アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る (英国パラソル奇譚)

  • 早川書房
4.03
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本棚登録 : 430
感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150205485

作品紹介・あらすじ

人類と異界族が共存する19世紀英国。伯爵夫人アレクシアは、社交に、"陰の議会"に、特殊能力をもつ2歳の娘プルーデンスの子育てにと多忙な日々を送っていた。そこへ世界最高齢の吸血鬼マタカラ女王からエジプトへの招待が届く。かつて"神殺し病"で異界族が消えたその地で、一行は古代より続く恐るべき秘密にふれることに-歴史情緒とユーモアに、人狼殺害事件の謎を絡めた大人気冒険譚、惜しまれつつも堂々完結。

感想・レビュー・書評

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  • アレクシア女史のシリーズ5冊目。
    え、完結しちゃうの~残念!
    冒険とユーモアとロマンスと☆いきいきした描写が楽しみなシリーズ。
    盛りだくさんな内容なので、どうやってまとめるのかしらと謎でした。

    アレクシアの娘プルーデンスは、2歳に。
    おしゃれな吸血鬼のアケルダマ卿を乳母?筆頭に、皆が守り育てています。
    人狼のマコン卿と、人間だけど反異界族のアレクシアとの間に生まれた子は、触ると相手の能力を奪って変身。
    特に夜の間、吸血鬼に触れば相手は人間になって老い始め、プルーデンスは牙が生えてくるという大騒動。
    人狼の父親に触ると、可愛い子犬のような子狼に変身してものすごい勢いで駆け回ることに。
    これにも、ある限界はあるのですが。

    エジプトの吸血鬼の女王から呼び出しがあり、アレクシアはどういう意味かと不審に思う。
    親友アイヴィの劇団の公演に同行するという形で、親子3人でエジプトを訪問。その意外な顛末は‥
    アイヴィには双子の赤ちゃんが生まれていて、これも大騒動の一部をにないます。
    最高齢の吸血鬼であるエジプトの女王の願いとは?!

    ロンドンでは、人狼となったビフィが活躍していました。
    最初は好感の持てる脇役に過ぎなかった若者ビフィがだんだん存在感を増し、アレクシアとの繋がりも深まります。
    前作で恋人となった人狼団の副官ライオール教授にも、いぜんの問題の決着をつけるときが訪れ‥

    気丈なアレクシアが、夫が死んだかもしれないということになると、気力をなくすのも可愛いです。
    やや単細胞に思える大男・マコン卿の真摯な思いが切ない。
    おさまるところにおさまる大団円。
    満足な読み応えでした。

    スピンオフのソフロニア嬢のシリーズも翻訳されたので、読み始めています。
    娘のプルーデンスが主役になるシリーズもあるということで、まだまだ楽しめそうなのが嬉しい!

  • プルーデンスちゃんが愉快。彼女が育ったら、どんだけ面白いことになってるんだろう、と楽しみでなりません。
    ライオールは、マコン卿のそばで顔しかめてこそ、と思ってたのですが、漫画版シドヒークを見て、ありだな、これはありだ、と思った。身なりの整え甲斐もあるでしょう。

  • アレクシアとマコン卿の娘プルーデンスは、二歳にして、両親と英国の宰相にして社交界の重鎮である吸血鬼アケルダマ卿とそのドローンたち、そして人狼団を振り回す振り回す!

    やっぱり、アレクシアの娘だから当然最強という訳で、ストーリー上でも重要な役割を果たしてくれる。

    今回は、エジプトとロンドンで同時進行的に物語が進んでゆくため、視点が交互に変わっていくのが少しややこしかったのだが、すべての謎と過去の決着を一気につけようとするため、次から次へと怒涛の展開で、ハラハラのしどうしだった。

    いろいろ後の気になる終わり方だったので、プルーデンスの話が早く完成して日本の読者にもお披露目される日を待ち望む。

  • 完結です。もっと読みたい!が正直なところですが、新しい時代らしいのでしかたありませんね…スピンオフとか短編とかに期待です!
    途中、らしくないほどシリアスでいつものテンポじゃないところもありますが、その辺も最終巻の醍醐味なのでしょう。なにしろ最大の危機ですからね。
    そしてその裏での展開が…やばい!なんかもう、ロンドンに気をとられててヒロインの展開そっちのけでした

    どのキャラクターにも大きな転機となる巻だったような。これから先、彼らはどうなっていくのか…特にアイビィ!!
    プルーデンスのシリーズも予定があるようなので、その後の彼らがどんな風なのか知る機会もあると信じることにして。
    まずは25年前に遡りますか…

