アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る (英国パラソル奇譚)
- 早川書房 (2012年9月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150205485
作品紹介・あらすじ
人類と異界族が共存する19世紀英国。伯爵夫人アレクシアは、社交に、"陰の議会"に、特殊能力をもつ2歳の娘プルーデンスの子育てにと多忙な日々を送っていた。そこへ世界最高齢の吸血鬼マタカラ女王からエジプトへの招待が届く。かつて"神殺し病"で異界族が消えたその地で、一行は古代より続く恐るべき秘密にふれることに-歴史情緒とユーモアに、人狼殺害事件の謎を絡めた大人気冒険譚、惜しまれつつも堂々完結。
感想・レビュー・書評
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アレクシア女史のシリーズ5冊目。
え、完結しちゃうの~残念!
冒険とユーモアとロマンスと☆いきいきした描写が楽しみなシリーズ。
盛りだくさんな内容なので、どうやってまとめるのかしらと謎でした。
アレクシアの娘プルーデンスは、2歳に。
おしゃれな吸血鬼のアケルダマ卿を乳母?筆頭に、皆が守り育てています。
人狼のマコン卿と、人間だけど反異界族のアレクシアとの間に生まれた子は、触ると相手の能力を奪って変身。
特に夜の間、吸血鬼に触れば相手は人間になって老い始め、プルーデンスは牙が生えてくるという大騒動。
人狼の父親に触ると、可愛い子犬のような子狼に変身してものすごい勢いで駆け回ることに。
これにも、ある限界はあるのですが。
エジプトの吸血鬼の女王から呼び出しがあり、アレクシアはどういう意味かと不審に思う。
親友アイヴィの劇団の公演に同行するという形で、親子3人でエジプトを訪問。その意外な顛末は‥
アイヴィには双子の赤ちゃんが生まれていて、これも大騒動の一部をにないます。
最高齢の吸血鬼であるエジプトの女王の願いとは?!
ロンドンでは、人狼となったビフィが活躍していました。
最初は好感の持てる脇役に過ぎなかった若者ビフィがだんだん存在感を増し、アレクシアとの繋がりも深まります。
前作で恋人となった人狼団の副官ライオール教授にも、いぜんの問題の決着をつけるときが訪れ‥
気丈なアレクシアが、夫が死んだかもしれないということになると、気力をなくすのも可愛いです。
やや単細胞に思える大男・マコン卿の真摯な思いが切ない。
おさまるところにおさまる大団円。
満足な読み応えでした。
スピンオフのソフロニア嬢のシリーズも翻訳されたので、読み始めています。
娘のプルーデンスが主役になるシリーズもあるということで、まだまだ楽しめそうなのが嬉しい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
プルーデンスちゃんが愉快。彼女が育ったら、どんだけ面白いことになってるんだろう、と楽しみでなりません。
ライオールは、マコン卿のそばで顔しかめてこそ、と思ってたのですが、漫画版シドヒークを見て、ありだな、これはありだ、と思った。身なりの整え甲斐もあるでしょう。 -
アレクシアとマコン卿の娘プルーデンスは、二歳にして、両親と英国の宰相にして社交界の重鎮である吸血鬼アケルダマ卿とそのドローンたち、そして人狼団を振り回す振り回す!
やっぱり、アレクシアの娘だから当然最強という訳で、ストーリー上でも重要な役割を果たしてくれる。
今回は、エジプトとロンドンで同時進行的に物語が進んでゆくため、視点が交互に変わっていくのが少しややこしかったのだが、すべての謎と過去の決着を一気につけようとするため、次から次へと怒涛の展開で、ハラハラのしどうしだった。
いろいろ後の気になる終わり方だったので、プルーデンスの話が早く完成して日本の読者にもお披露目される日を待ち望む。 -
完結です。もっと読みたい!が正直なところですが、新しい時代らしいのでしかたありませんね…スピンオフとか短編とかに期待です!
途中、らしくないほどシリアスでいつものテンポじゃないところもありますが、その辺も最終巻の醍醐味なのでしょう。なにしろ最大の危機ですからね。
そしてその裏での展開が…やばい!なんかもう、ロンドンに気をとられててヒロインの展開そっちのけでした
どのキャラクターにも大きな転機となる巻だったような。これから先、彼らはどうなっていくのか…特にアイビィ!!
プルーデンスのシリーズも予定があるようなので、その後の彼らがどんな風なのか知る機会もあると信じることにして。
まずは25年前に遡りますか… -
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「英国パラソル奇譚」の最終巻、如何でしたか?私は未だ1冊しか読んでいないので、次を読むのが楽しみで仕方ありません・・・「英国パラソル奇譚」の最終巻、如何でしたか?私は未だ1冊しか読んでいないので、次を読むのが楽しみで仕方ありません・・・2012/11/12
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最終巻が一番おもしろかった。
ライオール教授が好きだからかな?
ナダスディ伯爵夫人に呼び出され、エジプトからの招待状を受けて船旅に出ることになった我らがアレクシア女史。
暴れ盛りの愛娘プルーデンスと、人狼アルファの夫マコン卿、不可思議な帽子が欠かせない親友アイヴィ、そして思惑の見えないマダム・ルフォーら一行が揃えばゆっくりもできない道中である。
そんなドタバタのエジプト紀行と、ロンドンにて調査を進める優秀なベータ・ライオールと新米人狼ビフィの間に起こる意外な展開が同時進行する怒涛の巻。
前巻にて凄惨な過去を明かされたライオール教授ですが、今巻では現在と未来の展望が希望的でほっとしました。チャニング少佐(私は彼も好きです!)はビフィを認めるのに時間がかかるかもしれないけれど、ライオールに新しい支えを、と望んでいたからそのことについては歓迎なのではないでしょうか。
伏線は前々からありましたし、互いの精神状態の安定と傷の回復のためにも、おさまる所におさまったという感じです。
30年後とか、アルファになったビフィに仕えるようになったライオールの様子も含めてスピンオフを書いてほしい!というかライオール教授メインで……どうか……ロマンス入れたら間違いなくBLになるけど(笑)。
また、今巻では、今までの気丈で現実主義者なアレクシアを大いに動揺させる出来事が起きる。投げやりになってしまったアレクシアの姿はあまりに痛々しい。
いつか晩年を穏やかに迎える日まで、夫妻には仲良く喧嘩していてほしいです。
命にかぎりある人間も不死者にも、あらゆる意味で『死』というものを考える時が来る。
愛する人達の死をたくさん眺めて、眺め続けて生きること、それは必ずしも最大の幸せでないかもしれない。不死者はいつ死を迎えるかを自分で決めなければならない。死を不意に与えられることと、自分で決めること、それはどちらがいいかなんて分からない。
マタカラ女王の話を聞いてみたかったな。なんだか大事なところが中途半端だった気がして、それが残念でした。
プルーデンスを主役に据えた、何年後かの話の構想があるそうで、刊行されたらぜひに日本語訳していただいて、またこの世界を見てみたいです。
今年出会った小説の中では上位につけたい、お気に入りのシリーズになりました。 -
アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る (英国パラソル奇譚)
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いよいよアレクシアシリーズの最終巻。
どんな結末になっているやら。 -
原書名:TIMELESS
著者:ゲイル・キャリガー(Carriger, Gail)
訳者:川野靖子