ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.16
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本棚登録 : 554
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150314217

作品紹介・あらすじ

ガス惑星FBBで行われている宇宙船漁業。そこで女性同士のペアで異例の漁獲をあげるテラとダイ、ふたりの出逢いと活躍を描く!

感想・レビュー・書評

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  • めっちゃ評価が高かったので、期待して読んだ。やっぱり天冥の標の作者だけあって、SF部分のディテールがすごい。
    登場人物たちの動機や位置付けなんかも絶妙で、これから大きなスケールの物語に発展していきそうな勢いを感じる。
    ただ、この作者の恋愛感というか、人情の部分、なんか私とは違う感性なんだよなぁ。
    このストーリーが愛をベースに描かれてると思うので、そこがズレてるからどうしても最終的にはなんかしっくりこない。
    続刊を読むかは、もう少し時間を置いて咀嚼してからにしたい。

  • >──303年前に、汎銀河往来圏から惑星ファット・ビーチ・ボールへと移住した人々は、まだ生きていた。
    >残存総人口は30万4900名である。


    今からだいたい6500年後くらいの、銀河辺境のガスジャイアント(木星型惑星)軌道上で、漁をして暮らす社会が舞台のバディ物百合ハードSF。

    生活するための資源を惑星大気を泳ぐ魚(のようなもの)を捕ることで補わなければいけないという社会設定で人がどのように暮らしているかという考察は、SF読んでる〜って感じでもう、楽しくて仕方ないです。

    「礎柱船の燃料でありエンジンであり、電池であり電線であるほかに、翼と耐圧装甲になるという素敵な材料」全質量可換粘土で造られた船で、船の形を変幻自在に変えながら大気に潜って漁をする…楽しい…。

    で、広がりの少ない宇宙船で300年も暮らして、はじめ50万人いたのが30万人になってたり、24あった氏族が16に減ってたりしてたら、男女の役割ががっちり決められて船は男女の夫婦で動かすもの、氏族によっては女は三歩下がって影踏まずみたいなことになっていると。

    そういうところで、独創的すぎる創船で男にモテない巨女テラと、男側の役割である操縦士をやりたい超絶技巧パイロット家出娘ダイがバディになって、今まで誰もできなかったようなことをやってのけまくる爽快SFなわけです。

    核心のお話的には、ダイがじりじりとテラを落とそうとするラブコメでございます。お互い探り探り距離を縮めていく感じ好きですよ。


              デッキドレス
    漁に臨む正装である「船用盛装」が、「白金色で軽快な三十五世紀シリウス宮廷妖精風テンプルガードル姿」とか「ヴィクトリアン型ロングドレス」とか「銀と黒のスキンスーツ型」で、これはイラストで見たい!!

          クアングアンファン
    超光速航法の「光貫環」が、「星と星との等重力ポテンシャルを結んだトンネル」で、これは導きの星の慣性系同調航法ですねえ。こういうのファン大喜び。

    あー面白かった。

  • 巨大ガス惑星、大気を泳ぐ巨大な昏魚、自在に変型する宇宙船で漁をして暮らす人々。
    …という世界の設定だけでもわくわく。
    そして、夫婦で操船するルールの中で、異例の女性ペアで船を操る、テラとダイオードのぶっ飛びまくりの活躍。


    ぷはー、面白かった。
    ストーリーとしては、あらすじを書くこともできないんだけど、とにかくどっぷり濃いSFな世界と、シャイなんだかエッチなんだかピュアなんだか、ド可愛い女子ふたりのやりとりに、気持ちよく溺れるべし。


    続編あるんだ。
    そりゃ、外宇宙へ行くんだよね???

    小川一水さん、いつか読みたいと思いつつも、代表作「天冥の標」シリーズに挑まずに、つまみ食いしております。

  • いまから6500年ほどの未来、太陽系を脱出した人類は巨大なガス惑星FBBへ移住
    軌道上に数百隻の宇宙船を浮かべ船でガス雲海を駆けて漁をする、疾走感のあるSF
    初めは、デコンプ?ツイスタ?AMC粘土?慣れない用語にとまどいつつもSF魂をくすぐられ、世界観ルールになじんできた頃に百合の香りがほのめく
    ただ作品の射程としてはもう少し先、社会システムや風習が押しつけてくる婚姻制度に対する異議申し立て、世の中がなにを言ってこようがありのままの自分を発揮し個人の幸せを追求すべきだと言っていると思う
    小川一水作品の注釈多めな世界設定だけでもマニア好みな味わいがある
    好きなシーンはダイオードがジーオンにタンカを切るところと、ラストの窮地でテラとダイオードが言いあうところ

  • ガス惑星ファット・ビーチ・ボールで、「昏魚」を獲る漁師SF。可塑性漁船「礎柱船」、氏族の因習、FBBの謎。ハイテンションパワープレイでぐいぐい読ませるし、アイデアやギミックが面白く、爽快なお話なんですが、その裏には生存のための模索と試行が積み重なっていて、それを思うとちょっとしんみり。百合SFアンソロでいちばん好みだったので、長編化は嬉しい。
    「百合SF」と銘打つことで広く売れたら商業的にはOKなのかもしれないけど、そうやってラベリングする……というか、枠組みをデコンプしてゆく力と勢いを感じたりもしました。(※デコンプ言いたかっただけ)

  • 男女がペアになって宇宙船に乗り、漁をする風習がある世界。漁は長期にわたることから男女はほぼ夫婦とされる設定。
    女性2人のペアがめざましい成果をあげる。
    百合である必然性があると思った。
    未来とはいえ家父長制の色濃い世界で、もし男性2人のペアだったら勿論なにか言われはするだろうけどここまで立場悪くならないんだろうと思うから

  • 遠い遠い未来を描いているSF。こういう設定を作るのが本当にうまい。
    記憶も記録も失われていて、技法も技術も違うけど、やってることは現代の漁業と変わらないのが面白い。船のギミックも面白いし、アニメで観たいなぁ。

  • 2020年3月ハヤカワJA文庫刊。書き下ろし。6000年後の世界の百合な二人の冒険譚というようなアップテンポな物語。用意された仕掛けの全てが楽しいし、世界観もしっかりしていて面白い。

  • 小川一水のライトSF。ガス惑星を泳ぐ魚を捕る女漁師ペアのおはなし。
    ゆるゆりじゃないよ、ガチゆりだぁ!

  • ツイスタとデコンパというシステム、それを取り巻く社会の状況に腹が立つ部分もあるのですがとても楽しく読めました。このあとの二人が素敵に生きていってくれるといいな。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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