つながりの作法 同じでもなく 違うでもなく (生活人新書)

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883358

感想・レビュー・書評

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  • 「人と違う事の自覚」は、基準と自らの差を理解し、一方を正しいと思い込む事から生じる。ならば、正しさは理解できており、その通りに振る舞えば良いのだろうが、そう、できない。あるいは、人に指摘されて初めて自覚する。そんな生き難さを感じる著者。アスペルガー症候群と身体障がい者。生きる難しさは、よくわかる。人と同じように行動したり、言葉を理解し合うのは、いつだって難しい。ボーっとしていても話は進むし、かと言って同じ事を繰り返し言われているようで、そう感じてしまうと注意力は続かないし。油断してボーっとすると、隙をついて重要な事が述べられていたりするのだ。

    そんな事を繰り返すと不安になるだろうし、更にできない自分を自己暗示し、強化学習してしまい、泥沼化。グループカウンセリングや当事者研究は、そうした自己意識を加速させないのだろうか。どんどん自分自身を規定してしまう気がする。

  • 第六章「弱さは終わらない」は、すごかった。
    綾屋さんのぐるぐる沼感。
    (そこまでは、淡々と当事者としての自己分析でわかりやすい。別にアスペルガー症候群の当事者でなくてもわかるところもある。)

    第六章はなかなか生々しく、これはこれでそういうことなんだろうなと思った。
    としか、言えない
    「誰にも言えない」から「私には話さねばならぬ責任がある」へ。
    「相手に迷惑をかけたくない」「相手をいやな気持ちにさせたくない」と思って話せないでいるのに、そうして黙り込むことこそが加害行為になってしまうと。

    話すのは怖いけど、沈黙の暴力をふるわないために、私には「話す」責任がある。そこまで来てようやく、人に打ち明けることができると。

    傷つきが深いほど、人は何度も同じことを話さないと良くならないとか、結局ユングだなー。
    中井久夫の訳も本に出てきてなんだか、おーと思う。

    決してマイノリティのための本ではなかったと思う。
    ぐるぐるモードと、あたふたモード、すいすいモード

    777のスイスイ人を思い出した。

    熊谷さんのあとがきもよかった。
    一人で傷つきを抱えこまないこと。そのための一つの方法が当事者研究。

  • 自立とは依存先を増やすこと。熊谷が言ったこの言葉を深堀できるかと思ったが、話の内容が難しく読み解くことが出来なかった。
    自分が苦しい時に人と繋がる方法は様々。これが正解という繋がりはない。ただ自分自身が自分を語る言葉をもって相手に伝えられる関係性が重要なんだと感じた。

  • 私と似通った特性の綾屋紗月さんの当事者研究、パートナーの熊谷氏との共著。
    自らの特性を深く追求し、研究し続けるさまに、頭が下がります。
    多くの発達特性の人は、自らのセルフモニタリング能力が難しい中、綾屋紗月さんは、当事者研究に立ち向かっている生き様に、あこがれをいだきました。
    私のこれからにも、
    当事者研究のスタートラインに立てたように思えました。文中のなかの、独特な表現に、「わたしも、あるよな〜で、おうちで、ぐったり」とうなずける部分あり。
    熊谷氏のつながりの研究にも、頭が下がります。
    当方、福祉の仕事についているため、利用者様に寄り添い、ただつかずはなれずてきにも、支援しようと学びの機会になりました

  • 抽象的で難しい本だった。
    綾屋さんのあまりに細かな語りには、なぜか同族嫌悪的な苛立ちも感じた。(ここは言語化が難しい)
    終盤にある「話さねばならない責任」というくだりが胸に沁みた。問題を開示せず不機嫌に振る舞うことは相手を脅かす。沈黙は加害行為。
    その後の何度も話すことを肯定する引用の一文も好きだ。「同じ話ができるようじゃないとよくならないわよね」

  • ある方からお借りした。
    かなり興味深い内容だったので、注文。(地方都市の本屋には、残念ながら在庫がなかった……)

    綾屋さんの本は『前略、離婚を決めました。』も違う方からお借りして読んだが、合わせて購入に値する本だと思う。

    発達障害を持つ綾屋さん、脳性まひを持つ熊谷さん共著で、それぞれの視点からのコミュニティに対する考えが読める。
    影響し合い、まとめられた二人の意見は大変参考になる。

  • 「個々人の差異はそのままに、同時に差異を超えた共感と合意を立ちあげる」これがなかなか実現できないのが実際の社内であり、だからこそ諦めずに追求していく大きな価値がある課題。

  • アスペルガーと脳性まひを「つながりにくさとつながりすぎ」で表現するのが面白いなぁと思った。また、生きづらさを感じた人間が、自身の仲間を見つけることによって自分の存在を再認識して、そこのグループでまた疎外感を感じるようになるという流れがあること発見だった。最後の部分にある自閉症が1970年代から増えているっていうのは元々単純作業なら出来ていた人が、サービス業や複雑な作業をする割合が増えてきて、生活に支障が出る人が増えてきたのかなと思った。生きづらさを抱えているけど病名がついていない方にも読んでもらいたい。

  • 「中動態」からこの本へたどり着いたのだが、何か少しつながった感触がある。

  • とてもツラい時期にこの本に救われた。(お二方と同じ状況、境遇なわけではないけれど)わたしの孤独をわかってくれるひとがここにいたんだ、と。当時、暗くて出口のないトンネルを歩き続けているような日々だったけど、この本が理解者として優しく寄り添ってくれた。いまでも読み返すと涙が止まらない。

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著者プロフィール

東京大学先端科学技術研究センター特任講師

「2023年 『当事者研究の誕生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綾屋紗月の作品

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