エデュケーション: 大学は私の人生を変えた (ハヤカワ文庫NF NF 593)
- 早川書房 (2023年2月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150505936
作品紹介・あらすじ
狂信的モルモン教徒の両親により学校に通うのを禁じられた少女タラ。ケンブリッジ大学で博士号を得るまでの壮絶な半生を自ら綴る
感想・レビュー・書評
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分厚い本を、早く救いがもたらされないかと、そればかり願って読んでいた。
少女タラは、父の権威と兄の暴力から逃げる知恵を持っていなかった。
政府や医者を敵と見做し、ただ、危険な肉体労働に従事し、そこで起きるショッキングな出来事に耐えるしかなかった。
彼女が「学校」という場を思い出した?いや、見つけた?ことこそ、転機であった。
けれど、知ることは解決ではなかった。
タラは、家族にとって敵となっていく。
親の信条は、きっとどこまでも子を蝕むのだろう。
おかしいと思っていても、何度も故郷に帰るタラが、正直不思議でならない。
命の危険より、その家族を大切に思えることが。
彼女は能力があったから、外へ出られた。
けれど、きっとその影には、多くの「脱出不可」な子ども達がいる。
そうした子どもを救うには、どんな方法があるのだろうと、立ち止まる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後の一文、「私はこれを教育と呼ぶ」の前の数文が、たいへん印象的で良かったです。
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「教育(Educated)」という言葉の重さが残りました。
宗教、家族の独特の考え、無戸籍、代替医療、暴力、度重なる事故、精神的な不安定さ。
その先で出会う「教育」。
言葉にするには時間がかかりそうですが、出会えてよかったです。 -
いろいろな人が激賞している女性の半生の物語。教育を受けられる環境を作っていくということが社会にとって非常に重要であると改めて感じた。あえて言うと少し長い。hk
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極端な思想に取りつかれた両親のもとで育った女性が、幾人かの理解・助けを得ながら自分で教育を手に入れ、自立していくまで。
これがノンフィクションとは。衝撃が大きすぎた。
同時に、教育、知識を身に着けることの大切さ、人間を作り上げていくために如何に大きな役割を果たすかを痛感した。
学びの大きな大きな本。 -
おもろいけど虐待描写エグすぎて読書スピードガタ落ちだった
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タラはHome Schooling …というか、まともに学校に通ったことも学んだこともない。が、教育を受けることで、現在ハーバード大学にて研究員をしている。そんなタラの人生の物語。
教育は人を変えるが、教育によって彼女が幸せになったのかわからない。
確実にいてはいけないところから抜け出すことはできたが、家族とは理解し合えない宗教を信じてしまったかのように、わかりあうことはできなくなる。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/788419 -
にわかに実話とは信じられなかった。
ついこないだの話。なんなら年下、
それもあの世界のアメリカで生まれて⁉︎
出生届も出されることなく幼少期を山奥で過ごし、両親からは周囲とはかなり逸脱した生活、思想を埋め込まれる。当然学校にも病院にも行ったことがない。
父親の危険な仕事を手伝いながら、死がよぎる程暴力をふるう兄、それを見てみぬふりをする母。これが自然と思って育った彼女は、やがてひとつひとつ氷を溶かすように、怯えながらも家族以外の世界を受け入れていく。
度々起こる暴力的なシーンは読むのも辛かったけど、知りたい学びたい、自分でありたい、人の強い気持ちは、それすら黙らせることのできるほどの力もあるんだなぁと。彼女がとびきり頭がいいのもあるけど。思った。