独裁の世界史 (NHK出版新書 638)

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  • NHK出版
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886380

作品紹介・あらすじ

独裁者が消えないのは、なぜだ?

なぜプラトンは「独裁」を理想の政治形態と考えたのか? 独裁者の台頭を防いだ古代ローマの知恵とは? 革命家ロベスピエールはなぜ独裁者と化したのか? 古代ローマ史の泰斗が2500年規模の世界史を大胆に整理し、「独裁」を切り口に語りなおす類例なき一冊。悪政に抗う知恵は歴史に学べ!

感想・レビュー・書評

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  • 独裁は絶対悪なのかを歴史を紐解き考察している一冊。
    これまでの独裁政、民主政、共和政について詳細に解説され、それぞれの可能性を検討しています。
    得手不得手や安全危険は各々にあり、独裁について感情で否定せず理性で理解することが重要に思えました。
    古代ローマの期限付き権力者の独裁官のような仕組みは、非常・緊急事態ではとても有効と考えます。
    負の歴史の印象が強すぎるものですが、常に平和ではない今はまさに再認識と再検討の時期ではないでしょうか。
    皆でよく話し合うべき課題です。

    • kuma0504さん
      こんにちは。
      難しい問題ですね。「銀河英雄伝説」でも繰り返し出て来ます。
      数人が理性的になっても周りがならない。
      コロナ禍で改めて思いました...
      こんにちは。
      難しい問題ですね。「銀河英雄伝説」でも繰り返し出て来ます。
      数人が理性的になっても周りがならない。
      コロナ禍で改めて思いました。
      何処が感染源だったか、必ず突き止める。それとは言わないが、彼らが悪かったのだと噂する。

      そう言う空気が独裁を育てたのだと、日本の歴史は語っています。
      ロックダウンを素早く断行したドイツ・メルケル首相は独裁者なのか?「旅行および移動の自由が苦労して勝ち取った権利であることを実感している私のようなものにとっては、このような制限は絶対的に必要な場合にのみ正当化されるものです」という言葉の重み。軽々しく、全学校の登校禁止を「断行」した某首相とどう違うのか。
      2021/02/18
    • 探耽(たんたん)さん
      kuma0504さん

      こんばんは。
      『銀河英雄伝説』では絶対君主制と立憲民主制の善し悪しが描かれていますね。
      どちらも正しく、誤りもあると...
      kuma0504さん

      こんばんは。
      『銀河英雄伝説』では絶対君主制と立憲民主制の善し悪しが描かれていますね。
      どちらも正しく、誤りもあると思います。
      人類にとって完成形となる制度はまだ発明されていないのでしょう。
      メルケルは東ドイツ出身なので、秘密警察シュタージに酷く自由を奪われていたはずです。
      西ドイツを含む先進国で謳歌されていた権利がどれ程の価値を持つのか、彼女は人一倍実感しているのだと思います。
      メルケルの必要とされる苦渋の決断は独裁ではなく英断と呼べるものではないでしょうか。
      日本の場合、あれが熟慮されずに何となくやパフォーマンスで断行されたものだとしたら、それこそが独裁に思えます。
      2021/02/18
    • kuma0504さん
      探耽さん、こんにちは。
      その通りだと思います。
      日本のこの間の対応については、昨日までに一冊本を読んで確信を深めましたが、もう一冊読もうと思...
      探耽さん、こんにちは。
      その通りだと思います。
      日本のこの間の対応については、昨日までに一冊本を読んで確信を深めましたが、もう一冊読もうと思っています。
      2021/02/19
  • ロシアのウクライナ侵攻のタイミングで読んでみた。独裁について、ギリシアとローマ、そしてロシアやドイツについて説明している。私は、独裁=悪い というイメージは持っていない。政治体制のひとつであり、民衆が求める独裁もあれば、権力者が暴走した結果の独裁もある。日本だって安倍総理大臣の時代はほぼ独裁といってもよいだろう。結局、よきリーダーがよき政治をするのにつきると思う。ロシアが独裁政になる原因は歴史からも分かる。そして、独裁を含めて共和政や民主政でよりよき政治を行うには、あらゆる政治体制を経験したローマや1000年以上も共和政を維持したヴェネツィアの歴史を知るべきだと強く思った。

