おとなの教養3: 私たちは、どんな未来を生きるのか? (NHK出版新書 650)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886502

作品紹介・あらすじ

教養とは、「過去を未来に生かす力」です。

気候変動にパンデミック、データ経済とDX、人種・移民問題、米中新冷戦からポスト資本主義まで――。これからの世界を左右する6つのテーマについて、歴史やサイエンス、経済学の教養にもとづき、「そもそも」から講義形式でわかりやすく解説。累計45万部突破『おとなの教養』シリーズ(NHK出版新書)の最新刊。ニュースで取り上げられる問題の本質が見えてくる!

感想・レビュー・書評

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  • 池上さんの本はとにかく読みやすく世界情勢をあらかた知るのに手っ取り早いので、よく読んでいます。

    この本は比較的「広く浅く」触れている気がします。
    「知らないと恥をかく世界の大問題シリーズ」の方が、毎年更新されていて各章より深掘りされているので、最新の考察を追う時はこちらのシリーズを読んだ方が良いと思います。

    今回は目次を読んで気になった
    第三章 データ経済とDX
    第五章 人種・LGBT差別
    をピックアップして読みました。


    DXに関してはメリットは勿論のこと、普遍的に広まることのデメリット(DX先進国で現在起きている問題)についての考察が興味深かったです。
    DX先進国の中国やアメリカで起きている、個人データの取り扱いに関する問題や監視社会の問題、法律や人権の問題に触れています。

    DX後進国の日本がこれから出来ることは、DX先進国の政策や柔軟性を見習いつつ、今起きている課題を自国なりに未然防止していくことが大事だと思いました。

    「データが集まらないとデジタル化は進まない。しかし、データを簡単に集められるようになってしまうと、個人データの保護がおろそかになります?この二律背反を乗り越えるためには、国や企業と人々との間の信頼関係が必要です」

    すごく難しく繊細な課題だと思います。
    信頼関係をどう構築するか、データの使い道や個人データをどのようなシステムで保護するのか等、丁寧な説明を繰り返し訴えることも一手だと思います。


    人種差別問題に関しては、特に昨今のBLM運動を中心に考察されます。アメリカの民主党、共和党のLGBTに関する姿勢の違いには驚きました。これほど真逆の対応とは。またアメリカでは今後白人が少数派になっていく未来があると知り、そのデータや宗教的観点の根拠説明を読み納得しました。

    「多様性」が世界中で謳われていますが、アイデンティティを守りたい無意識のバイアスとどう向き合っていくかに焦点が置かれると思います。

    「さまざまな人種や民族、性的指向の人など、多様な人々が自分のコミュニティに住んでいて、日常的に接する機会が増えれば、差別意識はかなり薄くなっていく可能性があります」

    埼玉県蕨市のクルド人コミュニティの話も、以前メディアで観たことがあり興味を持ちました。
    どういう経緯でクルド人コミュニティが蕨市に出来たのか、共生していく為にお互いがどのように歩み寄っているのか気になる所です。

  • 現代社会の諸問題の歴史期的な背景が分かりやすく書かれている。テレビのニュースでは省かれがちなところを補うものとしては丁度いい。ただ、高校世界史の教科書レベル以上のことは特に書かれていないので、それ以上の情報が知りたい人は本書の最後にある文献案内を参考に、各テーマについての本を読んでみるのがよいかもしれない。

  • 池上さんが青山のNHK文化センターで行った講義をもとに
    書籍化したもの。

    1気候変動ー地球はもう限界なのか
    2ウィルスと現代社会ー人類は感染症を克服できるか
    3データ経済とDX(デジタル・トランスフォーメーション)ー生活や仕事はどう変わるのか
    4米中新冷戦の正体ー歴史は何度も繰り返すのか
    5人種・LGBT差別ーアイデンティティ政治とは何か
    6ポスト資本主義ーなぜ格差や貧困はなくならないのか

