新版 日本人になった祖先たち―DNAが解明する多元的構造 (NHKブックス No.1255)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140912553

作品紹介・あらすじ

DNA人類学の第一人者が明らかにした衝撃の事実。従来の「縄文人と弥生人の混血で日本人が生まれた」説が覆される! ロングセラーとなった初版に、革命的新技術「核ゲノム分析」による大幅な進歩の成果を惜しみなく盛り込んで、バージョンアップした完全版刊行。日本列島人の多様なルーツが今、明らかに!

感想・レビュー・書評

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  • ボヤッとしか理解できていないと思うものの、母から子のみに受け継がれるミトコンドリアDNAと父から息子にのみ受け継がれるY染色体のDNAなどを古代人の人骨を中心に分析し、集団としての人類のルーツを探る手法がとても鮮やかで感動した。また言語学など学問分野を跨ぎ学際的に研究する有効性も実感した。

    私自身は、縄文人がいて、渡来人が入ってきて、日本ができた、という図式を無批判に受け入れていたが、実際には長らく小さな単位で生き、遺伝的多様性を持っていた縄文日本に、農業技術を持った渡来人が移住後に人数を増やし子どもたちが開拓し農業集落を拡大するなかで、交易などで平和的に在来の縄文人と関わり、遺伝子を取り込み、またその広がりが支配的になる前に別の渡来人も来ていて交わっていった様子を想像した。
    また琉球人も単純に縄文人が生き続けたのではなく、ルーツを同じくする人がいたところに本土日本人がきて集団が形成されたであろうこと、アイヌ人は沿海州の人の遺伝子を取り込んでいることなど、単純な図式でないことが印象的だった。

  • DNA解析。沖縄の日本人よりも、本州の日本人の方が大陸の漢民族に近い。大陸漢民族、日本本土人、琉球の人、という距離関係。琉球の人は漢民族よりも日本本土人に近い。

  • 日本列島に住む人間は、どこからやってきたのか。朝鮮半島、中国、南方の人々とはどうつながっているのか。分子遺伝学の最新の解析手法を駆使して、「日本列島人」形成のプロセスに迫る。新たな事実を盛り込んだ新版。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40296393

  • DNA人類学の第一人者が明らかにした衝撃の事実。従来の「縄文人と弥生人の混血で日本人が生まれた」説が覆される! ロングセラーとなった初版に、革命的新技術「核ゲノム分析」による大幅な進歩の成果を惜しみなく盛り込んで、バージョンアップした完全版刊行。日本列島人の多様なルーツが今、明らかに!
    第1章 遺伝子から私たちのルーツを探る
    DNAの変異を利用する個人鑑定
    先祖をさかのぼるということ
    分子人類学の誕生
    拡散と移動の諸相
    第2章 アフリカから世界へ―DNAが描く新人の拡散
    現生人類は4グループに分かれる
    多くの突然変異を持つアフリカ人
    最初にアフリカを旅立った集団
    出アフリカ2つのルート
    第3章 DNAが描く人類拡散のシナリオ
    拡散の跡を探る
    歴史を再現することの難しさ
    ヨーロッパにおける狩猟採取民の系統
    ヨーロッパ人の遺伝子を一変させた牧畜民の流入
    第4章 アジアへの展開
    第5章 現代日本人の持つDNA
    各ハプログループの起源地と拡散の推定
    第6章 日本人になった祖先たち
    日本人起源論の系譜
    二重構造説の問題点
    歴史時代の日本人
    第7章 南北の日本列島集団の成り立ち
    多民族集団としての日本れっぽうの歴史
    ダスク時代のDNA
    北海道先住民の成立史
    第8章 DNAが語る私たちの歴史
    国家の歴史を超えて
    これからの社会と私たちのDNA

  • 著者ご自身の研究成果報告書の方がわかりやすいです。

    全ゲノム解析法を用いた縄文人と渡来系弥生人の関係の解明
    https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-25251043/25251043seika.pdf

    弥生人と同時代の朝鮮半島集団の遺伝子とは比較していないため結論が出ていません。

  • 2022.08―読了

  • ☆西の縄文人が東進して東北・北海道の縄文人に。しかも、その遺伝子は現代人には1,2割のみ。さらに、弥生時代は九州で在来縄文人との混血が始まり、現代日本人の祖先集団は、水田稲作の拡大とともに東進。

  • 科博人類研究部長による2007年に出た本の大幅改訂本。現代日本人のミトコンドリアDNA、Y染色体DNA、核DNAを分類してそのハプログループがアフリカを出てからどのようなルートで日本までたどり着いたのかを古代人骨のDNAの分析から丁寧に解説。13年前の時点では、まだ現代日本人のサンプル数も少なく、Y染色体も少なく、古代人骨から核DNAを取り出すのも大変、という話だった記憶なのが、この10年のデータの蓄積ぶりの凄さに感心した。

  • 【メモ】
    ・改訂されたヴァージョン。

    ・版元サイトには新版のページが見当たらない。
     旧版(2007年)
    https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000910782007.html

    ・旧版は売れたらしい。

    ・蛇足だが、ウィキペディアには「日本人」という片面的な記事がある。そこには人類学的な記述も少々含まれている。


    【簡易目次】
    第1章 遺伝子から私たちのルーツを探る
    第2章 アフリカから世界へ―― DNAが描く新人の拡散
    第3章 DNAが描く人類拡散のシナリオ
    第4章 アジアへの展開
    第5章 現代日本人の持つDNA
    第6章 日本人になった祖先たち
    第7章 南北の日本列島集団の成り立ち
    第8章 DNAが語る私たちの歴史

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著者プロフィール

篠田謙一

1955年生まれ.京都大学理学部卒業.博士(医学).佐賀医科大学助教授を経て,現在,国立科学博物館館長.専門は分子人類学.
著書に『DNAで語る日本人起源論』『江戸の骨は語る――甦った宣教師シドッチのDNA』(岩波書店),『新版 日本人になった祖先たち――DNAから解明するその多元的構造』(NHK出版),編著に『化石とゲノムで探る人類の起源と拡散』(日経サイエンス)などがある.

「2022年 『人類の起源』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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