夏への扉 [新版] (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150123093

作品紹介・あらすじ

1970年、なにもかもを失ったぼくは、飼い猫のピートと一緒に"夏への扉"を探しにいくことにしたーー。永遠の名作、新版で登場!

感想・レビュー・書評

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  • 前に読んだ「配達あかずきん」の第4話で『数多いSF名著の中でも、叙情的だが甘すぎず硬すぎず、人気投票では決まって上位をキープする不朽の名作』と紹介されていたので、これはと思って買ってみた。

    皆さんのレビューを見て、初出1956年(!)ということに気がついたが、そこに描かれた未来の姿には夢が溢れている。既に1970年も2000年も過去になってしまったが、今読んでも面白く読めるのだから、当時としてはどれだけモダンな話だったであろうかと思う。
    最初のほうはいく分とっつきが悪かったのだが、ダンがマイルズとベルの二人に騙されたところからがぜん面白くなった。
    冷凍睡眠とタイムマシンを使って二つの時代を行ったり来たり、多少うまく行き過ぎという感じはするが、ダンが自分の知力と気力と行動力をフル回転して望ましい未来を手にしていくまでが楽しめ、読み終わった後もそこはかとなく漂う余韻が心地良かった。

  • 表紙に猫や犬が描かれている本を読みたいと思っていたところ、フォローさせていただいているひろさんが『とても読みやすかった』とレビューを書かれていましたので、読んでみました。
    毎度ながらなのですが、説明が多い第1章について行けず、今回こそ中断しようかな、と思ったのですが、もう少しだけ、と思って読んだら、面白くて一気読みしました。『とても読みやすかった』です。

    猫のピートを最も愛しているダンは、共同経営者である恋人と親友マイルズに、裏切られ、二人に会社を乗っ取られた。傷心のダンは寝て忘れたくてピートと一緒に30年の冷凍睡眠をすることにする。気がかりは自分を気に入ってくれていて、かつ、ピートを可愛がってくれていたマイルズの娘のこと。30年の眠りから覚めたダンは…


    ダンは頑固で真っすぐすぎるところがあります。それが周りを苛立たせもしますが、読んでいてスカッとします。
    11歳のリッキーに注ぐ愛情もダンの真っすぐさとピートをワンクッション置くことで自然に書かれています。

    原作は1957年、翻訳版は1958年が初版。1970年と2000年を舞台に書かれています。出版当時は近未来ものとして面白かったと思います。今読むと、65年前にこういう社会を想像してたかのか、と、比べられるのも大きな魅力の一つです。
    人を信じる気持ちや、猫を愛する気持ちは当時もこれからの未来はずっと変わらないのだろうと思います。ずっと変わらないものを書いているから65年経っても面白く、これからも読み継がれる物語なのだと思います。

    • ひろさん
      ゆうこさん、こんばんは♪
      ゆうこさんも読まれたんだ!と嬉しく、また読みやすかったとのことでホッとしました(*^^*)
      ほんと、出版当時と今と...
      ゆうこさん、こんばんは♪
      ゆうこさんも読まれたんだ!と嬉しく、また読みやすかったとのことでホッとしました(*^^*)
      ほんと、出版当時と今とでまた違う楽しみ方ができますね!
      "ずっと変わらないものを書いているから65年経っても面白く、これからも読み継がれる物語なのだと思います"
      に、とても共感しました( *´꒳`*)
      素敵なレビューありがとうございます!!
      2023/09/09
    • ゆうこさん
      ひろさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      第1章の世界観に入りきれなかったので、ひろさんのレビューを読んでいなかったら、読むの...
      ひろさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      第1章の世界観に入りきれなかったので、ひろさんのレビューを読んでいなかったら、読むのを諦めていたと思います。(SFを読み慣れていないのに三体で頑張ってつらかったんです)。またSFにチャレンジするつもりです。

