百歳日記 (生活人新書)

  • NHK出版
4.10
  • (21)
  • (15)
  • (14)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 159
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883327

作品紹介・あらすじ

童謡「ぞうさん」で知られる詩人まど・みちお。老いてなお、果てなく自由な感性の源はどこにあるのか。身辺の小さな発見を書きとめたノート、入院を機に再び描き出した絵を引きながら、百歳の日々を語る。静かな感動を呼んだドキュメンタリー番組、NHKスペシャル「ふしぎがり まど・みちお百歳の詩」書籍化。「地球の用事」「リンゴ」「れんしゅう」「トンチンカン夫婦」ほか詩一七篇を収載。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 〈本から〉
    「幸せ」
    現在を肯定的に見ることができる人は幸せだと思います。
    (略)
    明るいきもちでいたいのです。
    (略)
    無理をしているという気持ちなしに明るくしたいといつも心がけています。また、ユーモァのある明るいものを書いていると、私も楽しくなるのです。
    (略)
    生き物全てにいえることですが、幸せというのは心が穏やかで和やかな時だと思います。
    (略)

    「トンチンカン夫婦」

    「れんしゅう」

    「無限のいのち」

    「万有引力」

    「虹」
    (略)
    虹は本当に素晴らしい。その真下に赤ちゃんを抱っこしたお母さんがいるとなお素晴らしいなと私は思います。そういう、お母さんが子どもにおっぱいをあげているようなやさしさというのは、人間だれしもが持っているはずです。世の中はいろいろ大変ですが、人間だけが生きているんじゃないんですからね。すべての生き物が生きているんですから、いのちの全部に感謝しながら暮らしていくことで、自分も他の人も幸せになるんじゃないかと思います。

  • どこまでも謙虚。
    焦っていた気持ちが和らぐ。

  • まどみちおさん。

    『虹』の詩がいつぞやの朝日新聞の天声人語に掲載されていた。
    どうしようもない人としての苦しみが、端から端から、綺麗な言葉から滲んで伝わってきて、悲しみとも、励みともつかないなんともいえない気持ちがわいてきた。

    苦労を前に出さない。
    苦しいこと、悲しいことを、そのままに書かない。

    その姿勢が、なによりすばらしいと思った。

  • 百年を生きた詩人が見つめた、いのち、自然、宇宙――
    NHKスペシャル「ふしぎがり〜まど・みちお百歳の詩」から生まれた本。
    「人間は、五感を働かせていることが、生きているということなのでしょう」童謡「ぞうさん」で知られる詩人まど・みちお。老いてなお、果てなく自由な感性の源はどこにあるのか。
    身辺の小さな発見を書きとめたノート、入院を機に再び描き出した絵を引きながら、百歳の日々を語る。「れんしゅう」「トンチンカン夫婦」ほか詩17篇を収載。

  • ぞうさんの詩の意味がかいてあって、へぇ!!となりました。
    百年生きた方の思いを読めるのって、ありがたいなぁ。穏やかな気持ちになれます。

  •  まど・みちおさん(1909.11.16~2014.2.28)、2009.11.16の百歳の誕生日は病院で迎えられ、「あえぎあえぎ」の毎日。トイレに行くのが大変。やっとこしょで立つ。体を動かすのにものすごい労力がいる。それを1時間半ごとに毎日繰り返している。「百歳日記」、2020.11発行。幸せというのは、心が穏やかで和やかなとき。現在を肯定的に見ることができる人は幸せだと仰ってます。百歳の体がどんな状態であるか、そして心の在り方はどうあるべきかを教えていただきました。私自身が何歳まで生きるかは別問題として。
     まど・みちおさん、本名:石田道雄さん。ぞうさん、やぎさんゆうびん・・・。詩人、作詞家、画家。1909.11.16~2014.2.28。「百歳日記」、2010.11発行。自伝であり、詩集であり、画集であり、エッセイ集です。小さいノートを日記帳にして、そこに書き込んでらっしゃいます。黒い字と赤い字で。黒い字は頭で言ってること、赤い字は心で言ってること。その使い分けが素晴らしいですが、私には、まず百歳で文字が書けるということに驚きです。すごい人だと思います。

  • 詩人ならではの目線で描かれたまどさんの世界。覗けば、知らず早くなっていた呼吸に気付かせてくれるような、穏やかな本。こんな風に世界を捉えてみたいな、少しでも、と、忙しい日々に小さな魔法をかける術を思い出させてくれます。

  • 2014年に104歳で亡くなった詩人まど・みちおさんが、100歳の
    時に放送されたNHKスペシャルの書籍化。エッセイ風ではある
    が、まどさんが語ったことを文章にした聞き書きのようだ。

    私は詩の良し悪しは分からないけれど、まどさんが詞を書いた
    童謡「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「一年生になったら」「ふしぎ
    なポケット」は今でもちゃんと歌える。下手だけど。

    「やぎさにゅうびん」は好きだったな。白ヤギさんも黒ヤギさんも、
    いつまでたっても相手からのお手紙を読めないのだもの。

    凡人の私にはない感性が、100歳となったまどさんにはまだまだ
    溢れていた。入院生活の中で語られたお話は、ほんわかとした
    雰囲気を漂わせていながら、すーっと一本の筋が通っている。

    100歳になっても、入院生活でも、詩を書き、絵を描き、日記を書き、
    自然を、宇宙を、人間を、生きとし生けるものすべてを愛していた
    まどさん。

    「まだどれだけ生きるかしらんけど、生きとるあいだに、自分のやれ
    るだけのね、おかしいことをやってみたいと思っております。年を
    とっても、しょげたことにはしたくないからね。そういう努力はして
    いきます。」

    100歳でこう言えてしまうのは凄いと言ったら、まどさんはこそばゆい
    と思うだろうか。自然体で、与えられた命を生きていたからこそこん
    な言葉が出て来るのかな。

    まどさんの言葉を読んでいると、些細なことで腹を立てたり、挫けたり
    している自分がとっても小さく感じてしまった。

    「生き物のすべてにいえることですが、幸せというのは心が穏やかで
    和やかなときだと思います。つらくて胸騒ぎがするようなときはお金や
    名誉があっても、きっと不幸なのじゃないでしょうか。」

    あぁ、そうだよな。いくらお金があっても幸せそうじゃない人もいる
    ものね。

    詩人の100歳の日々を読んでいると、こんな風に歳を重ねたいと
    思った。ただし、私が100歳まで生きられるかは分からないけれど。

    尚、テントウムシを「ひとしずくの涙みたいな生き物」と表現している
    のだが、これにはやられた。テントウムシをこんな風に思ったことが
    ないので、これは今後どこかで拝借してみたい。

    まどさんの本ももっと読みたいね。

  • 優しい言葉に力がある

  • まど・みちおのエッセイ。なんだかこんな老人になりたいと思うような本だった。重く苦しい気持ちを抱えて書かれたものであると端々で垣間見える。その葛藤を自分の経験や考え方などの「暖かいもの」で包んだ文章だから心を打つのだと思う。

全32件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1909年山口県に生まれる。詩人。作詞家。25歳のときに投稿した詩で北原白秋にみとめられる。終戦後、出版社での編集職を経て、詩・童謡の創作に専念。「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」「一ねんせいになったら」「ふしぎなポケット」などの童謡で国民的な人気を得るとともに数多くの詩を書き、1994年国際アンデルセン賞作家賞を受賞。詩集に『てんぷらぴりぴり』(大日本図書)などほか多数。2014年逝去。

「2023年 『ぞうのこバナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

まど・みちおの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×