  • 2021-04-16 amazon \499-

  • 独裁を含む様々な政体について、古代ギリシャローマと近代ヨーロッパを元に考察しています。
    要するに民主制でも貴族政でも独裁制でも、結局のところリーダーの素質と言わんばかりの結論で、まぁそれは納得です。

    気になるのは、古代と近代のヨーロッパだけの考察でよいのかということで、中国皇帝や現代の開発独裁、選挙を利用した民主独裁についても触れてほしかったように思えます(本村先生は古代ローマ史が専門なので、東洋史まで話を広げるのは困難かもしれませんが)

  • 古代ギリシャ、ローマから中世ヨーロッパ、近代までの独裁体制の歴史を追っている。カタカナの名前が多くて読みづらいジャンルだが、かなり読みやすく書かれている。要所で「繋がり」を重視して書かれているからかも。

    独裁=必ずしも悪とは言えず、民衆がそれを支持したがゆえの体制が人類史で何度も繰り返されてきたことがわかる。先人達が長い歴史の中で、時に痛い目に遭いながら理想の政治体制を知恵を絞って構築してきた努力に頭が下がると同時に、同じ過ちを何度も繰り返してきてもいる。

    独裁を支持する国民の心境には、「強力なリーダーシップに引っ張ってもらう」中で「考えなくて良い」楽さがあることを指摘している。デジタル技術が発達してきて人間の生活を楽にしてくれる可能性があると同時に、それをうまく使いこなす必要があると結んでいる。

  • 独裁自体は決して悪いものではないというのが、目鱗だった。共和制、民主制、独裁制、結局、国家や人心が落ち着くのであれば、それが正しい。しかし、1人の人間が強い権力を持ちながら、長い期間正気を保ち続けるのは難しいのだとも思う。

  • 独裁というテーマで世界史をグローバルヒストリーとして捉えた視点は面白いが、知的好奇心をくすぐられる知見はあまり得られなかったかな

  • 独裁制、民主制、共和制などの政治体制に
    ピックアップして世界史を断片的に解説され、
    とても楽しく読める本です

    それぞれの政治体制の共通点や相違点などが
    はっきりと分かり、今日の各国の政治体制と
    比較しながら読むとなお理解が深まると思います

    特に、独裁制に興味がある人、独裁者になりたいと思っている人、「進撃の巨人」のマガト隊長が好きな人にオススメです!

  • 東2法経図・6F開架:313.8A/Mo86d//K

  • 共和政、独裁政その2つを軸に論理が展開されていく。

    その相反する2つの政治形態が、実は相互に絡み合っていることに、驚きを隠せない。

    最終章ではデジタル独裁について、記載されていた。

    このパンデミックの中で、人と人とのコミュニティが薄れていくことで、実はデジタル独裁に近づいているのか?と考えてしまった。

    歴史を学び、教える立場として、社会の変化に対応し、道を示すこの歴史学を大切にしていきたい。

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著者プロフィール

1947年 熊本県生まれ
1980年 東京大学大学院人文科学研究科博士課程(西洋史学)修了
現在 東京大学名誉教授
西洋古代史。『薄闇のローマ世界』でサントリー学芸賞、『馬の世界史』でJRA賞馬事文化賞、一連の業績にて地中海学会賞を受賞。著作に『多神教と一神教』『愛欲のローマ史』『はじめて読む人のローマ史1200年』『ローマ帝国 人物列伝』『競馬の世界史』『教養としての「世界史」の読み方』『英語で読む高校世界史』『裕次郎』『教養としての「ローマ史」の読み方』など多数。

「2020年 『衝突と共存の地中海世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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