      この本を読んで、不思議と古さをあまり感じませんでした。
      ひろさんもレビューで書かれているように、大切なものは変わらないんですね。
      またレビューを楽しみにしてますね~♪
      2023/09/09
    • ひろさん
      ゆうこさん♪
      三体は難しそうでしたね。
      それでも頑張って読みきったゆうこさんはすごいなぁと思います(๑>∀<)b
      私もまたSF作品を読みたい...
      ゆうこさん♪
      三体は難しそうでしたね。
      それでも頑張って読みきったゆうこさんはすごいなぁと思います(๑>∀<)b
      私もまたSF作品を読みたいなと思います♪
      ゆうこさんのレビュー楽しみにしていますね~(*´ᗜ`*)⸝
      2023/09/10
  • 映画化の宣伝からこの原作を知り、60年も前の作品ということに、更に興味を引かれる。
    オーソドックスなタイムトラベル物ではあるが、ワクワクドキドキで、最初から最後まで本当に楽しい。
    主人公のダメダメなところもまた、面白い。
    親友と恋人に裏切られ多くを失うが、また人を信じる。
    人間という生き物は、やはり一人では生きていけない。
    終盤、主人公のダニーは、ジョンとジェニー夫妻を信用し、助けてほしいとお願いする。
    …ぐっとくるシーン。
    映画は、年代や舞台となる街も違うようだか、きっと面白いだろう。

  • そう言う訳か、、、

    山崎賢人「夏への扉 ―キミのいる未来へ―」2021年2月に公開決定、初映像も到着 - 映画ナタリー
    https://natalie.mu/eiga/news/399113

    夏への扉〔新版〕 | 種類,ハヤカワ文庫SF | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014711/

  • SFとしては古典中の古典。好きな作品ですが、今一歩主人公の言動等に共感しきれなくて長い間再読しませんでした。2021年になんと、日本で映画化されて、過剰な期待をせずに観たら大傑作に仕上がっていました。観てない人には超お薦めです。1990年代以降の日本に物語がアップデートされていて、原作にある主人公の性格的なエグ味も、上手に抜き取ってあります。原作では主人公の一方的とも思えるヒロインへの感情も、なるほどと理解できます。原作のあるSF作品を、ここまで上手く映画化したスタッフの手腕に感謝です。欲を言えば、エンディングでは山下達郎のアルバム「Ride on time」に入っている「夏への扉」を流して欲しかった!

  • 内容的に言えば、現代で読むと感想が「普通・珍しくないな」になってしまう。が、忘れてはいけないのは【60年も前】に書かれたものだということだ。文化女中器においては少しでも女性の家事全般の負担を減らす目的で作られたという着眼点に驚いた。当時からそういった価値観なのか、それとも著者の考えなのかは分からないが当時の日本でこれを読まれた読者はどう感じたのだろうか。

    あとはピートがもっと出てくるのかと思ったけど、あまり出番がなくて残念だった。

  • 1958年初版の古典SFで、ファンの中で常にベスト3にランクインする名著を読んでみた!

    んーーー面白!!

    胸が躍るような近未来の描写に加え、魅力的な主人公、二転三転ののちの伏線回収。
    物語そのものが面白かった!

    冷凍睡眠で30年先の未来へ。
    そしてタイムマシンでもう一度30年前の過去へー

    未来の世界で起こった不可解な出来事の起因が、過去パートでしっかり回収されていく。
    そして全てがもともとそうであったかのように
    ピッタリとパズルのピースがはまり、これ以上ないハッピーエンドへと動き出す。

    長年愛されるのも納得の一冊!!


    ◉主人公の人間味がよい

    ダンは生粋のエンジニア。
    自分の手で役に立つロボットを作り出すことが生きがい。
    人間は嫌いだが、設計図は何時間だって眺めていられる。相棒はケンカっ早い雄ネコのピートだ。

    家事を楽にするメイドロボ【ハイヤーガール】を世に生み出し、会社を作り富を得るが…

    彼は一緒に会社をやっているマイルズとの意見が合わなくなり、婚約者ベルの悪だくみによって会社を解雇されてしまう。
    もう発明品を作り出すことも叶わない。
    手元には退職金とハイヤーガールに関する株券のみ。

