- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140911884
作品紹介・あらすじ
二〇一一年のアラブ諸国を覆った民衆運動は、「自由・法の支配・豊かさ」への普遍的な欲求から生まれた。好調に見えた民主化はバーレーンで頓挫し、シリアで膠着する。なぜか?ここには中東の政治力学が垣間見えている。デモを弾圧しながら大国化の一途をたどるイランと、民衆を手なずけて王制を維持する湾岸諸国との対立があり、イランの核開発に憤るイスラエルと、手を焼くアメリカがいる。イラク戦争を経た諸国の社会情勢を丹念に追い、生成しつつある勢力構図をあざやかに描き出す。
感想・レビュー・書評
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【要約】
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【ノート】
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最初は読みにくかったが面白い。「自由・法の支配・豊かさ」を求める中東の人々と近代化の課題などが書かれています。
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おれの頭が悪いのか、文章が読みにくいと感じた。けれどアラブ世界、トルコ、イランと中東を網羅して事情を説明しており、アラブ世界も国ごとに異なる国情の解説が充実。さらに各論ごとに中東の情報源を挙げてくれてるので今後の自学に役立つ。
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中東と一言で言うが各国は国内も複雑だが、各国間の事情も複雑であり、激動が続きそうだ。
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中東はアラブ、ユダヤ、イラン、トルコがある(これも大雑把)。
イランが素晴らしい歴史を持っていて欧米の都合で悪者扱いされることに対して憤りを感じる点は共感できなくもない。
でも、それはお互い様。
歴史を認識したうえで恨みつらみを乗り越えて平和を築く。
それは若い世代にこそ期待されること。
日本ができること技術協力。
わたしにできること、公平な目で中東を見ること。 -
オバマ大統領はコストのかかる新たな軍事的任務を中東において引き受けないと宣言した。
アメリカは自国の利益にかなった中東秩序を維持するために独裁政権を支えながら民主化を要求するという矛盾にみちた伝統的スタイルから離れようとしている。
エジプトの民主化と中東地域安全保障という背馳しがちな2つの目標を実現するには、パレスチナ問題を法と正義に基づいて解決することによってアラブ市民の信頼を広く獲得することが不可欠である。
カダフィーはヒトラーかスターリンのようなもの。
イスラエルの基本立場は、核を持つイランとの共存はできない。イランが核武装するとシリア、サウジアラビア、ヨルダン、エジプトも核開発競争を加速化させ、イスラエルは核の脅威に包囲される。 -
中東の最近の政権の交代、あるいは、シリアの泥沼化など、中東の状況は、中東に石油を大きく依存する日本にとって気になる。
山内先生は、中東問題の大家。今年の3月で東大を退官されるらしい。
これまで読んだ、中東本は、大部分が事実を述べているが、この本は、アメリカとの関係、日本との関係から、大きく、中東問題を分析している。
(1)(これからの中東の対立軸は)アラブ対イスラエルの政治対決が基本座標であるが、スンナ派アラブの支配エリートにとっては、テロとの戦いにおける穏健派対テロ勢力、イランが影を落とすスンナ派対シーア派という対立こそ無視できなくなっている。(p188)
(2)2010年9月に日本政府と国際石油開発帝石は、イラン南西部のアザデガン油田開発から完全撤退する方針を決めた。米政府の制裁措置対象に国際石油開発帝石が含まれる可能英た高かったため。(p230)
(3)日本経済の生命線であるホルムズ海峡をテロや海賊から守るには、オマーンとの関係の戦略性を重視する政策が求められる。(p240)
アラブの春が、日本とっていい結果になるとはわからないという立場から、冷静に中東の政変と日本の関係、米国との関係を分析している。
骨太な名著。