- Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150309459
作品紹介・あらすじ
軌道ステーション"望天"で起こった破滅的な大事故。その残骸と月往還船からなる構造体は、無数の死体とともに漂流を始める。だが、隔離された気密区画には数名の生存者がいた。空気ダクトによる声だけの接触を通じて生存への道を探る彼らであったが、やがて構造体は大気圏内への突入軌道にあることが判明する…。真空との絶望的な闘いの果てに待ち受けているものとは?-小川一水作品史上、最も苛酷なサバイバル。
感想・レビュー・書評
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他の作品と比べると共感できる度合いが1段階落ちるなーという印象。
登場人物の掘り下げがあまりなされてない。群像劇っぽい構成だから仕方ないというわけではないと思う。それなりの分量もある作品だし。他の作品では多少登場人物が多くてもきちんと掘り下げられているし。
悪い奴がなぜ悪いことをするのかというのもイマイチよく理解できなかった。
他方で人災が発生する部分の描写はとても面白かったし、宇宙空間という環境を十分に活用した困難とその克服の過程はスリリングでよかった。
うーん著者の作品は概ね大好きなので、期待しすぎちゃったかなー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中から確認できない事故の全容。
それぞれが隔離された中、つながるのは声のみ。
他に生存者がいる。それはどんなにか勇気づけられることだろうと思うのだが…。
硬質なSFとのレビューに、ついていけるか心配したが無用だった。
作者としても挑戦だったという、それぞれの登場人物たちの強い自我・行動が、物語をひっぱってゆく。
時折不用に感じることもあるのエピローグだが、この作品では心地よく楽しめた。
もし映像化されるなら、音と映像で最大限緊迫感を盛り上げてほしい。 -
『娯楽』★★★★★ 10
【詩情】★★★★☆ 12
【整合】★★★★☆ 12
『意外』★★★★☆ 8
「人物」★★★★☆ 4
「可読」★★★☆☆ 3
「作家」★★★★☆ 4
【尖鋭】★★★★☆ 12
『奥行』★★★★★ 10
『印象』★★★★★ 10
《総合》85 A -
宇宙ステーションができるまでの科学的考察はさすがだし、サバイバルのディーテールも面白い
真空で空気が循環しないから寝てると苦しくなるとか、純粋になるほどと思う
人物像はおそらく作者の好みが強く反映されると思う
天冥シリーズの片りんをうかがわせるアクの強い人物は好みが分かれると思うし、純粋に物語に入り込むにはちょっと邪魔になる気がした -
『復活の地』と比べると同じ素材でもずいぶん変わったこと安定だ
今後どちらへ伸びるか楽しみだ -
29:SF+災害パニック、とおいしいとこ取りの一冊。小川作品ではかなり硬めのSFですが、よく練られたプロットとテンポのよい展開でラストまで連れて行かれます。うおお、面白かった……! 設定がややゲーム的、というか役割あってのキャラクタというか、登場人物たちに感情移入しにくいところはあったのですが、壁一枚隔てたところにある真空=死の領域に果敢に踏み込んでゆく二ノ瀬が素敵。幸村誠さんでコミカライズという果てしない妄想をしつつ、SFが苦手でない方には全力でお勧めします!
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宇宙での脱出劇。
楽しく一気読みできたけれど、チョイと上手く行き過ぎだよなと感じてしまう部分もあって読後にモヤモヤ -
脱出ゲームようなテンポ、一気に読み終えるぼを唆しいような疾走感。
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宇宙に行ったら何が怖いかって話で、確かに空気が無いってのは怖いっちゃあ怖い。空気なんて地球にいれば常にあるんだから、それが無いってのは怖いって。でも考えてみりゃ船に乗って外洋に出てしまえば、まぁ空気はあるけど、船が沈没したら確実に死ぬし。あの水に入っているだけであっというまに身体が冷え切るっぷりは恐ろしい、水も怖い。飛行機だって何かあったら、空気あったってやっぱり落っこちたら死ぬし。まぁそんなこんなで空気が無い分宇宙も怖いけど、それでもいつか行くんだよねぇ。2001年宇宙の旅が出てからずいぶん経つけど、もう2017年になっちゃったけど、別にアンドロメダ星雲まで行けなくても良いけど、もうちっと身近な月あたりとか、真面目に考えた話を読んでると、ちょいと具体的なイメージが湧いてきて、もう少しかも、なんて思っちゃうよねぇ。
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こんな過酷な状況、私は生き抜けないわ…
前半くらいで甘海にイライラしたけど、そうなるのも当たり前なのかも。死んで欲しくない人が死んだり、思いもかけないことが起こったり、最後までハラハラしたけど、楽しめた。