    全てに嫌気がさしたダンは、マイルズとベルに一泡吹かせてから【冷凍睡眠 コールドスリープ】し30年後の未来・2000年に行く決心をする。


    ---------------------------------

    私は、このダンの偏屈おじさん感というか、不完全な感じがたまらなくよかった。
    恋愛経験に乏しいので、金銭目的で近づいてきた美女、ベルにメロメロになってしまう。

    猫にジンジャエールを隠れて飲ませて、店の人に見つかりそうになったら逆ギレする偏屈おじさん…

    しかし妙に勇気があると言うか肝が座っていると言うか、行動に迷いがない。

    こういう物語の場合の主人公って、
    もっと爽やかで正義感があって
    逆に言うとそれが物語の邪魔にならない
    そんなタイプのものをイメージしていたのだけど、
    そうじゃないのが良かった!



    様々なロボットが活躍し、滑走道路や重力制御、時間旅行が可能になった2000年の未来。

    今現在そうなっていないのが少し残念ではあるけれど、最後はダンとピートが幸せになる終わり方で本当によかった。

    ダンのこのセリフがハインラインからのメッセージのような気がして、心に残った。

    【そして未来はいずれにしろ過去に勝る。

    誰がなんと言おうと、世界は日に日に良くなりつつあるのだ。】

  • よく見る名作をようやく読んでみた。昨年末出版されたばかりの一番新しい版。
    翻訳物を久しぶりに読んだためか、入り込むまでに少し時間がかかったけど、一度入り込んでしまうと一気にのめり込んだ。
    これが65年も前の1956年に出た本だとはとても信じられない。そのくらい今読んでも全然違和感がないし、鮮やかな展開で、何より読んでいてワクワクするSF。未来へ行ったり過去へ戻ったりする描写は、なんとなく「ドラえもん」を観ているようだったし、主人公が発明するロボットの描写では現代のルンバやペッパーくんを思い浮かべた。
    それにしても「冷凍睡眠」で歳を取らないまま指定した未来へ行けるのはいいとして、トウィッチェル博士のタイムマシンは未来へ行くか過去へ行くか分からないなんて恐ろしすぎる賭け。
    この本を読んで一番嬉しかったのは、「未来はいつだって現在よりずっと良い」「世界は日に日に良くなりつつある」と確信を持って言い切っているところ。あとは「神が与えた体と頭脳で人間が行うことに、パラドックスなどあり得ない」という言葉も印象的だった。なかなか未来に対して希望を持ちにくい現代において、このポジティブで強い言葉をお守りのようにしたいと思った。

  • 1956年に発表されていた作品だったとは…。
    30年という歳月は残酷…だな。30年後のベルが出てくる場面からは一気読みでした。
    あの場面がこう繋がってこうなって…と伏線が回収されていく様が面白かった。
    未来は明るい!といいな。

  • 初めてのSF作品。読む前は初めてのSF作品だし翻訳されたものだったから、ちゃんと物語に入れるのか心配だったけれど、そんな心配は全く必要なかった!

    面白くて次の展開が気になりすぎて、気が付いたらこんな時間になってたってくらい、この物語に没頭した。

    マイルズとベルのせいでダンとピートが一緒に冷凍睡眠できず、未来に行ってもピートの行方がわからなかったからものすごく悲しくなって、それと同時に2人を許さない!って気持ちにもなった。
    これからダンは2人にどんな復讐をするのかなってワクワクしてたら、マイルズは1972年に亡くなってるし、ベルは変わり果てた姿になってるしでダンが復讐するまでもなかった。
    じゃあこれからどういう展開になるんだろう?ってページを捲る手が止まらなかったし、ここからの展開が本当に読んでいて気持ちよかった!
    伏線がとても素晴らしかった...読むの楽しすぎるやろ...。

    最後はとにかくハッピーエンドだけど、最初のダンがあまりにも可哀想で、特にピートと離れ離れになってしまったのが個人的には辛かったからハッピーになってくれてよかった。

    他のSF作品も読んでみたい!

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