春にして君を離れ (ハヤカワ文庫 NV 38)

  • 早川書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150400385

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりのアガサ・クリスティ。表題が詩みたい。素敵。原題は"Absent in the Spring"。
    やはり途中、外国人のカタカナの名前が分からなくなった。同じ人物でも愛称とか別の呼び方もあるし。
    主人公ジョーンは問題ありな自己中妻・母。でも誰もがそういう一面を持っているのでは?良かれと思ってやっていたことが、家族に無理を強いていて苦痛を与えていたり。
    帰路途中の砂漠で一人になってあれこれと考える。これまでの自分の言動や周りの様子に気付き、省みたところまでは良かった。しかし「やはり気のせいだったのかも」と納得して開き直ってしまうのは残念。砂漠で考えたことを家族に伝えてほしかった。

    ジョーンの立場で、こんなにも深く書けるアガサ・クリスティ。見事だと思った。
    一週間で書き上げる。一語も修正せず、そのまま出版したとのこと。

  • クリスティーのミステリではない作品は初めて読みました。でも、ジョーンが回想から真実に気づいていくところは、さすがミステリ作家、という感じです。
    真実は時に残酷ですね。知らない方が幸せか、苦しいほど後悔することになっても、真実を知った方が幸せか。知らずにいて欲しいと思うのは、本当に優しさでしょうか。誰が間違っていたのか、裏切っていたのは誰なのか。赦しを乞うべきは誰でしょうか?
    ジョーンだけが悪いとは思いません。

  • メアリ・ウェストマコット名で出版された小説。
    自分がひとりぼっちであることに気がつかず、幸せに生きている、と思い込んでいるのは幸せなのか否か。
    ジョーンみたいな人って、結構いるんじゃないかしら。もしかして、自分も? そう思うと、怖い。

  • ジョーンは本当に可哀想な人だなあと思いました。自分の小さな物差しの中に無理矢理周りを当て嵌めようとして、周りに自分の物差しを合わせることができないから、物差しをはみ出たものは、"あり得ない"こと、"下等な"こと、"現実的じゃない"こと、としか思えないのだなあ、なんて残念な人なのだろうと思いました。
     しかし、ジョーンだけがそうなのではなく、人間誰しもが程度の差こそあれ、そういう自己本位な所があり、ジョーンはその度合いが強く、人の目に分かりやすいだけなのではないか、とも思いました。
     愛しているからなんでも赦されるというわけではないということが良く伝わりましたが、では、何が赦されるのかと言われれば答えられないのが、ちょっと悔しいです笑

  • 2019年12月21日に紹介されました!

  • プアリトルジョーン。
    人間、そう簡単には変われないものですね…。

  • これは非ミステリー作品です。
    そう6作あるそうでない作品の
    1つです。

    この作品はロマンス系ではなく
    子育てを終えた女性の回顧録
    でもあります。
    そう、完璧だ、と思っても
    穴ってあるものなんですよね。

    結局子供は最後には
    言うことを聞かなくなるのです。
    それを受け入れられるか否か…

    そして夫のそれは
    かなりさびしいものがありました。
    かなうことのないものですし…

  • 2009/2
    メアリー・ウェストコット名

  • 「結婚」について考えるときに、なんとなくこの小説のことを思い出してしまう。んだけど、本当によくできている。が、結局、死ぬまで続く孤独についても考えさせられる。

  • 何も事件は起こらないのに、ここまで読ませるなんてすごい。主人公の回想・心の動きを追って、読み手までも不安にさせます。のほほんと読める人はいないはず…。

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