かたち――自然が創り出す美しいパターン1 (ハヤカワ文庫 NF 461 自然が創り出す美しいパターン 1)
- 早川書房 (2016年4月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150504618
作品紹介・あらすじ
豹やシマウマ、熱帯魚の柄はなぜ決まる? 細菌や結晶、動植物から銀河のかたちまで、万物の形状の謎に迫る話題作。解説/近藤滋
感想・レビュー・書評
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なぜ対称性の破れから自発的なパターンがうまれるか、ここを手がかりに、物理的・数学的・化学的な世界でみられるパターン発生の現象をみていく。
それによって、微生物にあらわれる結晶のような構造や、シマウマやキリンの模様、蜂の巣や、胚の発生におこっているようにみえる対称性の破れとパターンの生成を説明できるのではないかと探る。
生物にみられるそういう構造を、ダーウィニズムに任せて、自然がそれを選んだなんて「適応」で説明してしまって満足するのではなく、そうあるべき物理的、力学的理由があるはずだ、としたダーシー・トムソンという人の指摘と構想に添いながら、それを現代科学でわかってるものによって更新するような構成。
最終的には、実際にそうなのかはわからないけども、よく説明できる、というモデルまでは辿り着いているようだ。かなり納得がいくし、めちゃくちゃ面白い。
BZ反応なんかは、ネットで調べると動画が出てくる。これはまさに生命を感じてしまう化学反応。
勾配、反復、そんなものが本質的なんだ。
驚くべきは、アラン・チューリング。ダグラス・ホフスタッターだろうがロジャー・ペンローズだろうが、アルゴリズムと知性の差について考えるには、チューリングを必ず引用することになるが、まさかこんなところでまでチューリングが出てくるとは。チューリング波、知りませんでした。
ナボコフが出てきたのにも驚いた。このあたりは著者の読ませ上手なところか。
とにかくまぁ面白かった。3部作のひとつめということで、残り2冊に取り組む。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自然界に現れる模様や構造の生まれるしくみと、同じしくみが意外な、別々の現象の要因となっていたりすることが書かれている。かなり広範に扱われているので、視野が広がるかも。
おしむらくは、ところどころ、何を主張したいのかわからない歯切れの悪さがあることか。最終章では、研究結果による断定ができないからと、あいまいな言い方ばかりでてきて、少し読むのが辛かった。 -
あ
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タイトルにある通り、遺伝子を超えたところに生命の形を生み出す力があることを示す話。ダーウィンの考えていた淘汰だけでは今の生物群は起こらなかったということがわかる。
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サイエンス本、といってしまうには深すぎる一冊。
タイトル通り「かたち」そしてさまざまなパターンについて語られている。
ダーウィンの説に沿いながらも、
そこに奥深い考察と知識が折り重ねて解説する。
読み出したら止まらない。
印象に残ったのはp310、マルサスの『人口の原理(人口論)』とダーウィンの説とのつながり。p397のヘッケルの優生学についての解説。
生き物たちのかたち、生き物の模様(パターン)と物理の関係、
これは続編も買わないといけないな。