    池上さんの本をいろいろ読んできて、
    全く初めてきいた事件もありましたが、
    今回はすべて馴染みのあるもの
    そして詳しく説明してもらって
    そういうことだったのかと知ります。

    また、コロナの影響で改めて考えさせられます。
    こういうことです。

    1コロナ禍で経済活動が一斉に止まった結果、
    皮肉なことに世界の自然環境は改善されました
    2コロナ禍で、あらためてウィルスについて注目が集まりました
    3コロナ禍で緊急時代宣言が出て在宅勤務が推奨されたのに、
    十分な対応ができなかった組織が続出し、
    日本社会のデジタル化の遅れが露呈しました
    4コロナ禍で世界経済が落ち込むなかで、
    中国だけはいち早く経済が復活し、
    中国を脅威とみなすアメリカとの間での緊張が高まっています
    5コロナ禍で死者が激増していたアメリカでは
    黒人差別が大きな問題になりました
    6コロナ禍で一番被害を受けたのは低所得層でした。
    ウィルスは”平等に”人間に襲いかかっても、
    被害の程度は所得と大きな関係があるのです。
    格差拡大の資本主義は、どうあるべきなのか

  • 未来をどう生きるかに焦点を当てた一冊。

    コロナやデジタルトランスフォーメーション、アメリカの移民問題など話題は色々なありますが、1番、考えさせられたのが気候変動の問題でした。日本がかっては環境技術では最先端を行っていましたが、中国が先頭に立っていると言うのは驚きでした。考えてみると10億を超える人口や政治体制などを考えると、危機感が高いのが中国であるのは当然の結果と思いました。アメリカとの確執もあるかもしれません。

    差別問題などで揺れる中国だけでなく、アメリカでも国人差別やトランプ政権の負の遺産の様なものも含めて問題は根深いですね。それでも人は学習しながら変化していくのでしょうか。

    コロナ禍は富める者も、そうでないものも平等に目の前に現れる。そこでも、リモートワークができる者やそうでないものでリスクが異なってくる。
    平等と言う理想は尊いですが、不平等であることが当たり前の社会になってきている事。ベーシックインカムの話がありましたが、仕事が限定されることで、仕事に就くものと就かないもので、格差はより大きくなるのではと感じました。

  • シリーズの第3弾です。

    とは言いましても、巷に溢れる「教養本」に
    あるように、「これを知っておきなさい」と
    いう内容ではありません。

    「今、世界はこうなっています。そこで君た
    ちはどんな未来を目指しますか?」という問
    いかけを与えています。

    特にコロナ禍で執筆された本書は、未来とは
    現在の延長ではないことがハッキリと示され
    たのです。

    未来は不確実であり、「どう生きるか」が大
    切であると教えてくれる一冊です。

  • わかりやすい

  •  『知ら恥』シリーズを読んだので、本書のトピックはどれも馴染みがあった。教養という語からイメージする内容より、最近の時事問題についての解説といった感じ。この中ではDXと新型コロナについては、特に掘り下げた本を読みたい。台湾のように過去の失敗から学び、教訓を活かせる国になって欲しい。

  • そういえばよく分からん、という時事問題を簡単な歴史的経緯を踏まえて解説してくれるので、とても分かりやすい。

    環境問題に対する各国の対応(技術進度の差)、
    マイナンバーカードの失敗理由、
    米中対立の経緯、
    ベーシックインカムのメリットデメリット
    等々。

  • どの章も学びが大きいですが、とくにポスト資本主義の章がわかりやすかった。経済学者の宇沢弘文先生の「社会的共通資本」という考え方はこの本を読んで初めて知りました。宇沢弘文先生の本も読んでみたいと、刺激を受けました。

  • ★今、知るべきことがちゃんと押さえられている。
    気候変動、ウイルス、データ経済、米中新冷戦、人種・LGBT差別、ポスト資本主義
    さすが池上さん、読みやすい。

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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