隠れていた宇宙 上 (ハヤカワ文庫 NF)

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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503895

作品紹介・あらすじ

先端理論のあるところに多宇宙あり!? グリーン節全開の平易な科学解説、待望の文庫化

感想・レビュー・書評

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  • 年末年始に読む本は、出来るだけ仕事から遠そうな本にしたいと思う。

    という観点から、年末年始には自然科学系の本をよく読みます。とくに、日常から遠いという観点からは、宇宙論とか、量子力学とか、「何世紀も分からなかった◯◯予測がついに証明された」みたいな数学ものとか、読みます。
    (複雑系とか、ネットワーク理論とか、生命システム論とかも、好きでよく読むのだけど、やはり、これは、仕事に使えそう、とか考えてしまうので、年末年始にはあまり読みません。)

    というわけで、超ひも理論のブライアン・グリーンの「隠されていた宇宙」上下2冊を2日間で一気読み。

    物理学のさまざまな理論、相対性理論、インフレーション理論、量子力学、超ひも理論、情報理論などを突き詰めて考えていくと、結果として、宇宙は複数(というか、無限個)あると考えないと、つじつまがあわなくなる、ということになっている、という話し。

    たしかに、最近、多宇宙(ユニバース⇒マルチバース)の本はかなりでている。が、さまざまなマルチバース論をまとめて、一つ一つの背景にある理論からどうして多宇宙になるのかを、ここまで親切に比較検討した本は、なかったと思う。

    グリーンの本は分かりやすいことで定評があるので、マルチバースの入門書として、おすすめです。
    とくに専門知識を必要としない、一般の読者を対象とした本ですが、マルチバースの話しが中心なので、ベースとなる相対性理論、量子力学、超ひも理論の入門書は、1〜2冊読んだあとのほうがいいかもしれません?

    思えば,グリーンの「エレガントな宇宙」を6〜7年前に読んだのが、私が、自然科学系のポピュラーサイエンスにハマったキッカケだったな〜〜〜。「エレガントな宇宙」を読んだときには、「多宇宙論」への展開の可能性について言及はあるものの、そこのところは控えめで、超ひも理論から、いかにして実験で検証可能な予測をつくるか、ということを重視する堅実な科学者という印象だった。

    が、グリーンさんも「エレガントな宇宙」を書いてから10年以上たって、かなり「実証可能性」は後退して、多宇宙派、なんでもあり派になった感じです。

    この宇宙にいる私たちにとって、他の宇宙があるかどうか、は分かるわけないと思う訳だけど、実証出来るか、どうかは別にして、これだけ物理学のさまざまな理論が多宇宙を暗示しているなら、それでいいんじゃない?という気分ですね。

    かぎりなく大きい宇宙があって、その宇宙は一つではなく、無数に、つぎからつぎに生まれ続けている。

    と考えると、日常のいろいろな悩みは、相対的にどうでもよくなりません?

  • 最新の宇宙理論を理解するには抽象的な言語を理解することが必要で、そのためには専門的な教育を受けていなければならず・・・簡単にその研究成果のおいしいところを掬って満足するということがどれだけおこがましいことかはわかる。でも知りたい、ということで本書を手に取った。完璧には理解できていないが、半分くらいはわかる。

    これから読もうとしている、非専門の方のための参考に。
    半分くらいわかるようになった私の、宇宙(あるいはそれにまつわるもの)に関する本の読書経験。
    相対性理論の解説本6冊。量子力学の解説本3冊。本書と同じ著者による『エレガントな宇宙』。重力に関する本1冊。非ユークリッド幾何学に関する本2冊。トポロジーに関する本2冊。非線形科学および複雑系に関する本2冊。

    もちろん、天文マニアではありません。夜空を見上げて、「あー今日は星がきれいだな」とか「あのやけに赤く輝いてる星は何だろう」と思う程度の空好き。

  • 全体的に難易度は高く、ある程度は基礎となる知識がないと話についていけないだろう。その中にあって、パッチワーク多宇宙論はまるで強弁のようだけど、言われてみればありえなくもない話であることにびっくり。

  • 『私たちが今も、これから先もおそらくずっと、行くことも、見ることも、検証することも、支配することもできない一連の並行宇宙(中略)これは科学なのだろうか?』

    科学者でなくとも、この世に100%なんてものは存在しないと理解している人は多い。
    しかし、そんな人でも日常生活で落とした物をした時に、量子世界の狭間に落ちたかもしれないなんてことは考えもしない。
    では、その僅かな可能性であり、検証すらできない0.0000001%以下の世界を想像して仮説を構築することに、なんの意味があるのだろうか?

