アルゴリズム思考術:問題解決の最強ツール (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (491ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150505387

作品紹介・あらすじ

「超」整理法もこれだった! ビジネスから日常生活まで、私たちがぶつかる問題を最適化して処理する秘訣は、IT科学に学べる。〈数理を愉しむ〉シリーズ

感想・レビュー・書評

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  • エンジニアの考え方は人生のあらゆる選択肢において活用できる。統計学の面白さが分かる。

  • コンピューターのプログラミングにおいて、なるべく少ない計算量で目的の結果にたどり着くプロセスを組み立てるというアルゴリズムの考え方が、我々の日常生活やビジネスの判断においても役に立つ知見を与えてくれるということが、この本を読んでよく分かった。

    最適停止問題、検索、ソート、タスクのスケジューリングなど、プログラムの実行だけでなく我々の日常生活においても直面することの多いいろいろな事例を提示しながら、最適なアルゴリズムは何かということを、説明してくれる。

    個々のアルゴリズムの内容も非常に興味深かったが、本書ではアルゴリズムの考え方が持っている、現実的な方法で課題を処理するという視点にも触れられており、その点が非常に印象深かった。

    例えば線形回帰分析において、変数の値を増やしていけばいくほどデータへの適合度は上がる。しかし、それはあくまで手元のデータに対する適合度であり、統計的推論の分野ではオーバーフィッティングと呼ばれている状態が徐々に生じてくる。オーバーフィッティングを避けるためには、複雑さ(例えば推計式の変数の数)に対してペナルティを与えるような評価方式をとることで、複雑さと適合度の間のバランスを取ることが必要である。

    この他にも、ネットワーク上のデータ伝送において確実性と遅延の間のバランスをどうとるか(遅れるよりやらない方がまし)、メモリーに保存されるデータ量と処理のスピード(忘れることにも意味がある)といったことが、本書を読むとわかる。

    また、全ての可能性をしらみつぶしに調べることが難しい場合には、プロセスにある程度のランダム性を含めることで、最適な答えにたどり着く可能性を高めることができ、完璧ではないまでも十分に適切な答えにたどり着くことができる。

    このような発想は、コンピューターの限られた計算能力の中で答えを導き出したりシステムを動かしたりしていくために考えられた、アルゴリズムの知恵と言えるものである。このようなアルゴリズムの考え方を知ることで、問題の解き方だけではなく、問題への向き合い方についても新しい視野を持つことができる。

    数学的な内容を通じて柔らかい発想や多面的な視点を与えてくれる、面白い本だった。

  • 人は探索と実行を行っており、若い時は新しいことを探索することを躊躇わないが、歳をとるとこれまで探索してきた経験や残りの時間を考えて、今までで1番良かったことをもう一度実行するようになるらしい。

    引越し直後は新しい店を探索して入ることに躊躇しないがが、次の引越しをする直前は新しい店を探して入るよりは、今まで食べて美味しかった店にもう一度行こうとするのと同じことだと書いてて納得。

    • 2039991番目の読書家さん
      キャッシュの話。
      サイズと速度は等価交換である。例えば図書館の大きさが大きくなれば、本を探す速度は遅くなる。クローゼット等も同じ。
      整理整頓...
      キャッシュの話。
      サイズと速度は等価交換である。例えば図書館の大きさが大きくなれば、本を探す速度は遅くなる。クローゼット等も同じ。
      整理整頓できていれば、早くすることもできる。
      最速は最長未使用法を使うべき。
      使ったものを近くに置いておくことが、整理できていないように見えるが、効率は良いらしい。

      また、人間の記憶に関しても、忘れるのはサイズと速度を守るためなのではないかと言われている。無限に溜め込むことができる知識では、サイズが大きくなりすぎて必要な言葉を選ぶ時間がかかりすぎてしまうようになる。
      また、老いていくごとに言葉が出づらくなるのは記憶の量が増えて知識を選ぶ時間がかかっtいるから。早い人は整理整頓が上手いからと解釈する。
      2024/03/25
  • 数理最適化やアルゴリズム本をいくつか読んできた中での位置付けとしては、数式をあまり用いず広く浅くアルゴリズムの話題を扱った本という印象。
    最適停止問題と37%ルール、探索、ソート、キャッシュ、スケジューリング、ベイズの法則、オーバーフィッティング、緩和法、ランダム性、ネットワーキング、ゲーム理論。キャッシュのところでハンガーラックは結婚生活にも役立つというのは面白かった。スケジューリングからマルチタスク、マルチスレッド、スラッシングへの話の展開など興味深かった。ベイズの法則、アーラン分布。オーバーフィッティングと正則化での対応は機械学習・深層学習の文脈ではよく登場するので馴染み深かった。ラグランジュ緩和法。ネットワーキングのALOHAネットからの指数バックオフや加法的増加・乗法的減少の話が知れて良かった。

  • 本書の副題をつけるとするなら、「その問題、アルゴリズムが既に解決しております」になるだろう。

    目の前の問題の抽象度を上げることで既にアルゴリズム化されており、しかも既存サービスのあの機能を使えば解決できる、というところまで考察できるかがカギとなる。
    これは社会学や哲学、あるいは自分が何の認知バイアスにハマっているか?といった場合と同じで簡単なことではない。

    本書が自分にとって重要だったポイントは、B to Bプラットフォームを運営している自分だからこそ、本書の「あなたのその課題はこのアルゴリズム(サイトのこの機能)がお役に立てる」と解説する立ち位置は真似たいと思えたこと。発信すべきコンテンツの柱を見つけられた。

  • ・部屋探しの最適停止は、かける時間の37%は基準作りに時間をかけ(決して契約しない)、その後、基準をこえる部屋が現れたら契約する。これは、「証明」されている。

    ・その他、目次を見たら面白そう。英書ならではのうわすべった言い回しはあるけど。

  • ●読むこと

    読書をしてきた人なら知っている岐路に私も到達した。この世で与えられた時間に限りがあるなかで、新しい本をもっと読むべきか、あるいはあのむなしい消費 ーむなしいというのは終わりがないからだー をやめて、かつて最も強烈な楽しみを与えてくれた本を読み返すべきか。

    リディア・デイヴィス


    ●最適停止

    秘書問題
    37パーセントルール

    37パーセント以降は、それまでに面接したどの応募者よりも優秀な人材が現れたところですかさず跳ぶべきなのだ。

    応募者からランダムに一人を選ぶとすると、100人なら1%、100万人なら0.1%

    秘書問題では確率が変わらない。最適な時点で「見る」のをやめれば、100人の応募者から最適な人材を選び出せる確率は37%、100万人の場合もかわらない。

    最良の人材を見つけられない可能性のほうが高いのは確かだが、膨大な選択肢を前にしたときには、その数がどれほど多くても、最適停止が最良の防御策となる。

  • まだ読み始めなんですが、単純に訳文が読みにくくないですか?内容が入ってこない。

    原版を買って辞書を適宜引いて読んだ方がよほど良かったなと既に後悔。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/765432

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著者プロフィール

ブライアン・クリスチャン(Brian Christian)
ブラウン大学でコンピュータサイエンスと哲学の二重学位を、ワシントン大学で詩の美術学修士を取得。文学作品と科学ジャーナリズム作品を執筆している。

「2014年 『文庫 機械より人間らしくなれるか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ブライアン・クリスチャンの作品

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