アリスマ王の愛した魔物 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-26)

著者 :
  • 早川書房
3.85
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本棚登録 : 403
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150313098

作品紹介・あらすじ

『老ヴォールの惑星』『フリーランチの時代』『青い星まで飛んでいけ』に続く第4短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 読書会で勧めていただいた一冊。
    バイクとオペレータとのお話 ろーどそうるず
    西洋と東洋があべこべのやつ ゴールデンブレッド
    醜い数学が得意な王様のお話 アリスマ王の愛した魔物
    ちいさな宇宙の港町 星のみなとのオペレーター
    じいちゃんの形見の車と美人ロボット リグ・ライト

    全部よかった。評判とおりのろーどそうるずもよかったですが星のみなとのオペレーターが可愛くて。AIが好きになるお話たちでした。

  • 意思、であるとか

    意志、であるとか。

    ひとが作り出したものに、それが宿るのかというのは、ひとつの大きなテーマだろう。

    そこには、宿って欲しいと、思う場合と、宿られてはたまらない、と思う場合があるような。


    宿って欲しい、と思うのはどこか、
    愛着、や信頼感みたいなものを、作られたもの、と共有したいと云うか、
    それぐらい出来てもいいんじゃない? と云うか、どうせやるならここまでやってやろう、みたいな思いがそうさせていて、


    宿られてはたまらない、というのは、
    そういう感情の機微、みたいなものを大事にしたいから、
    或いはそれすらひとの手で造られてしまったらと思うとゾッとするから、本能的に反対しているのか。

    でも結局それってもしかしてどちらも、
    ひとの意地、なのかもしれない。

    …ふむ?
    よしその意気だ!



    あれ登録漏れてるじゃん! というわけで今更。

    短篇集、と云うには各話ボリュームが多いので、作品集と云うのがいいのかしら。
    星雲賞受賞の表題をはじめ、どれも骨太なSF、なのだけれどどうにもおちゃらけてるのが魅力的。そのへん表題以外の作品にほんとうの魅力があるように思います。
    イチオシは書き下ろしのリグ・ライト。
    どれもこれも粒揃いなので☆4.2

  • おすすめしてもらった、ろーどそうるずも良し。
    一番は、最後の短編かな。
    権利とか、資格とか決めてるのは人間で、
    時が経つにつれて捉え方も変化して
    だから何だって自分次第なのよきっと(飛躍?)

  • SF短編集
    SFとしては他のが面白いんだろうけど個人的には1作目が良かった
    最後のと比較するとアイデアは最後が優れてそうだけど、それだけじゃなくて登場するキャラクターに共感できるかが大事な気がする

    ファンタジーもそうだけどSFも世界観やアイデアとキャラクターがマッチすると爽快と言って良いような感覚になる

  • 星雲賞受賞の表題作『アリスマ王のー』ほか、全5篇収録の短編集。

    『アリスマ王』は、何もかもを数字で予測しコントロールしようという装置"算廠"が不気味。
    はじめ、アリスマ王子は数字に取り憑かれた、「ただの天才」だった。ほかに理解者がいないとあきらめた時に魔物が現れ、王子が狂気の力をふるいはじめるくだり、今まさに私たちの日々もデータとして集められ続けている不気味さに通じるようで。

    個人的には、『ゴールデンブレッド』や、『星のみなとのオペレーター』『ろーどそうるず』の方が好み。
    異文化間であったり、AIと人間であったりしても、きっと理解しあえる、信頼しあえる…というSFらしい愛と希望と夢がいい。

  • 29:収録作のうち「ろーどそうるず」「アリスマ王の愛した魔物」「星のみなとのオペレーター」は既読だったけど、新鮮な気持ちで読めた。「星の〜」は自作「宙の渚のローレライ」の元ネタでもあり、ライトでポップなSFに憧れて書いたものなので、文庫になって嬉しい。
    書き下ろしの「リグ・ライト」が壮絶かつ力作かつ問題作で、「未知のもの・わからないもの」に対する近寄り難さ、きもちわるさ、得体の知れなさがひしひし感じられた。人に似たボディを持つAI、そうでないAI、両者ともに人間にとっては「考え方がわからない」ブラックボックスと化してゆく薄ら寒さと、それを超えてAIが一歩を踏み出す結末が「エクス・マキナ」を思い出させて、語彙が吹っ飛んだ。プロって凄い。
    これまで、小川作品の導入として「老ヴォールの惑星」を挙げていたけど、それに代わる代表作になりそう。

  • 久しぶりの小川一水。
    表題作が読みたくて買ったのだが、他の短編も面白かった。正直、熱心な読者ではなかったのだが、たまに読んでみるといいなぁ。

  • SF短編集。人間くさいAIの話がおもしろい。

    ■ろーどそうるず
    バイクの制御AIと指令センターとのやりとり。ライダーや所有者ののとをあれこれ言う様子がおもしろい。AIの一生みたいな話でちょっとほっこり。

    ■星のみなとのオペレーター
    宇宙港に出入りする船を管制するオペレーターの話。ラブコメっぽい。宇宙ウニってなんだ?

    ■リグ・ライト
    自動運転AIの話。責任を負わないはずのAIが運転手をかばうために責任を負おうとするのか?AIに罰則を課したらAIの判断ロジックが変わるのか?いろんな想像をさせる。

  • 小川一水さんこんなのも書けるんだ、イヤ書けるだろうけども。
    素晴らしいです、最後のAIのやつ。
    車か、そうきたかって。
    いろんな意味でもこれまでのくびきから解放されてる世界かー。来るかなー。来るかなー。バイクとかもっと愛着湧くんじゃない。

  • 「ろーどそうるず」はバイク搭載の制御AI視点の話。直接運転はできないので状況を淡々を中央のAIに報告するだけなのですが、搭乗者を思う気持ちに泣かされます。「リグ・ライト」もAIによる自動運転時の責任の所在がこれからどうなっていくのか、現実でも気になるところです。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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