  • ええととりあえずまずここから。
    いまもっててしてこのシリーズをアレクシアとコナル・マコンのロマンスとして(本気です)読んでる身として、彼らのすれ違いと危機にあったからこそ素直に認められた感情と、その先でコナルがした決断と選び取った人生が、彼が彼女と共に生き共に死ぬことを選んだことが本当に本当にとても嬉しかったので、その他もろもろはもう全部いいかなあと思わなくもなかったりもするのですが。
    それにしてもつくづく最初っから最後まで、我が儘に我儘に生きるキャラクターばかりの物語だった…というのが素直な感想で(ここにはがっつりコナル・マコンとその選択も含まれてしまう訳ですが)(てか最終巻思いのほかジュヌビエーブが常識人に見えて困った…)。
    そして個人的にその最たる者がランドルフ・ライオール教授だった気がしてならない件。正直なところ評価だだ下がりだよ教授…。
    いくらなんでもアルファが(自業自得とはいえ)命がけで闘ってるときに、自分が気に入ってるアルファの跡継ぎ候補と寝てるとか、楽しくピロートークしてるとか、本当にどうなの…。いえあの彼と彼の現状と未来への不安や寂しさと、その結果としての互いの体温に縋るような気持ちは分からなくもないのだけれど、それにしてもなあ…。ランドルフ・ライオール有能で素晴らしいベータだけれど、基本的に忠誠心薄いというか仕事より恋が大事なタイプですよね…ですよね。忠誠心だけならチャニング・チャニングの方がきちんと持っていそうだなあ…。
    そして作中一番忠誠心が強かったのはフルーテだったことが判明していた訳ですが、フルーテとアレッサンドロの間にも何があったのか…。
    まあそれでも、皆がそれぞれ自分で望んで自分で選んだ行動の結果、それなりに報いを受けたり事故に巻き込まれたりしつつも(アイヴィとかビフィとか…)(しかしアイヴィはタンステルと双子どうするんだろう(主に寿命的な意味で))(そして微妙にナダスディ伯爵夫人が最初から最後まで可哀想だった件)、やっぱり自分で選んだ自分の人生を生きていたので、それで良いのだろうと思います。うん。

    しかし作中一番大人らしい大人として振る舞っていたのが2歳のプルーデンスだったのはどうなんだろう…。

    そして相変わらずアレッサンドロ・タラボッティの性格と望みが良く分からなかったのですが、もしや娘と一緒で状況に流されるままその場その場で場当たり的に対応してたら、気付いたら大騒ぎになっていたタイプなのかな…。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「英国パラソル奇譚」の最終巻、如何でしたか?私は未だ1冊しか読んでいないので、次を読むのが楽しみで仕方ありません・・・
      「英国パラソル奇譚」の最終巻、如何でしたか?私は未だ1冊しか読んでいないので、次を読むのが楽しみで仕方ありません・・・
      2012/11/12
  • 最終巻が一番おもしろかった。
    ライオール教授が好きだからかな?

    ナダスディ伯爵夫人に呼び出され、エジプトからの招待状を受けて船旅に出ることになった我らがアレクシア女史。
    暴れ盛りの愛娘プルーデンスと、人狼アルファの夫マコン卿、不可思議な帽子が欠かせない親友アイヴィ、そして思惑の見えないマダム・ルフォーら一行が揃えばゆっくりもできない道中である。
    そんなドタバタのエジプト紀行と、ロンドンにて調査を進める優秀なベータ・ライオールと新米人狼ビフィの間に起こる意外な展開が同時進行する怒涛の巻。

    前巻にて凄惨な過去を明かされたライオール教授ですが、今巻では現在と未来の展望が希望的でほっとしました。チャニング少佐(私は彼も好きです!)はビフィを認めるのに時間がかかるかもしれないけれど、ライオールに新しい支えを、と望んでいたからそのことについては歓迎なのではないでしょうか。
    伏線は前々からありましたし、互いの精神状態の安定と傷の回復のためにも、おさまる所におさまったという感じです。
    30年後とか、アルファになったビフィに仕えるようになったライオールの様子も含めてスピンオフを書いてほしい!というかライオール教授メインで……どうか……ロマンス入れたら間違いなくBLになるけど(笑)。

