー氏の乱れなき世界」の皮肉な結末も好き。
    翻訳がちょっと読みづらい部分もあったけど、奇妙な味のフルコース、堪能しました。

  • 異色作家短編集/スタンリイ・エリン/隠れ家レストランで、滅多にでないアルミスタン羊の話。

  • 結末を明記せずに想像させる書き方こそ“奇妙な味”の醍醐味だなと思う。
    有名すぎる表題作はその最たるもの。
    予測がつかないストーリー展開を楽しみながらも、最終的には何とも言えない読後感を味わうことになる。
    どの短篇を読んでも、不安と恐れが合わさったような気持ちにさせられてしまう。

  • ハヤカワ文庫補完計画のフェアで購入。エラリイ・クイーンが序文を寄せている。
    短編のオチは全て説明するのではなく、匂わせる程度に留められているものが多い(表題作など)。それでもなかなか切れ味が鋭く、ニヤリとさせられる。
    この中でどれか選ぶなら、やっぱり『特別料理』かな。ネタは割合にすぐ割れてしまうのだが、ネタが割れても面白いものは面白い、という好例。

  • 巨匠・エラリイ・クイーン自身による巻頭の序文を読んで大いに期待に胸を膨らませたのが、本書での興奮と満足のピーク。それ以降は、クイーン自身も絶賛した第1作「特別料理」を含め、収載全10編がまあことごとく面白くない。と云うか「読み辛い」。これはおそらく著者自身の文章の特徴でもあるのだろう。翻訳もさぞや難しかったんだろうとは思う。しかし読みにくいったらありゃしないのだ。一冊読み始めたら絶対に途中で止めないタチのぼくにとっては、10編全てを読み終えるのには大変な自制と努力が必要だった。我ながら珍しい読書体験。
    唯一、8編めの「パーティーの夜」だけは、何とか辛うじて面白かった、かな。
    もう決して再読はしない。

  • 2024.2.5 読了。
    スタンリイ・エレンの描く10篇の短篇集。

    正確には☆3.5という気持ち。
    ポットキャストで表題作「特別料理」がミステリー小説として紹介されていて興味を持ち読んだ。
    「これはミステリー小説です!」と断定してしまうには色々な要素が含まれていてミステリーなんだけど書店で他の分類のコーナーの書棚に置かれていても、そういう捉え方もありですね!と思いたくなる一冊だった。
    ミステリーの中に人の心理やそこからくる行動描写が巧み。
    ある程度まで主人公がどんな立場であるか全く分からないまま物語が進んでいき、脇役や会話などからシュチュエーションを想像しながら読んでいく短篇もあり、読者の想像力にお任せするがキーワードが見事できちんとどういう人間関係にありどういう人物で何をしているのか、ということはしっかり伝わってくる。文章はクラシカルな雰囲気だった。
    どの作品も余韻を残し具合が良かったが、好みが別れそうなミステリーを書く作家だなと感じた。
    (まだ彼の作品は一冊目ですが。)

  • 2024年最初の一冊はスタンリイ・エリンの短篇集。
    表題作はもはや古典といえるような作品となっているようで、確かに色々と後世の作品に影響を与えていそうだなと思わせる物語でした。それ以外も一癖ある作品ばかり。基本的にしっぺ返しを食うような作品が多い印象ですが、どこか教訓めいた印象を受けたりもします。個人的に、「決断の時」は巧いことオチをつけたなぁと感心。

  • 古典の部類だと思いますが、初めて読みました。
    クラシックだけど、切れ味が鋭く、そしてハッピーエンドゼロ…こんなことも初めて。
    悲しい気持ちになりながら、ぐっと引き込まれてしまいました。

  • サスペンス映画を見たあとのような余韻。はっきりわからないところが怖い。気になる、あと1ページ!と思うところで終わる。

    注文の多い料理店を思わせる「特別料理」、芝居がかったセリフがあとをひく「パーティーの夜」が好み。

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