- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150413378
作品紹介・あらすじ
おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。事の始まりはぼくの慢性不眠症だ。ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて巨大な騒乱計画へと驀進する-人が生きることの病いを高らかに哄笑し、アメリカ中を熱狂させた二十世紀最強のカルト・ロマンス。
感想・レビュー・書評
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ファイトクラブと結婚は似ている
久しぶりに読むの苦しくて、解説を途中で読んでしまった。そして解説で触れてるテーマと、それ以外の部分なのかなにかの隠喩なのかわからない部分なのか判断する読み方になってしまった。
話は予想していた通りの話で、テーマは解説で理解していた…ページ数も少ないが
長く感じた。
この長編の元になった短編版の方が読んでみたい。
解説を先に読んで後悔、読み終えたのにその説明以上のことを感じ取れてない気がしてる。
ファイトクラブと結婚は似ている。 -
介護施設で働いていると利用者の理不尽な暴力に曝されることがあり、自分も首を締められたことがある。肉体がわりと元気な方だったので苦しかったけども、そのときとても脳内はクリアだった。本書を読んでそのときの澄み渡った感覚は、自分の命が自由で期限のあるものであることを実感したからだと思った。
本作は慢性不眠症を患う主人公にタイラーという人物が「おれを力いっぱいに殴ってくれ」と頼むところから大きく動きだす。2人の殴り合いはやがてファイト・クラブという互助グループとなり、規模を大きくし全米を揺るがす騒乱計画となっていく。
主人公は周囲がそうするように学校を卒業し、就職してメディアの勧める品を消費するようないわば普通の人。そんな主人公は物語が進むに連れて死という逃れられないものに向き合っていき、ファイト・クラブによってそれまで手にしていた普通を捨てていくことになる。この過程が自分の経験した命の危機にも通じるものがあるなと感じた。それと同時に、正解のない人生をいかに生きるのかという哲学的な問いに気付かされた。自分は本書からこの問へのアンサーとして、どんな生き方をしても自分は自分でしかないのだからもっと自分の力を信じて好きに生きてみたら?というメッセージがあるように感じた。 -
おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。
事の始まりは、ぼくの慢性不眠症だ。
ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。
ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。
タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて巨大な騒乱計画へと驀進する――
人が生きることの病いを高らかに哄笑し、アメリカ中を熱狂させた二十世紀最強のカルト・ロマンス。デヴィッド・フィンチャー監督×ブラッド・ピット&エドワード・ノートン主演の映画化以後、創作の原点をパラニューク自らが明かした衝撃の著者あとがきと、アメリカ文学研究者・都甲幸治氏の解説を新規収録。
デヴィッド・フィンチャー監督作品とストーリーはほぼ同じだけど、ブランド品で心の隙間を埋め広告に踊らされるブランド志向や生きている実感を得にくい社会や男性の生き方のロールモデルがない彷徨える男性の迷走へのシニカルでユーモラスな風刺が散りばめられた原作のユーモラスな面白みが良い。
「ファイトクラブ」の着想のきっかけが、ホスピスでのボランティアだったり、様々な細部の元ネタなどが判るあとがきも必読。 -
この本。最初から最後まで面白かったかと言えば、そうではなくて、どちらかといえば、後半から急速に面白くなってきたという具合でした。
そのため、おそらく読む人を選ぶ作品であるだろうし、駄作と見られても仕方がない表現も一部あり、それらのデメリットを乗り越えた名作、という表現がこの作品について書ける、ネタバレなしの書評かな、と思います。
実はこの作品、出会ったきっかけはMr.Childrenの『ファイトクラブ』という曲から始まり、実際にその映画があったことから映画を見て、原作を読んだ、という経緯を踏んでいます。
大まかなあらすじと結末は、映画で既に知っているので、だからこそ、改めて読み切ることができたかもしれません。
主人公の「ぼく」と、「ジョン・タイラー」。
制度の中に生きる自分と、自由に生きる「タイラー」。
タイトルである、「ファイトクラブ」はどのようにしてできて、そしてどのような結末を迎えるのか。
世紀末の退廃感、主人公の不安を、ぐるぐる感じながら、刺激的な表現にちょっとクラっとしてしまいました。
後半で明かされる、びっくり仰天な事実から加速する物語の面白さをぜひ。 -
私の人生はどこに向かっても、この本はバイブルとしたい。
ファイトクラブの映画のレビューで「かっけえ、これは男の映画だ」というレビューが割と多く、とても残念に思っていた。映像にするとタイラーが格好良すぎて、過激なシーンの本質がお洒落さに変わってしまうんだなあと、メッセージ性があるストーリーなだけに、残念に感じていた。でもそれは監督であるデヴィット・フィンチャーの力量が、あまりにも凄まじいが故の事象だとも思う。
小説だとカルピスの原液くらい濃く、何を言いたいかが切実に鋭利に伝わってきて良い。
原作者のチャック・パラニュークが何を思って書いたのか、詩的な文や直接的な皮肉が混じった言葉で、独特の世界観を通して視えるのが面白い。
この小説を読んだから、私はなにかしら人生を変えようとは思わないけど、自己崩壊を投影させて、現実の自分を見直すのにはいいのかなって思う。 -
賛否両論ある1冊。
映画のままが好きなら映画だけをおすすめしたい。
ファイトするというところと、狂人的な主人公だけが同じ。
あとは違うんだけれど、少しシュルレアリスムっぽい狂人さというか、文章も遊んでる(?)、世界観表現の為にちょっと気持ち悪くなるくらい精神的に病んでいるのを強調しているので立て続けは苦しかったかもしれない。
個人的に原作が映画と違うのに拒絶反応が無い為、これはこれで面白かったです。 -
僕たちはみんな、口に銃を突っ込まれてる状態で生きてるのと同じだ。