    また、今巻では、今までの気丈で現実主義者なアレクシアを大いに動揺させる出来事が起きる。投げやりになってしまったアレクシアの姿はあまりに痛々しい。
    いつか晩年を穏やかに迎える日まで、夫妻には仲良く喧嘩していてほしいです。

    命にかぎりある人間も不死者にも、あらゆる意味で『死』というものを考える時が来る。
    愛する人達の死をたくさん眺めて、眺め続けて生きること、それは必ずしも最大の幸せでないかもしれない。不死者はいつ死を迎えるかを自分で決めなければならない。死を不意に与えられることと、自分で決めること、それはどちらがいいかなんて分からない。
    マタカラ女王の話を聞いてみたかったな。なんだか大事なところが中途半端だった気がして、それが残念でした。

    プルーデンスを主役に据えた、何年後かの話の構想があるそうで、刊行されたらぜひに日本語訳していただいて、またこの世界を見てみたいです。
    今年出会った小説の中では上位につけたい、お気に入りのシリーズになりました。

  • 英国パラソル奇譚、最終話。
    予約していたのでさっそく購入しました。浮気疑惑も晴れて再びらぶらぶ夫婦に戻ったアレクシアとマコン卿、アンンド二人の娘プルーデンス。

    以下、感想。

    前作から2年後のお話で、生まれたばかりだったプルーデンスが元気いっぱいの2歳児になっていて笑えました。
    反異界族と人狼との子ということで警戒心を持っている吸血鬼たちの気持ちを和らげるために、表向きは知り合いで影の議会の宰相でありアレクシアの大親友のアケルダマ卿の養女として育つことになるのですが、実は彼の巨大なクローゼットの奥を改造して夫婦で隠れ住んでいるという(笑)
    本当のおうちは前回の騒動で手に入れた隣の屋敷なのですが、こっそり娘と同居してるんです。
    ママ、ダダ、と甘えるプルーデンスが可愛い。
    アレクシア自身が反異界族というせいなのか、あんまり子供のころから母に好意を持っていなさそうだったし、彼女の母も娘への愛情が見られなかったのに、プルーデンスはママ大好きなのが判って微笑ましい限り。
    可愛い幼児の仕草に飽きるほど長く生きてきたアケルダマ卿と彼の取り巻きたち、そして人狼パパのマコン卿と他の人狼はメロメロ。みんな可愛く仕方ないよう。
    そんな楽しくも騒々しいながらも平和に過ごしていたアレクシアに届いたエジプトの最高齢の吸血鬼女王から招待状。
    娘とともにエジプトに来られたし、という命令に近いそれに、謎を残したまま亡くなった父の足跡を辿る意味も込めて夫と親友その他を引き連れてエジプトに向かう・・・というのが今回のストーリー。
    楽しかったです(笑)
    いや、毎回毎回マコン卿とアレクシアの仲良さが凄くて(笑) 結婚して2年経過するというのに変わらないいちゃいちゃぶり(笑) 周りも慣れたのか放ってますね。ま、アレクシアが傍にいればアルファであるマコン卿は機嫌良いので、団員にとっても都合は良いんだろうけど。
    それでも少しずつ謎が解けて、前回発覚した衝撃の事実がマコン卿にばれて、再び夫婦の危機!となるのですが、いろいろあって落ち着いてらぶらぶに戻るの笑っちゃいました。アレクシアも可愛くなったなあ。マコン卿に嫌われるってわんわん泣きますしね。彼が死んだと思った時にはなにも考えられずに後を追うことを考えてしまうほどマコン卿が大好きなようで(笑)
    そしてどんなに怒っても、マコン卿もアレクシアが好きなんだなと。
    すべてが終わって、彼が決断した将来の展望が素敵でした。反異界族という特殊な種族であっても寿命は人間と同じアレクシアとこの先どう過ごすのか。
    最強の人狼である彼がやがて自分に訪れるだろう事態への対処に選択した内容が良くて、この続きを読んでみたいです(笑)
    アレクシアの話はこれで終わりですが、プルーデンスを主人公にしたお話があるそうなのでそれが見たいかな。彼女が大きくなってる頃には両親はきっとエジプトにいるんだと思うから、その時の二人の様子など。
    お勧めの一品。
    ご興味がありましたら、お試しあれ。

  • アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る (英国パラソル奇譚)

  • いよいよアレクシアシリーズの最終巻。
    どんな結末になっているやら。

  • 原書名:TIMELESS
    著者:ゲイル・キャリガー(Carriger, Gail)
    訳者:川野靖子

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