機龍警察 火宅 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 261
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150313388

作品紹介・あらすじ

由起谷主任が死の床にある元上司の秘密に迫る表題作、ライザが特捜部に入る以前を描く「済度」など、本篇にも繋がる珠玉の全八篇

感想・レビュー・書評

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  • 自爆条項を買う前に中古で購入。(帯付、研磨なし)

    ・火宅
    ・焼相
    ・輪廻
    ・済度
    ・雪娘
    ・沙弥
    ・勤行
    ・化生
    の八編を収録した短編集。

    ・火宅
    特捜部捜査班主任 由紀谷が、警察上層部と由紀谷の捜査課時代の主任で捜査の基本を教えてくれた刑事の腐敗を暴くミステリー。
    病で自宅療養する元上司の見舞いに来た由紀谷は何か違和感を感じ、帰りの駅前で一つの推論に達し 元上司にその推論を話すのだが、それに対し肯定も否定もせず ただにこにこ笑っているだけの元上司に底知れぬ怖さを感じる。

    ・焼相
    薬物中毒でイカれ機甲兵装を使い立て籠る薬物中毒者から人質にされた子供達を救出する全八編の中で唯一龍機兵が活躍するストーリー。
    薬物で頭がイカれて何をしでかすか分からない犯人からいかにして子供達を救出するのか?
    緊張感溢れる一編。
    ラストのライザの表情が彼女「本来の姿」を思わせて涙。←相変わらず涙もろい自分。

    ・輪廻
    6話の雪娘と並び後味の悪さでは一、二を争う。
    姿 俊之の傭兵時代の過去の一端が明かされるのだが、全てが明かされるのはいつなのか?
    そしてそれはユーリとライザと同じ位もしくはそれ以上に壮絶な物であるのは間違いない筈。

    ・済度
    テロ組織IRFを抜けたライザが特捜部に入るまでの数日間の物語。
    これは短編で発表するよりもライザが主役の「自爆条項」本編に組み込んだ方が良かったと思うのだが。

    ・雪娘
    先に書いたように輪廻と並び後味悪さはこの上ない。
    主人公はユーリ。
    ライザもそうだが、ユーリの受難のレベルは本当に半端ない。

    ・沙弥
    由紀谷の学生時代の物語。
    彼が警官を志す理由とその場面でまたもや涙。←本当に涙もろい自分。
    この短編集で由紀谷だけが二回主役を張るのだが、もしかして作者のお気に入りキャラ?

    ・勤行
    特捜部理事官 宮近のある日の物語。
    仕事と家庭の板挟みでの苦労が報われるラストは「重い」話の多い本書の中でホッとする一編。

    ・化生
    主役は特捜部捜査班主任 夏川。
    殺人事件が実は特捜部の今後に影響するストーリーなのだが解説や他の方々のレビューによるとシリーズ5作目「狼眼殺手」に繋がっていくとか。
    う~ん気になる。
    これからどうなるのだろう?と期待と不安が交錯する。

    本来の長編ストーリーも良いがこういった短編集も良い。
    新たな短編集が出る(書かれる)事を熱望する。

  • 短編毎に違う世界観が楽しめます。
    個人的には「輪廻」と「勤行」が好きです。

  • 機龍警察シリーズの短編集。サイドストーリーと言えば軽く思えるが、どれも読みごたえのある、手抜きなしの傑作短編集。
    とはいえ、本編の5作(この本以降のもう1作は後で読んでもいいみたい)を読んでおかないと、世界観、キャラクター等が分からず楽しめないので、「まずは短編集で機龍警察シリーズデビュー」という方法はやめた方がいいと思う。
    このシリーズは是非とも刊行順で読んで欲しい。

    遠田潤子風ブルースを感じる表題作に、隠蔽捜査シリーズみたいな話もあるし、なんとガンダムサンダーボルトネタまで。しかもその全てが捨て駒じゃないって、なんという多才っぷり。短編一つ一つに本編以外の直接的つながりはないものの、最後に掲載の作品にユルやかに収れんされていく構成も見事。

    今更俺が言うてもなんの評価にもならんけど…
    月村了衛は日本小説界の至宝だと思う。

  • メモです。

    「火宅」
    どす黒い強かさ。

    「焼相」
    緑→ライザの感情。
    それにしてもこのシリーズは警官死にすぎよな。

    「輪廻」
    胸糞。由起谷の義憤。

    「済度」
    ライザと沖津の邂逅。

    「雪娘」
    スネグーラチカ。

    「沙弥」
    由起谷が警官を志した理由。
    叔父さんいい人。

    「勤行」
    申し訳ないけど答弁作成デスマーチには笑ってしまう。
    宮近さんが報われるの嬉しいな。

    「化生」
    こわ〜ラストにこんなに怖い話もってきます?

  • 作者はあくまでも警察小説を書きたいんだろうけど、やっぱり機龍兵のバトルシーンが読みたいんだよね。

  • 龍機兵シリーズのサイドストーリーを集めた短編集です。
    龍機兵シリーズに繋がるストーリーの他、家族・娘と仕事との板挟みに悩むサラリーマンにフォーカスを当てた話し(勤行)もあります。個人的にその話しがお気に入り。
    かっこいいぞ、宮近パパ。

  • 義肢をそんなふうに使うことだけは本当に勘弁してくれ世界。

    法が整うのを待つしかないという限界は分かるが…
    リアリティの追求に容赦が無さすぎて落ち込む。

    アドバンテージは尽きかけて、この先どうなってしまうんだ。地獄だけが加速していく。

    ミヤチカくんのお話だけ、ホッとした。

    円城塔さんの解説も「それほどややこしくもないのだが」面白い作品に対して、作家としての視点で、1ファンとして、分かりやすくややっこしいものですごく良かった。

  • シリーズ初の8編からなる短編集。
    それぞれの短編に違った良さがあり、すべての短編を楽しむことができた。
    個人的には特に好きだったのが、由起谷の親友が亡くなり、警察官を目指すきっかけとなった「沙弥」だった。少年時代の独特な心が描かれていてとても好きな作品だった。
    また、次作にも繋がってくるであろう「化生」もこのシリーズの先が見られてより一層楽しみになる作品だった!

  • いい!機龍警察ファンは必読書ですね。サイドストーリー満載で、涙が出ます。

  • 機龍警察の登場人物が主役の短編8編。
    特捜部部員の過去に係わる事件や機龍兵と関係のない事件等も含め、著者の幅広い短編はそれぞれ水準以上。
    一番好きなのはライザの特捜入り前の話かな。

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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