Uボート・コマンダー: 潜水艦戦を生きぬいた男 (ハヤカワ文庫 NF 181)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150501815

感想・レビュー・書評

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  • 映画 眼下の敵を観て、凄い!と感動した人には、是非とも読んでもらいたいノンフィクション作品。
    普通の人でも閉所恐怖症を疑似体験できるぐらい潜水艦の乗組員の人達のタフさが表現されている内容であっという間に読了できました。
    また、この作品の出来の良さを表しているのは、作者の自画自賛に陥るつまらない自伝ではなく、当時の自分の置かれていた環境を改めて調べ直して著述されている努力を垣間見るところにある。

  • 第二次大戦ドイツ海軍の潜水艦ユーボートの艦長だったクレーマー艦長の自伝。
    前回のユーボートもの、クレッチマー評伝、より断然読みやすく面白い。書き手の問題か。出版社の差か。

    「生命保険」とニックネームを持つ艦長の経験が語られている。
    実際の戦いの描写と敵側英国海軍の該当記録からの視点をだしてきて裏付けをしている。最前線だけをやって無くて海軍司令の閣僚としての経験があり広い視点からの意見も当事者として説得力がある。ヒトラー自死後のドイツ総責任者を担ったドイツ海軍総督デーニッツの警備隊長として終戦まぎわを過ごす描写もある。

    戦記小説として一級品だ。それにしても前回紹介した本とここまで違うのかと驚いた。作者、おそらく代筆だろうが、ここまで筆力に差があるのかと。

  • あるUボート艦長の手記。
    視野が広く、かつ本人の体験と明確に結び付けられてUボートの戦いが描かれていて、かなり良質な戦記ものという印象

  • Uボート艦長エーリッヒ・ペーター・(アリ)・クレーマーの自伝。過酷な戦いを生き残った数少ない艦長の目を通してUボートの準備不足のまま迎えた開戦当初、短い夏。そして英米の対抗策により、狩る側から狩られる側に至る過程が淡々とつづられている。意外だったのは著者がエレクトロUボートことXXI型に着任した際に半年以上も完熟訓練が行われていた事である(そしてU2519はそのまま損傷し、実戦に出ることなく終わる)クレーマー少佐は「海軍対戦車部隊」へ。そう、この人は陸戦をも経験し、最後は警備大隊指揮官として戦争を終えているのである!

  • 戦後まで生き延びた唯一のUボート艦長ペーター・クレーマーが著したドキュメンタリー。戦記ものはあまり好きではないが、8月と海つながりで読む。戦争の状況を連合軍の資料ともつき合わせて淡々と描いている。艦長の心持や乗り組員の心情などはあまり突っ込んでは描かれてはいないのですが、潜水艦内のディーゼル臭ただよう空気、駆逐艦との衝突や、折れる潜望鏡、際限なく続く雷撃、浮上できない恐怖など、想像するだに身の毛もよだつシーン満載。現在のヒューマニズムを元に描かれる戦争ドラマと違って、当時のやっつけてやるぞという士気の高さや、敗戦間近になると、逆に生き残るための身の振り方を考えてゆく軍人の姿が描かれていてリアル。しかし、よく生き延びたのもだ。奇跡。

    巻末には1961年当時の全Uボートの沈没地点のリストもあります。アメリカ近海で91年に発見された謎のUボートU-869もリストにありますが、ジブラルタル沖で撃沈との誤った記載のままです。ロバート・カーソン著「シャドウ・ダイバー」と合わせて読むと興味深い。

  • 著者のクレーマー氏は駆逐艦『テオドール・リーデル』の砲術長として開戦を迎え、1941年にU333艦長に着任。以来どんな状況に陥っても必ず艦と部下を生還させる艦長として「不死身のクレーマー」、「生命保険」との異名をとったUボートエースの一人です。
    部下を統率する艦長としての視点のみならず、司令部幕僚としての視点、さらには敵である連合国側の資料をも駆使して詳細かつ広範に記述がなされており、ノンフィクションとしてだけでなく、文学としても十分楽しめる傑作だと思います。個人的には、デーニッツ提督に対して少々好意的すぎるかな、ということですが、気になるほどのものではないと思いました。お勧めの一冊です。

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