    無限の遠くにある無限遠宇宙、次々と宇宙が誕生するインフレーション多宇宙、高次元に並列的に存在するブレーン多宇宙、ブレーンワールドが衝突と離散を繰り返し、空間でなく時間のなかで並行するサイクリック多宇宙。おびただしい数の形と大きさを備えた余剰の空間次元にもとづくランドスケープ多宇宙。

    本書で語られる並行世界論は、どのバージョンにおいても自然界で実現することを立証した実験も観測もない。
    そのせいか、ビッグバン、相対性理論、宇宙背景放射、ひも理論、量子ゆらぎなど、それほど難しい単語は出て来ないのに、読み進めるほどにわからなくなっていく。
    そんなわからなさがピークに達する上巻の最後で、冒頭の問題提起がなされる。
    並行宇宙論とは、わからないものを増やしつつけるだけの不毛な追求なのだろうか。下巻に続く。

  • 多宇宙に繋がる説の総浚い。
    自分には少し難しかった。
    数式抜きでここまで解説してくれるのは貴重。

  • ひも理論の話がメイン。難しい。

  • 非常に難解な最新の宇宙論をほとんど数式なしにわかりやすいたとえ話とともに説明してくれる。なんとなく概念はつかめて分かった気になれる。

    上巻は様々な宇宙モデルの紹介とひも理論について。

    とはいえやはり本格的に理解するには数式を追う必要がありそうだし、宇宙論で使われる数学は勉強してみたいと思った。

  • 我々の住むこの宇宙はただ一つの宇宙─ユニバース─では
    なく、他にいくつもある多くの宇宙の中の一つに過ぎない。
    その「多宇宙(=平行宇宙=マルチバース)」について様々
    な考え方、理論を詳しく紹介する本。この上巻ではパッチ
    ワークキルト多宇宙・インフレーション多宇宙・ブレーン
    多宇宙・サイクリック多宇宙・ランドスケープ多宇宙に
    ついて扱っている。どの理論もどこかで一度は目にしたこと
    のある理論だったので復習しているように読み進めることが
    出来た。ただし、それほど簡単な内容ではないので注意。
    読み進めることはできるがかなり頭を酷使した感じ。まぁ
    久しぶりの宇宙論の本だったというのもあるだろうけど。
    下巻に続きます。

  • 宇宙論の本を固め読みしたおかげで、超弦理論、膜理論、カラビヤウ空間、11次元時空間などの専門用語はだいぶ耳慣れてきたが、この本にはぶっ飛んだ。いろいろな種類!の並行宇宙を論じている。空想科学小説の世界とばかり思っていたが、真面目な科学の世界になっていたのか。脳みそが一瞬で時空間を飛び越えた。

  • 古典力学から相対性理論、量子力学、超弦理論までを、身近な喩えを交えながらその基礎を分かり易く解説している。中でも図4.3は、それらの関係性と思考の発展段階を示しており、理解の助けになる。ただ、喩えがくどい部分もあり、読むのは意外と時間がかかった。
    また本書は上巻であり、内容としては基礎、入門レベルの内容である。下巻では多宇宙、多世界、実在性、科学的探究の限界など、興味深い内容となっている。

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著者プロフィール

物理学者・超ひも理論研究者。コロンビア大学物理・数学教授。研究の第一線で活躍する一方、超ひも理論をはじめとする最先端の物理学を、ごく普通の言葉で語ることのできる数少ない物理学者の一人である。超ひも理論を解説した『エレガントな宇宙』は、各国で翻訳され、全世界で累計100万部を超えるベストセラーとなった。

「2016年 『文庫 宇宙を織りなすもの 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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