ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
4.12
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本棚登録 : 1436
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150314057

作品紹介・あらすじ

百万人以上の生命を奪ったすべての不条理は、少女と少年を見つめながら進行する……まるで「ゲーム」のように。規格外のSF巨篇!

感想・レビュー・書評

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  • 重厚な小説。
    重厚すぎて、過去に図書館で借りて挫折、文庫本買って積読本、この度オーディブルで読むが、途切れ途切れ1月以上かかりやっと上巻読了…

    カンポジアの現代史やポル・ポトについてはあまりよく知らなかったので、衝撃を受けました。

    しかし、耳からだとなかなか名前が覚えられなかった笑

    下巻につづく

    ♫The game/Echo & The Bunnymen(1987)

  • シハヌークからロンノル、そして革命により誕生したポルポト政権。
    移りゆくカンボジアの情勢を史実とフィクションを混えて描かれた作品。

    これスゴい、、
    まだ上巻だけど、めちゃくちゃ読み応えあって引き込まれた。

    ポルポト政権って言葉は聞いた事あったけど、無知で詳しい事は全く知らなかった。
    歴史に残る独裁政治家。
    だけどこれって1970年代の話で、そんなに昔ではないという事が衝撃だった。
    凄惨で痛ましい描写にゾッとしながらも、混じえられた個性的なキャラの魅力にクスっと和まされたり、嫌になる事なく夢中で読み終えた。

    上巻の話の軸になってたソリヤとムイタック。
    2人のこの先が気になる。
    下巻が楽しみ!!

    • 1Q84O1さん
      mihiroさーん、こちらでもこんばんは♪
      小川さんだ…
      小川さんだ…
      小川さんだ…
      mihiroさん、ごめんなさいm(_ _;)m
      過去に...
      mihiroさーん、こちらでもこんばんは♪
      小川さんだ…
      小川さんだ…
      小川さんだ…
      mihiroさん、ごめんなさいm(_ _;)m
      過去に小川さんを二作読んで合わなかったのかな…
      ちょっと苦手意識がw
      mihiroさんは高評価で良かったです^_^
      下巻も楽しんでくださーい(≧∇≦)b
      2023/08/02
    • mihiroさん
      1Qさ〜ん、こちらでも(≧∀≦)
      小川さんです〜笑
      1Qさんがちょっと合わなかったかもの小川さんです笑
      私も苦手かな〜と思ってたんですが、歴...
      1Qさ〜ん、こちらでも(≧∀≦)
      小川さんです〜笑
      1Qさんがちょっと合わなかったかもの小川さんです笑
      私も苦手かな〜と思ってたんですが、歴史物好きなのもあってかこの本は私には面白かったです!
      だけど文章、難しくて〜(^_^;)
      何度も読み返して1週間以上読むのにかかりました(〜 ̄▽ ̄)〜
      下巻もとろとろ頑張ります〜〜
      2023/08/03
  • カンボジアのポルポト政権下を舞台とした冒険小説。
    SF作品として数々の賞を受賞しているが、上巻ではSF的な話はあまりない。

    ポルポト、クメールルージュといえば、映画『キリングフィールド』が有名であるが、それを文章化した本といえばわかりやすいだろうか。

    原始的な生活を至上とし、数多くの知識人を虐殺したポルポト政権下のカンボジア。
    そのような状況のなかで生き抜く二人の少年少女。
    二人の生きざまには手に汗握るものがあった。

  • 政治とは何か? 正義とは何か? 思想とは何か? 思考とは何か? 生き残ることと勝つことは同義なのか?

    強者が弱者に、弱者が強者に、一瞬で替わる時代。

    本当の強さとは何か? 答えは存在するのか?

