スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 410
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310820

作品紹介・あらすじ

男女別の自治区で性別の違う人間と共に暮らす人工妖精たち。その一体である揚羽は、全寮制の看護学園で同室の連理や義妹の雪柳らと学園生活を謳歌していた。人間に害をなす人工妖精を密かに殺処分する"青色機関"の一員という裏の顔を持つ揚羽は、学園内の連続事件に死んだはずの科学者・不言志津江の陰謀を見出す。それは揚羽の人生に今後降りかかる過酷な運命の予兆でもあった。人気シリーズの前日譚たる連作中篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらずの面白さとクオリティを持つシリーズ三作目。
    女学園×SF×ミステリ×必殺仕事人の素敵な融合。七色の蝶が舞い四季をめぐる情景、コメディとシリアスのバランスのある会話、SF的な謎の解明、物語の感動、と満足度高し。

    鏡子さんの独自な価値観をもった罵倒も健在(笑) 今回は連作短編集だから謎の解明と戦闘場面が何度も楽しめる。
    不可解な謎を提示し、丁寧に伏線を張り、推理し、と、綺麗にミステリの構図を物語の進め方に用いている。ミステリの文法が藤間千歳という作家には身体に染み込んでいるんじゃないかな。
    あと、風気質[マカライト]のトリックスターぶりは物語を動かす上でも魅力的なのだと今回判明。

    好きなミステリ作家が誰なのか作者さんに訊いてみたいかも。

    あと、SFとしての大ネタと事件の黒幕が重なるのが独特。

    現在、新作を楽しみにしてる国内SF作家さんの一人。
    国内SFミステリの書き手としても藤間さんが有望株だと思う。

    それと、瀬名秀明の『デカルトの密室』と読み比べても良いかもしれない。

  • 自己同一性や尊厳、自我がどのように成立し、何が人を人たらしめているのか。倫理の根幹を問い直すのは、なかなかにぞっとしない。それにしても、前著もそうだったけれど、七十二候が意味を成すほど繊細な季節の移り変わりがあるのだろうか...。

  • 描かれる世界設定の歪つさが、ロボット3原則への見解の説得力を激減させる。
    謎解き、SF、存在意義など面白いところや興味深い点は多いのだが…。
    少女のまま生まれ、肉体年齢は少女のまま人間の役に立ちたいと男性のみの社会に生きる人工妖精。生まれてすぐに暮らすのは純真無垢なお嬢様を育てる学園…作者が渾身で美しいと描く世界は本当に美しいのだろうか。
    3作目に入っても未だ女性区域がカケラでさえ描かれることがないのは…。

  • 面白かった
    どうしたらこのような作品を書けるのか、毎回ながら感心させられる
    1冊ごとに人工妖精の秘密の核心に近付いている…

  • スワロウテイル序章/人工処女受胎 (ハヤカワ文庫JA)

  • 86:前二作の前日譚に当たる、揚羽が五稜郭の学生だった頃の物語。細切れに読んだせいか、人物関係や団体の思惑がこんがらがってよく理解できず、上辺だけをなぞって読み終えてしまった感じ。ヒトが作った意識体「人工妖精」という設定は大好きだし、面白い。このまま「?」のまま本棚に並べるのは勿体ないので、時間を作って通して読みたいな。

  • スワロウテイル前日譚。
    今は黒の五等級や末梢抗体と呼ばれるようになった揚羽にも普通の学生時代があったという話。
    全寮制のお嬢様系看護学校で学生生活を謳歌している揚羽と現在の揚羽の違いが辛い。
    まさか三十年前にあんなひどい実験が行われていたとは…。
    自治区も思ったより闇が深いのかもしれない。
    真白の為に存在を消された揚羽もある意味、犠牲者の一人なのかもしれない。後、
    天真爛漫でなんでも”お”をつける雪柳が可愛い。

  • 学園の明るいドタバタと裏側で進行する事件の奇妙なコントラストに引き込まれて、ぐいぐい読んでしまう。
    あと、これを読むと2巻の「なぜ揚羽の行動に違和感を感じるのか」の答えが分かる気がする。
    たった数年であっても経験の有無は大きいもんなんだなと。

  • 購入。やっと読み終わった。というか前日譚ではあるけれど、前2作を読んでから読んだ方が解りやすいかな。揚羽の心の在り様とか、そうかぁと納得してしまった。ヒトとしては持ち得ないのだろうなと考えてしまうラストだった。

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