    すべてが混沌と暗澹に包まれた世界。

  • 舞台は1956年~1978年、フランスから独立後混乱が続くカンボジア。独裁、圧政、汚職、腐敗、秘密警察、密告、処刑。元国王・国家元首シアヌーク独裁下の状況は、ロン・ノルがクーデターで政権を奪っても変わらなかった。デタラメな政府の転覆を目指した共産主義革命勢力クメール・ルージュの首魁サルト・サル(ポル・ポト)は、秘密警察の手を逃れ、民衆の不満を背景に革命を成功させたが、トップに立った途端疑心暗鬼に駆られ、以前にもまして強烈な恐怖政治を始める。

    乱れに乱れた政治に翻弄され、死と隣り合わせの生活を強いられるカンボジアの人々。反政府の噂を立てられただけで簡単に処刑されてしまう恐怖は人々に不満を募らせる。

    こんな厳しい時代、本書に登場する若者たちは、何故か異能者ばかり。田舎村ロベープレンソンの超秀才少年ムイタック、プノンペンの孤児(実はポル・ポトの娘?)で他人の嘘を見抜く超秀才少女ソリヤ、土と言葉を交わし土に命令もできる少年プク(泥)、輪ゴムと会話でき村人の死を予言するクワン(輪ゴム)、13年間喋らず突然美声で歌い出したソングムスターのリラ(鉄板)等々。そういえば、綱引きの神が宿るマットレスという大人も出てくる。

    彼ら彼女らは、ポル・ポト政権の内部或いは外部から政権に対抗していこうとする。

    これって、史実をベースとした革命ドラマ? それともオカルトチックなファンタジー? 上巻を読んだだけでは先が全く見えない。唯一ハッキリしたのは、ポル・ポト政権打倒という志を同じくしながらも、深い遺恨を残したムイタックとソリヤが鋭く対立していくであろうということ。

    下巻が楽しみ。

  • シハヌーク〜ロン・ノル〜ポル・ポト。時代背景は大虐殺があったカンボジア激動期。理想の王国の建設、渦巻く知略謀略、特殊能力を持った子どもたち…なるほど、後の「地図と拳」「君のクイズ」の原点とも言えるような要素があちこちに見受けられ、引き込まれた。上巻はSFというより歴史小説。

  • 面白いと言えるかどうかはまだ分からない。それでもこの『ゲームの王国』が持つただものでない雰囲気は、上巻序盤で伝わってきます。ゲームなんかをやっていると、バトルの時のBGMの入りで「これヤバイやつや……」となるのですが、そんな印象を受けます。

    物語は1950年代から70年代のカンボジアが舞台。権力者や警察による弾圧的な政治や捜査が横行する時代。革命を目指す地下組織クメール・ルージュが活動する一方で、
    彼らを追いかける秘密警察は、一般市民に対しても理不尽な捜査や拘留、そして拷問すらためらいなく行い、自分たちの都合の良いように調書を作り上げます。その秘密警察によって、育ての親を殺されるソリヤという少女。

    同じくカンボジアの小さな集落。常人には理解できない言動で、親をはじめ村人たちからも気味悪がられながらも、独自の生活リズムを崩さない少年のムイタック。そのムイタックの才能を、村で唯一勘づいているムイタックの兄、ティウン。

    彼らが運命の邂逅を果たしたその日。革命が起こり政府は倒され、クメール・ルージュが新たに権力を握ります。理想の共産国家を目指す彼らは、その思想の元、国民に新たな生活を強いるのですが……

    このクメール・ルージュの支配下の描写がえげつない……。自分たちに牙を向ける可能性のある一般の知識人たちをまず粛正し、その後、組織に刃向かうそぶりを見せた者、組織の思想に合わない者も処刑。
    結果、誰もが密告を恐れ、疑心暗鬼となりクメール・ルージュ内でも、幹部たちによる密告合戦の様相を呈しはじめ、一方で誰もが処刑を恐れ、失敗や間違いを公に認められなくなり……

    一方でムイタックたちは独自のルールを作りクメール・ルージュの支配下でも理想郷を作ろうとするのですが、それも上手くいかず……。

    この二つの例から、統治された組織、そして国家まで作るのはいかに困難か、というのが現われているように思います。ムイタックは作中でルールには二種類あると語り、ルールそれ自体と、ルールを縛るルールがあるとしています。

    例えば憲法なら、憲法の条文それ自体がルールであり、そもそも憲法は守らなければいけない、という前提であったり、あるいは、国民投票なんかで憲法を改正してもいい、というのがルールを縛るルールということなのだと思うのだけど、
    それをムイタックはゲームのルールになぞらえつつ、国や革命を見通していきます。この辺の論理がだいぶ面白かった。

    一方でソリヤは、正義を遂行しカンボジアを変えるため権力を指向するようになっていきます。そしてその道は、捨てるもの、諦めるものを選択する道でもあり……

    カンボジアというあまり見ない舞台設定に加え、統制される思想と運命や暴力に屈し、不条理に倒れる人々と、物語は暗く重く、そして話の流れもなかなか見えてこないので、読むのはやや苦労しました。

    しかし最初に書いたように、物語全体に漂うただものでない雰囲気に飲まれ、いつの間にか、歴史と思想、虚実入り乱れる壮大な物語に憑かれてしまったようにも思います。

    こんな重たい話でありながらも、ところどころブラックユーモアというか、下品なネタに、頭の中で常に綱引きする男。土と会話し操れる男。百発百中のゴム占いをする少年と、とんでも要素を物語の一部に組み込んで、そしてなぜか成立させてしまうあたりが、また不思議で仕方ない。これも『ゲームの王国』が持つ物語の力なのかも。

    そしてここまでの壮大かつ壮絶な物語がある意味で、上巻ラストの前フリにすぎないという事実にも、また末恐ろしい気持ちがします。

    凄い物語と、面白い物語は、自分の中で必ずしも一致するわけではありません。だから、上巻読み終えた時点では面白いとは、言い切れないのだけど、この『ゲームの王国』は凄い小説、ヤバイ小説、とんでもない小説なのは、まず間違いないと思います。

    第38回日本SF大賞
    第31回山本周五郎賞

  • 舞台は1956年〜1978年のカンボジア。ポル・ポト率いるクメール・ルージュの誕生から支配までを背景に、一市民や秘密警察官、クメール・ルージュ幹部など視点を変えながら、その時代を描く。

    クメール・ルージュのことは概要しか知らなかったものの、著者がまるでこの土地、この時代を生き自身の目で見たのではないかと思うほど情景が精緻に描かれており、殺戮や拷問などのおぞましいシーンがありつつも(とはいえそれほど長くもない)、引き込まれるように読んだ。

    中には、輪ゴムで未来を予知する村人や、泥を操れる村人など特殊能力を持った人物も出てくるが、さほど物語に重大な影響を及ぼすのでもなく、個人的には余計に感じてしまった。本の紹介にSFとはあるものの、SFと呼べそうな要素は上巻を読んだ限りではこれくらいで、歴史小説という方が近い。

    一方で、下巻は少し開いて見た限りではだいぶ雰囲気が変わりそうな感じもする。引き続き期待。

  • 物語では絶望的な世界に登場人物たちが置かれており、目を背けたくなるような惨状のシーンが繰り返し登場する。登場人物達が次々死んでしまうので、読後感が悪い章も多い。独裁政権に至ってしまう構造や、なぜそれが皆間違っていると分かりながら持続し、進んでしまうのかという社会組織の構造がそれぞれの立場の人間の視点から描かれていてわかりやすかった。ムイタックとソリヤという二人の天才がポル・ポトを打倒するという同じ目的を持ちながら、その道を分かつという物語の大枠は典型的でありながらも、興味を惹きつけられた。途中、泥や輪ゴムの超自然的能力が登場し、どういう世界観なのか混乱した。下巻でどういう結末にもっていくのか期待大。

  • 胸が詰まる怒涛の展開。
    共産主義のイデオロギー暴走をつぶさに描いておる。
    奇抜なキャラ多いけど、何か絶対的なものに縋って生き抜くしかない人間の脆さをひしひしと感じる。

    では下巻へ。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年『ユートロニカのこちら側』で、「ハヤカワSFコンテスト大賞」を受賞し、デビュー。17年『ゲームの王国』で、「山本周五郎賞」「日本SF大賞」を受賞。22年『君のクイズ』で、「日本推理作家協会賞」長編および連作短編集部門を受賞。23年『地図と拳』で、「直木賞」を受賞する。

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